コラム

 公開日: 2012-09-07  最終更新日: 2014-06-04

東日本大震災 ─東北関東大震災・被災の記(第114回) 震災後、動物園の生きものたちはどうなったか?─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 東日本大震災後、動物園の生きものたちはどう過ごしてきたのでしょうか?
 9月4日の仙台稲門会で、仙台市八木山動物公園長遠藤源一郎氏の講演『震災復興と動物園の役割』を聴きました。

 昭和40年に開園した東北地方南部で唯一の当動物園は、年間50万人前後の来園者を迎えてきました。
 およそ30年前から渡りが途絶えたシジュウカラガンの羽数回復事業にとり組み、この冬は200羽を越す飛来を確認できるまでになりました。
 また、マダガスカルの環境保全と動物園の支援活動も続けています。

 震災時は、建物の倒壊や動物のケガや脱出もありませんでした。
 しかし、ライフラインが止まったことにより、たちまちいのちの危機に瀕しました。
 餌の在庫は生鮮類が2日から3日分、水鳥用ペレットが7日分、暖房用重油も7日分しかストックがありません。
 人間が困っていた状態なので動物まで水や食べものが回ってこない状況の中、地下鉄工事に携わっておられた方々がトラックの荷台で水を運びました。
 やがて全国から支援物資が届き始め、、住宅地を回れない8トンの給水車を借りたりして、何とかしのぎました。
 3月28日、河北新報でカバの写真が報道され、動物園の窮状が全国に知られることとなりました。
 温水でない汚れた少量の水が少しかないプールを前にして、カバは呆然と立っているだけであまり動けなくなっていたのです。

 途方に暮れてボーッと立っているしかなかったのはペンギンも同じです。
 インド象も驚きのあまり動けなくなりました。
 余震に怯え食べものなど環境の変化についてゆけないチンパンジーは、低血糖で一時、意識不明となり、点滴で何とかことなきを得ました。
 ゴリラも神経質になり、自分の部屋へ入れなくなりました。
 カメやヘビなどのは虫類は、貴重なダルマストーブの周囲へ集められて過ごしました。

 やがてビーバーの雄が死に、その後メスが4頭の子供を生んだことは報道によって広く知られました。
 カンガルーは余震に驚いて飛び跳ね、死にました。
 キリンは転んで起き上がれなくなり、死にました。
 オオコノハズクなどの死も、相次ぐ余震の影響と考えられます。

 8日目からは、日本動物園水族館協会の呼びかけに応じて全国の動物園やファンから支援の手が差し伸べられました。
 阪神淡路大震災に遭った神戸からは草が、北海道からはジャガイモが、あるいはシロクマファンからは大好物のオリーブオイルが運び込まれました。
 子供たちのために動物園とサッカー場を早く再会しようという仙台市の方針により、4月23日(土)、奇しくも松島水族館と一緒に再開園にこぎつけられました。

 動物園では、一年間に約1割の生きものたちが死にます。
 しかし、大震災後は、半年で約1割が死にました。
 動物のいのちは、一般に考えられているよりも短いのです。
 今年の7月30日に亡くなった「トシコ」(59才)は、東北へ初めてやってきたインドゾウです。
 仙台市ではこう発表しています。
「トシコは八木山動物園の前身である三居沢の仙台市動物園から八木山動物公園に引越し、48年間にわたって多くの皆さんにその愛くるしい姿をご覧いただいてきました。
 三居沢時代から仙台市で過し、皆様にかわいがっていただき、ありがとうございました。」

 園長は言われます。

「異国から来ている動物たちのすばらしさを、彼らが生きているうちに、より多くの人々へ伝えたいと願っています。
 子供は動物園に来ると元気になりますが、きっと、大人もそうです。
 大人は自分で気づかないだけです。
 どうぞ、皆さん、動物園へ足を運んで元気をとり戻してください。
 現在、ジャイアントパンダを中国からお借りする計画が進んでおり、ジャニーズがパンダ舎を寄附し、5年間の管理費も負担してくれるそうです。
 人口の一割、100万人の来園をめざして頑張ります。
 どうぞおでかけください」

 最後に、質問と意見が出されました。
「シロクマがなぜ、本来の生活圏にないオリーブオイルを好むのですか?」
 何と、雑食のシロクマは馬肉とサツマイモを常食としています。
 だから、オリーブオイルの件は別に驚くほどのことでもなく、世界中で与えているそうです。
「かつて、戦争の時は、空襲で壊れた檻から猛獣などが逃げないように殺されました。
 私たちは、私たちの都合で生きものたちを飼育しているという現実を忘れず、大切にしたいものです」




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL:022-346-2106

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
お客様の声

○Aさん(中年女性)の場合 心身の不調を縁としてご加持を受け、自分の願いが通じると実感されました。 そして祈り方を覚え、商売や家庭にさまざまな問題を抱えなが...

 
このプロの紹介記事
遠藤龍地 えんどうりゅうち

人々が集い、拠り所となる本来の“寺”をめざして(1/3)

 七つ森を望む大和町の静かな山里に「大師山 法楽寺」はあります。2009年8月に建立されたばかりという真新しい本堂には、線香と新しい畳のいい香りが漂います。穏やかな笑顔で出迎えてくれた住職の遠藤龍地さんにはある願いがありました。それは「今の...

遠藤龍地プロに相談してみよう!

河北新報社 マイベストプロ

宗教宗派を問わず人生相談、ご祈祷、ご葬儀、ご供養、埋骨が可能

所属 : 大師山 法楽寺
住所 : 宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL : 022-346-2106

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

022-346-2106

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

遠藤龍地(えんどうりゅうち)

大師山 法楽寺

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
村上春樹氏の「影と生きる」に想う ─影が反逆し始めた世界─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

自衛隊員の本音 ─出征する覚悟、辞める無念─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 不戦堂建立への道 ]

12月の守本尊様は千手観音菩薩です ─救われる時─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 今月の守本尊様・真言・聖語 ]

Q&A(その32)自業自得なら廻向で救われない? ─因果応報と空の話─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 仏教・密教 ]

一年と一周忌供養 ─あの世でもこの世でも救われる話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 葬儀・供養の安心 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ