コラム

 公開日: 2012-10-17  最終更新日: 2014-06-04

寺院はいかにあるべきか?(その5)─寛容の精神を忘れない─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




 寺院と仏教徒はいかにあるべきか?
 それを問う第五回目です。

◎姿勢の面

3 寛容…信念の多様性を尊重し、他と争わず他を排斥しない

 自分に譲れない信念がある人は、他人にも譲れない信念があり、自分が譲らずに信念を持ち続けたいならば、他人も又、同じであることをよく知っているはずです。
 だから、お互いにとって大切なのは、まず第一に「信念に基づいて生きている」という姿勢を認め合うことです。
 そして、もしも互いが信念の中身を論ずる時は、この尊敬が土台になっていなければなりません。
 さもないと、たやすく誹謗になり、争いが生ずるからです。

 宗教においてこの〈認め合い〉が簡単でないのは、宗教には統一原理といったものが存在しないからです。
 たとえば、仏教とキリスト教について最もわかりやすくその違いを説いた小室直樹博士の『日本人のための宗教原論』にはこう書かれています。

「キリスト教は、イエス・キリストの教えである。
 ──願密にいえば、この表現に若干の疑義はあるが、おおむね間違いない。」
「仏教は釈迦の教えではない。
 西洋人は仕方がないとしても、日本人もほとんどの人が誤解をしているのではないか。
 これは本当のことで、では誰の教えかというと、客観的に存在している法(ダルマ)のことを指す。
 仏教でいう『法(ダルマ)』とは、行動の規範を示し、慣例、風習、義務、法律、真理、教説など、さまざまな法則を指している。
 自然法則も超自然法則も釈迦が発見して衆生に教えたのであるから、釈迦が発見しようとしまいと『法(ダルマ)』というのは厳然としてそこにある。
 だから、釈迦の教えが正しいというのは、本当の『法(ダルマ)』を発見したから正しいのであり、釈迦自らの教えだからではない。」

 そして、まず法があってそれに気づいた仏が後にくる仏教を「法前仏後」の構造であるとします。
 対照的に、まずイエス・キリストという神があり、その神の説説く法が後にくるキリスト教を「神前法後」の構造としました。

「考え方が根本的に違うというのはこういうことである。
 これを統合といっても、一体どうやって統合しうるのか。
 統合ということはありえない、という根拠はこのようにまことに明確である。」

 だから、理論的に他の宗教を認めることは、いいかげんなところでお茶を濁さない限りなかなか難しいものです。
 新興宗教の中には、仏教もキリスト教もごちゃまぜにした好いとこ取りのいかがわしいものもありますが、いかがなものでしょうか。
 こうした私たちが宗教の違いによって争わないためには、互いの人間的態度を認め合い尊重し合うしかありません。

 
 また、大切なのは、自分が信じない宗教を排斥しようとしないことです。
 いかなる宗教も、信じる人にとってはそれがこの世で一番であり、そうして生きられる社会こそ、理想社会です。
 オウム真理教のように、明らかに他へ害悪を及ぼす場合は別として、一個人の心中にある信念へ手を出す資格や権利は誰にもありません。
 しかし、教団が教線拡大に走る時は、教団内の団結をはかり信者獲得の意欲を高めさせるために他の宗教を邪宗と決めつけ、排斥が生じがちです。
 上述の小室直樹博士は指摘しています。

「明らかにはっきりしているのは、組織が大きくなればなるほどその宗教原理は曲がっていく。
 キリスト教と教会、修道会の例を見ても明白である。」

 当山の信徒さんは全国規模になりつつありますが、あくまでも山里で小さな灯を守って行く寺院であり続けたいと願っています。

 当山は、寛容の精神を忘れずに進みます。




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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