コラム

 公開日: 2012-09-26  最終更新日: 2012-10-24

三十七の菩薩(ボサツ)の実践(第二十七回) ─忍耐の修行とは─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 菩薩(ボサツ)になるための実践道。第二十七回目です。
 9月16日の勉強会『生活と仏法』において、皆さんと対話を行うテーマの一つです。

「善という財を求める諸菩薩(ボサツ)を
 傷つけてしまう者もまた
 尊い宝も同然である
 それゆえ
 あらゆる者に恨みを持たず忍耐を修習する
 それが菩薩の実践せある」

 傷つける者や害する者がいてこそ、忍耐の修行ができるという考え方です。
 ただし、師匠にどやしつけられることを弟子がガマンするなどは、ここで説く忍耐修行とはレベルが違います。
 古参の弟子が新米の若造になめられた時こそ、真の忍耐が試されます。
 そこで、あくまでも〈後輩を育てる心〉で対応できるか?
 難しい場面です。

 しかも、心中では怒り狂っているのに、表面に表さないなどというのは世間一般のガマンであって、真の忍耐ではありません。
 心中に害意を伴った怒りが生じず心が乱されない状態になってこそ忍耐の完成であり、そこをめざすのが修行です。
 仏法は、世間の渡り方を説きはしません。
 ただただ、心のありようを説きます。
 なぜなら、自他の苦を解き去るには「自分の心をどうするか」が出発点になるからです。

 このレベルの忍耐は、もはや、自力でのガマンだけではなかなか成就できません。
 だからこそ、仏壇やご本尊様へ花を供え、心を定め、真言を唱えます。
「我、雨風に負けず咲く花のごとく、堪え忍び、心の花を咲かせん」
「おん ばぎゃばてい きしゃんてい だりじ うん はった」

○ブンナの話

 インドの富裕な貿易商ブンナは商用の途中で釈尊の教えに接し、帰依しました。
 そして、悟りを得てアラカンとなり、自分の出身地である西海岸方面へ帰って布教をしようと思い立ちました。
 釈尊は問います。
「あちらの人々は粗野であると聞いている。もし、誹られたらどうするか?」
 ブンナは答えます。
「手で殴られるわけでもありませんから、彼らは善人であると思い、布教をします」
 釈尊とブンナの問答は続きます。
「もし、手で殴られたらどうするか?」
「棒や石で打たれたのではありませんから、彼らは善人であると思い、布教をします」
「もし、棒や石で打たれたらどうするか?」
「刀で斬られるわけでもありませんから、彼らは善人であると思い、布教をします」
「もし、刀で斬られたらどうするか?」
「殺されるわけでもありませんから、彼らは善人であると思い、布教をします」
「もし、殺されたらどうするか?」
「修行者には、愚かな自分を厭い、殺してくれと頼む人さえいるのですから、自分を殺してくれる人がいるなら好都合です」
 ついに釈尊は帰郷を許しました。
 はたせるかな、慈悲と忍辱で布教を行ったブンナは、帰郷した年のうちに、たちまち五百人もの信者を得たということです。

○大西瀧治郎の話

 太平洋戦争末期、神風特攻隊に第一号出撃命令を発した大西瀧治郎中将は忘れられません。
 直情径行型で、若い頃は愛想の悪い芸者を殴って海軍大学校への入学をフイにしたエピソードの持ち主ですが、山本五十六などから信頼を受けて真珠湾攻撃の計画に加わり、最後は神風特攻隊を指揮しました。
 最初から勝てない戦争であることを知って開戦に反対だったにもかかわらず、時代に必要とされた彼は、歯をくいしばって置かれた立場をまっとうしました。
「おれもゆく、わかとんばら(若殿輩)のあと追いて」
 こう言いつつ若者たちを死地へ送り出す心中は、察するに余りあります。
 空襲で焼け出された愛妻が最後は一緒に住みたいと訪ねて来た時、特攻隊員たちを死なせた自分にそのような暮らしなど許されないではないかと追い返しています。
 敗戦に号泣した翌日、官舎で腹を切り頸動脈と心臓を刺し、手当も介錯も断わり、隊員たちや妻の苦しみを自らへ実感させるがごとく苦しんで世を去りました。
 辞世の句には、忍辱を貫き通した男の達観と、ことの先に待つ無限の安らぎがあります。
「之でよし百万年の仮寝かな」

○忍辱に伴う五つの徳

1 たくさんの人々に愛される
2 たくさんの人々へ喜びを与え、気に入られる
3 なかなか敵をつくらない
4 なかなか過失をしない
5 迷わず、乱れず、死後は天界へ生まれる



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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