コラム

 公開日: 2012-09-24  最終更新日: 2014-06-04

 寺子屋の教え『実語教・童子教』を考える(その43)─天罰─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈一人で誰を探しているのかな〉

 江戸時代まで寺子屋などの教材として広く用いられていた『実語教・童子教』を見直しましょう。
 一度聞いたら忘れられない警句などがふんだんに含まれています。

「神明(シンメイ)は愚人(グニン)を罰す  
 殺すにあらず懲(コ)らしめんが為(タメ)なり
 師匠の弟子を打つは  
 悪(ニク)むにあらず能(ヨ)からしめんが為(タメ)なり」

(神様は愚かな人を罰するが、いのちを奪うためではなく、その人の悪行を懲らしめるためである。
 師匠が弟子を叩いたり厳しくしつけたりするのは、憎いからではなく、よく身につけさせるためである)

 いわゆる「罰が当たる」についての教えです。
 日本の神様は、悪いことを行った者は奈落へ突き落としてしまえというような〈審判者〉のイメージではなく、あくまでも行いを正し成長させる〈親〉のイメージを持っています。
 天上の神様を天皇の先祖という意味で「天つ御祖(アマツミオヤ)」とお呼びすることからしても、国民(クニタミ)を見守る慈父的存在です。
 罰を与えるのは、私たちをいつもよく〈見〉ていてくださり、誤った方向へ行ってしまわないように〈守〉ってくださるためなのです。

 師匠の指導についても同じことです。
 師匠が弟子に厳しく当たるのは、憎んでいるからではありません。
 師弟関係のある世界では、一人前になった弟子がよく「師匠はとても厳しい人ですが、おかげでここまで来れました」などと言います。
 ただし、難しいのは、神様なら間違いはありませんが、人間である師匠は間違いを犯す場合もあります。
 殺人事件にまでなってしまった大相撲の暗部などはその例です。
 慈しみと憎しみは正反対の心なのに、それによる行為が一見、同じに見えてしまうことろに難しさがあります。

 親や教師が行う子供の教育もまた同じです。
 どんな場合であっても、人生の師として導かねばならないのに、自分の感情をぶつけてしまう場合があります。
 そこに暴行や虐待が発生し、ついには殺人すら起こります。
 怒った母親が、言うことをきかない子供を置いたまま車で走り去った場面を見かけたことがあります。
 さんざん反抗していた小学生低学年の子供は、車を目で追ったまま、しばらく動きませんでした。
 子供の小さな項(ウナジ)から後頭部にかけて言いようのない寂しさが漂っており、たまらない思いをしたことが忘れられません。
 幼い子供はいつも親にすがっているのです。
 すがるしかないのです。
 そうした心を突き放す行為は、神ではなく鬼の行為です。
 因果応報の真理はすべてを覆い、誰一人逃れられず、鬼になった人は必ず子供を含む誰からか鬼の仕打ちを受けねばなりません。
 鬼の行為をなす者は、子供を傷つけ、自分が傷つくだけでなく、鬼の仕打ちを受けた時の反応によってはさらに誰かを傷つけてしまいます。

 
 子供たちへ天罰や師弟について教える時、決して忘れずに、自らを省みておきたいものです。
 こうして考えてみると、師匠や親や教師は、弟子や子供を育てるだけでなく、自らも成長させられています。
 『易経』が「天地万物は大地のような育成という徳を持っている」と説いていることがよくわかります。



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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