コラム

 公開日: 2012-09-26  最終更新日: 2014-06-04

寺院はいかにあるべきか?(その2) ─因果─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈時を待つ〉

 寺院はいかにあるべきか?
 そこは、何が得られるいかなる場であるべきか?
 第二回目です。

◎信仰の面

3 因果…因果応報は時空を超えた真理であり、この世とあの世のつながりを信じる

 影が形に伴うのと同じく、原因があれば結果が伴い、結果のあるところには原因があります。
 その原理による因果の糸は過去から現在に至り、未来へと伸び、途切れることはありません。
 時間が原因と結果をつないでいます。
 いのちは時間の中に顕れ、時間の経過と共に変化し、いかなる〈現在〉も〈過去〉の結果以外のものではあり得ません。

 昭和27年、作家田宮虎彦は『足摺岬』を発表しました。
 死に場所を求めて足摺岬へ行った青年が、遍路宿で出会った人々と接するうちに自殺願望が薄れ、実生活へと回帰する物語です。
 この小説には会話が少なく、二人の人間の思いと思いが出会った時に、まるで火花が飛び散るようにパッと現れ、たちまち、消えて深い余韻を残します。
 雨に濡れながら足摺岬へ行ったものの死にきれないまま宿へ帰り着き、ずぶ濡れで動けなくなった青年を、宿泊客と一緒に介護する女将が言います。
「馬鹿なことはせんもんぞね」
 介護する老遍路が、薬売りの行商人と毎日寝起きしている部屋へ来いと誘います。
「のう、おぬし、今夜からおぬしはわしたちと相部屋にしようぞ」
 崖っぷちまで行った青年の屈折した思い、幾人となく自殺志願者を見てきた女将のいたわり、戊辰戦争で死に損なった老遍路の諦観が交錯して原因となり、結果としての言葉が生じます。
 そして、言葉が原因の一つとなり、各人の次の心と行動という結果をもたらします。

 実に、私たちは生きている限り、感じ、考え、語り、行い、それがまた原因となって、感じ、考え、語り、行っています。
 このことを意識しただけで、生き方が変わるのではないでしょうか?

 ところで、ソーシャルゲームが爆発的に伸び、世界へ網を広げようとしています。
 架空の空間におけるドラマへ参加し、誰とも知れぬXさんと競争し、共感し、あるいは落ち込み、満足し、興奮しているうちにどんどん時間が経過し、経費が膨らみます。
 お金をつぎ込む歯止めが効かなくなって子供が親の財布から盗んだり、仕事ができなくなったりするケースが相次ぎ、当局の指導や企業の注意でシステムは改善されつつあるそうですが、最も問題なのは、たくさんの人々がこうした架空空間で過ごす膨大な時間が何をもたらすかという点です。
 落ちついて考えてみましょう。
 ゲームをやっているうちも絶え間なく時間が経過し、いのちは砂時計の砂のように減り続けています。
 そう思おうが思うまいがゲームへ〈いのちをかけている〉時間内に心身で起こっているできごとは必ず、望もうが望むまいが何かの原因になり、未来の人生に必ずや、何らかの結果がやって来ます。
 ゲームへつぎ込んだ時間すなわちいのちと、お金によって、いかなる結実が望めましょうか。
 今の自分は、ゲームと共に費やした過去の時間から何を得ているのでしょう。

「因果応報であるがゆえに、今日の自分が明日の自分と明日の社会をもたらす。来世をも……」
 今、何を考えているか、何を語るか、何を行うか、それらはすべてこれからの自分の人生を創り、何を考えないか、何を語らないか、何を行わないかもまた、これからの自分の人生を創ります。
 そしてそれらはすべて、これからの社会がどうなって行くかにも関わっていることをイメージしたいものです。
 また、因果の糸にからまりつつ日々、奮闘している皆さんが、寺院の行事などに参加されたおりには少々、ホッとされ、因果を客観的に眺めていただければとも願っています。



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL:022-346-2106

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
お客様の声

○Aさん(中年女性)の場合 心身の不調を縁としてご加持を受け、自分の願いが通じると実感されました。 そして祈り方を覚え、商売や家庭にさまざまな問題を抱えなが...

 
このプロの紹介記事
遠藤龍地 えんどうりゅうち

人々が集い、拠り所となる本来の“寺”をめざして(1/3)

 七つ森を望む大和町の静かな山里に「大師山 法楽寺」はあります。2009年8月に建立されたばかりという真新しい本堂には、線香と新しい畳のいい香りが漂います。穏やかな笑顔で出迎えてくれた住職の遠藤龍地さんにはある願いがありました。それは「今の...

遠藤龍地プロに相談してみよう!

河北新報社 マイベストプロ

宗教宗派を問わず人生相談、ご祈祷、ご葬儀、ご供養、埋骨が可能

所属 : 大師山 法楽寺
住所 : 宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL : 022-346-2106

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

022-346-2106

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

遠藤龍地(えんどうりゅうち)

大師山 法楽寺

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
12月の守本尊様は千手観音菩薩です ─救われる時─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 今月の守本尊様・真言・聖語 ]

Q&A(その32)自業自得なら廻向で救われない? ─因果応報と空の話─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 仏教・密教 ]

一年と一周忌供養 ─あの世でもこの世でも救われる話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 葬儀・供養の安心 ]

消えた因縁 ─心の檻(オリ)から脱した話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

「みやぎシルバーネット」20周年おめでとうございます ─無私の編集長につながる方々─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ