コラム

 公開日: 2012-09-20  最終更新日: 2014-06-04

文と武について ─粗野な愛国心同士が戦いを起こさないために─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈風雨に耐えた者〉

 今、日本でも中国でも愛国心と呼ばれるものが大きくはたらき始め、険悪な状況になっています。
 中国にいるAさんの友人たちもデモ隊から「ここに日本人がいるぞ!」と目をつけられ、あっという間に取り囲まれました。
 そして、あわやという時に駆けつけた警察官たちに救われたそうです。
 一年の半分を中国で過ごすAさんは、中国人と日本人はずいぶんと異なる国民であると感じておられます。
 それでも、Aさんは中国人を貶めることなく、「動きのある国だからおもしろい」と言われます。

 さて、尖閣諸島で武力衝突があるかないかと非情に関心が高まっていますが、今こそ智慧をはたらかせ、「文」と「武」をよく考えてみたいものです。

 私は、「文」とは平和時にはたらく霊性の発露であり、「武」とは、非常時にはたらく霊性の発露であると考えています。
 武イコール暴力という図式だけでは、武の本質を見誤ります。
 暴力は暴れ回る強大な力ですが、それは、霊性から離れれば己を傷つけ、他を傷つける無暴・粗暴・横暴・暴挙・暴虐の姿をとります。
 これらは智慧と慈悲のない状態です。
 怒りによって相手を倒そうとするだけなら、ケダモノとの違いはどこにありましょうか。

 戦後の長い平和が暴力絶対否定といった空気をもたらした日本の状況には「武」の発動に賛否両論があるようです。
 おさえておくべきは、日本人の背骨となっている武士道が広く世界から賞賛されている理由です。
 それは、戦いにおけるふるまいもさることながら、むしろ、〈非常時に備えて己を鍛える姿勢が平和時のふるまいを美しくする〉ところにあります。

 こう書き残したオランダのユダヤ人女性エティ・ヒレスムはアウシュヴィッツで殺されましたが、心の戦いに勝利し、その美しさ、強さは、半世紀以上経っても色あせません。
「大切なことは、ある特定の状況からどんな犠牲を払ってでも抜け出すことではない。
 大切なのは、ある状況の中でどんなふうにふるまい、生き続けていくかということだ」
 また、ガンジーは非暴力という方法を貫いて戦い、インドに独立をもたらしました。
 両者は、真の「武」を用いた真の勝者であると言えないでしょうか。

 決して屈せぬ志を貫く姿勢、そこに伴う崇高な矜恃、これが平和時では自然に文となり、非常時では自然に武となるのではないでしょうか。

 確かに、Aさんの友人は、暴力を抑えるために必要な〈準備された暴力〉によって救われました。
 泥棒に入られないためには、家にカギをかけておかねばなりません。
 それもさることながら、最も大切なのは、泥棒へ「ここの家には入りにくい」「この地域には行きたくない」と思わせることです。
 そう思わせるには、頑丈なカギという〈準備された暴力〉以外にも役立っている要素があります。
 この要素こそ、真の「武」に通じた何ものかではないでしょうか。



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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