コラム

 公開日: 2012-10-20  最終更新日: 2014-06-04

10月の聖語 ─よくわからない自分の心・見いだせるみ仏─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈『みやぎ四国八十八か所巡り道場』にて〉

 お大師様の言葉です。

「近くして見がたきは我が心なり。
 細にして空に遍ずるは我が仏なり。
 我が仏は思議しがたし。
 我が心は広くしてまた大なり。」

(自分の心はここにあるはずなのに、その実態をよく観ようとすると、なかなかつかめない。
 あまりにも微妙でありながら、同時に宇宙に偏在しているとも感じられるのが、自分の心におられるみ仏である。
 自分の心は実にとらえどころがなく、精密に考える対象になりにくい。
 それほど自分の心は広々としており、また、大きい。)

 仏教の歴史は、心を探求した歴史と言えます。
 お釈迦様は、ものごとには原因がありそれが結果をもたらすなど不変の真理を説かれましたが、そうした真理は決してお釈迦様が創られたものでなく、お釈迦様は気づかれ、わかりやすく説かれた方の一人です。
 真理はどこにあるかと言えば、とらえる心にしか姿を顕しません。
 ところが、心は、お大師様が説かれたとおり、つかみどころがなく、しかも、縄文時代を想い、宇宙を想像することもできるほど無限に時空を広がります。
 だから、真理の探究と心の探求は重なりつつ深められ、発展してきました。
 仏教は永遠に心と真理の探究を続けてやみません。
 だから、経典は無限に出現するのです。

「手をうてば 鯉は餌と聞き 鳥は逃げ 女中は茶と聞く 猿沢の池」

 興福寺にある猿沢の池を前に、ポンと手を打ったとします。
 そうすると、池の鯉は餌をくれるのかと寄ってきます。
 鳥は鉄砲の音と聞いて飛び立ちます。
 女中さんはご主人様がお茶を所望していると思い、用意に走ります。
 このように、拍手の音一つとっても、耳にする者の受け止め方は千差万別の相となります。

 まして、心におわすみ仏は、人の笑顔となり、山の霊気ともなられ、特定の仏像などにだけ宿っておられるのではなく、感得できる心さえ曇っていなければ、あらゆる対象に見いだすことができます。

 大日如来に深く帰依した明恵上人(ミョウエショウニン)は、川のほとりで「足、足」と馬へ声をかけながら足を洗ってやっている馬子(ウマコ)に会いました。
 その声を「阿字(アジ…大日如来を表す梵字)、阿字」と聞いた上人は感激し、馬子がありがたい阿字を唱えるとはいったい、どなたの持ち馬なのだろうかと問います。
 馬子は「府生殿(フショウドノ…役人の官位)の馬でございます」と答えます。
 今度はそれを「不生(フショウ)」と聞いた上人は、「阿字(アジ)本不生(ホンプショウ)」という大日如来が永遠である真理を表す言葉を思い出し、何とありがたい縁であろうかと感激したのでした。

 心は、これだとつかまえられなくても、はたらきとして確たる姿を顕します。
 心が清浄な鏡になれば、人生の真理・真実が映し出されることでしょう。
 はたらきにみ仏の智慧とお慈悲が現れもしましょう。
「南無大師遍照金剛(ナムダイシヘンジョウコンゴウ)」の御宝号(ゴホウゴウ…お大師様の徳につながる宝の言葉)は、たった8文字で心のはたらきを清らかなものにします。
 だから、四国霊場を巡るお遍路さんはこの言葉を欠かしません。
 考えることに疲れたなら、瞑目し合掌して御宝号を唱え、そっと目を開いてみましょう。
 何かにみ仏の光を見いだされるかも知れません。
 昭和44年、故耕治人は『一條の光』を発表し、古びた畳の上に落ちている小さなゴミが太陽の光に輝く瞬間を見て救われる主人公を描きました。
 私たちにも、等しく、見つけられる可能性はあるのです。



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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