コラム

 公開日: 2012-09-16  最終更新日: 2014-06-04

三十七の菩薩(ボサツ)の実践(第二十六回) ─持戒とは─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 菩薩(ボサツ)になるための実践道。第二十六回目です。
 9月12日の勉強会『生活と仏法』において、皆さんと対話を行いました。

「戒律を守らずして自利の完成はない
 それでいて利他を成し遂げる願いを持っても笑われる
 それゆえ、世俗の欲を放棄して戒律を遵守する
 それが菩薩の実践である」

 ここまで発展してきた現代仏教の基本はこうです。

「気ままに生きれば自己中心の煩悩に流され、せっかく人間として生まれたのに、真に価値あるものを得られないばかりか、他人へもまた、そうした尊い機会を失わせてしまう。
 人間として生まれた以上、誰しもが、本来の〈み仏〉として生きられる可能性を持っている。
 この可能性の現実化を妨げているのが煩悩である。
 だから、煩悩と向き合い、み仏になれる可能性を確認し、煩悩を打破しよう。
 そのためには、〈気ままに〉ではなく、〈本来のみ仏らしく〉生きる稽古すなわち人間修行をせねばならない。
 修行は、煩悩の穢れを祓い、自他のためになろうとする本来の意欲を高める道である。
 さあ、煩悩の引き金となる、いのちへの軽視、与えられていないものを手にする強欲、妄りなセックスへ走る獣性、勝手な嘘、などを止めようではないか」

 だから、戒律を守ることが修行の始まりであり、根幹でもあります。
 生きもののいのちを粗末にしながら、あるいは勝手な嘘をつきながら修行を続けることはできません。
 もしもこうした生き方をしている人がいくら「世のため人のため」を願おうと、笑われるだけであると厳しく戒めています。
 江戸末期の僧月照は、『十善戒歌』を遺しました。
 不殺生の心です。
「世の中に 生きとし生けるものは皆 ただ玉の緒の 永かれとこそ」
 生きものたちはすべて皆、与えられたいのちを生ききって欲しいと願っています。
 不悪口の心です。
「我が宿に 養いおける 犬だにも 叱り猛りて 責めじとぞ思う」
 自分の飼い犬に対してさえ、吠える声がうるさいからといって怒鳴りつけたりはしまいと願っています。
 もちろん完全には実践できないにせよ、戒めを守ろうと努力する姿勢があってこそ、他のためになろうとする思いにも真実がこもり、周囲を納得させ、動かしもします。

 このように、他のためになることを第一とする菩薩の道にあっては、煩悩を見極め、戒律を遵守することによってそれを破壊でせねばなりません。
 高慢心を満たそうする名誉欲、楽をし外面を飾ろうとする財欲などは、自らを戒めつつ生きればいつの間にか消え去っているものです。
 再び、僧月照の歌です。
「身に影の 離れぬがごと 善し悪しの 業の教えの 無かるべしやは」
 身体に影法師が付き添うように、何が善いのか何が悪いのか善悪をきちんと見分ける教えを忘れないようにしたいと願っています。
 そうして生きれば、得た名誉は社会を善くする方向で生かし、積んだ財物は必要な人々のために提供しないではいられなくなります。
 名誉にも財物にも善悪はなく、名誉や財物を得た人が悪人であるという道理もありません。
 あくまでも、いかなる方法でいかなるものを手にするか、そして手にしたものをどう用いるかが問題です。
 自己中心のあくなき煩悩となってはたらく名誉欲や財欲を離れる心が重要であり、何をどう生かすかは智慧の問題です。

 十善戒を忘れないことは、人間としてまっとうに生きる基礎です。
 広く認識していただきたいと願っています。
 当山では、『お約束』として子供十善戒を提唱しています。

1 不殺生(フセッショウ)…生きものをむやみに殺しません。
2 不偸盗(フチュウトウ)…盗みません。
3 不邪淫(フジャイン)……ふしだらなことをしません。
4 不妄語(フモウゴ)………嘘をつきません。
5 不綺語(フキゴ)…………へつらいを言いません。
6 不悪口(フアック)………悪い言葉で話しません。
7 不両舌(フリョウゼツ)…二枚舌を使いません。
8 不慳貪(フケンドン)……貪りません。
9 不瞋恚(フシンニ)………妬んだり、キレたりしません。
10 不邪見(フジャケン)…悪い考えを起こしません。



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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