コラム

 公開日: 2012-09-25  最終更新日: 2014-06-04

寺院はいかにあるべきか?(その1) ─仏性・開悟─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈『みやぎ四国八十八か所巡り道場』に祀られた虚空蔵菩薩〉

 寺院はいかにあるべきか?
 当山は何がゆえに『大師山法楽寺』という特定の寺院であり得るか?
 み仏に長く祈り、思案し、秋彼岸に得た要点は、修法の柱である九字法に通じる9つです。
 ここにご披露し、「寺院よ、このようにあれ」という皆様のご叱責、ご要望、ご指導皆様のご意見をお待ちしています。

◎信仰の面

1 仏性…万人がみ仏の子であることを信じ、万人と霊性で通じ合う

 万物に仏性(ブッショウ)があり、人間にはその表れとしての霊性が具わっています。
 霊性で通じ合えれば、この世はたちまち極楽になります。

 人間は皆、救われ得るでしょうか? 
 インドでも、仏教が伝わった中国でも、そして日本でもこの点は重要な問題でした。
 密教のマンダラ思想に接し、「この世は本来救われている世界であって、そうでないとしか思えぬ現象世界は迷いがもたらしたものに過ぎない」という視点を徹底させたお大師様は説かれました。

「草木また成(ジョウ)ず、いかにいわんや有情(ウジョウ)をや」

(心がないと思われている草木すら成仏している以上、人間が成仏しているという本来の姿になれないわけがあろうか)
 つまり、〈救われる=成仏できる〉かどうかを問題にするのではなく、〈救われている=成仏している〉ことに気づくかどうかが問題であるとされました。
 これは、中国で世界の文化に学び、「山であれ、樹木であれ、岩であれ、湖であれ、海であれ、大自然界に存在するものにはすべて精霊が宿っている」という日本人古来の感覚を研ぎ澄ませたお大師様ならではの到達点でした。
 そして、伝授を受けた密教を体系化し、〈救われている=成仏している〉ことに気づく方法としての修法を確立されました。
 その後、「草木国土悉皆成仏」「山川草木悉皆成仏」などが各宗で盛んに言われるようになりました。
 なお、『大乗涅槃経』に「一切衆生悉有仏性(イッサイシュジョウシツウブッショウ…一切の生きものにはことごとく仏性が有る)」とありますが、この経典における「一切衆生」には植物や鉱物は含まれていません。

「私たちは本来救われている。
 心の眼で観る草や木などの大自然が、これ以上ないすばらしいありようを示している以上、大自然の一部である人間もまた、心を澄ませば、きっと、本来の仏として生きられる」

 これは、人類が得た救済の理想と言えないでしょうか。

2 開悟…共に目指すはお釈迦様の悟り、実現方法はお大師様から伝わる実践法

 自他の苦をすべてなくすには悟りを開くしかなく、その究極的方法は、私たちが本来み仏であると気づくことです。
 気づかずに、自己中心で暴れ回ろうとする〈我(ガ)〉を〈自分〉だと勘違いしているので、あらゆる苦が生じます。
 この状態を「迷い」と言い、勘違いを「無明(ムミョウ…智慧の明かりが無い)」と言います。
 迷いにはいのちの勢いが伴っているので、時には殺人や強盗や不倫などにまで行ってしまいます。
 だから、せっかくいただいたいのちの勢いの方向を変えることが大切です。
 それが「迷いを転じて悟りを開く」ことです。

 お釈迦様が、自分の心身をさんざんに痛めつけ、いのちの勢いを削ぐ修行を捨てて、心身を調えた状態でゆったりと瞑想し、大勇猛心を発揮して悪魔たちを撃破したからこそ悟りを開かれたことをよく考えたいものです。
 単に欲といういのちの勢いを抑えようとするだけでは、根本的解決になりません。
 真の智慧による欲のコントロールこそが求められるべき方法です。
 だから、「迷いを転じる」とは、「欲を、煩悩(ボンノウ)としてはたらかすのではなく、自他を生かす智慧によって大欲(タイヨク)に変える」ことを意味します。
 大欲は密教の根本経典である『大日経』に出ている言葉です。

「せっかく生まれ持ったいのちの勢いをみ仏の智慧によって生かし、大欲を発揮しながら生きられればそれが悟りである」

 これが仏教の説く理想であるとは言えないでしょうか。
(当山は当然、お大師様の説かれた転迷開悟法を実践していますが、他の宗派における転迷開悟法を否定するものではありません)




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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