コラム

 公開日: 2012-10-31  最終更新日: 2014-06-04

【現代の偉人伝】第158話 ─天皇皇后両陛下へ最敬礼を行ったミルコ・デムーロ騎手─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





〈日刊スポーツ紙からお借りして加工しました〉

 久方ぶりに跪(ヒザマヅ)く麗しい姿を見た。
 10月28日に東京競馬場で行われた競馬の天皇賞を勝ったミルコ・デムーロ騎手(イタリア)が、観戦されている天皇・皇后両陛下のおられる貴賓席へ向かい、ひざまずいて最敬礼をしたのである。
 両陛下は思わず立ち上がり、大観衆と共に大きな拍手を送られたという。
 日刊スポーツ紙で確認すると、2000メートルを走りきったばかりのエイシンフラッシュ号も一緒に低頭しているかのようだ。

 2年4か月前のダービーで勝利し三歳馬のチャンピオンになって以来、12連敗中だったエイシンフラッシュ号は、こうした馬である。
「本当にすごい馬。
 こっちの心が折れそうになっていた時も、とにかくフラッシュは一生懸命だった。
 ダービーはフロックでもないし、終わっちゃいないと思っていました」(久保敏也調教師)
「この馬は賢くてゴールを知っている」(ミルコ・デムーロ騎手)
「フラッシュには長いこと勝たせてやれず申し訳なかった。
 これまで何度も歯車が狂ってばかりだったが、天覧競馬で勝つなんて…本当に大した馬だと思う」(藤原英昭調教師)

 坂口正大元調教師の話である。
「デムーロ騎手が日本で騎乗するのは昨日今日のことではなく、すでに日本競馬を熟知しています。
 根底には、競馬だけでなく日本文化になじもうとしてきた姿勢もあります」

 懸命な人馬が大仕事を行い、しかも、作法に則った敬意の表現を見せてくれた。

 ふり返ってみたい。
 自分には、懸命にやり、それでも高ぶらず、尊いものの前へ跪く気持があるか?
 ともすれば他を貶め、自分を高いとかんちがいしてはいないか?
 他を貶めて喜び、居丈高になって他を罵倒する、こんなテレビの場面に慣れっこになってはいないか?

 ミルコ・デムーロ騎手は、敬意を払うべき対象へ対し、礼儀を尽くして思いを表現することの清浄さをもって会場を圧倒した。
 他を貶めるところに清浄さはない。
 己を相対的に高くしようという錯覚による愚かしさしかない。
 己を低くするところにこそ清浄さはある。
 心の底から己を低くし相手を高くするところにこそ、気高さはある。

 梵網経(ボンモウキョウ)は説く。
「菩薩(ボサツ)はまさに、一切の衆生に代わりて毀辱(キニク…攻撃や辱めを受けること)を加うるを受け、悪事は自ら己に向け、好事(コウジ)は他人に与うべし」
(人の道を完成させようと努力する者は、一切の人々の身代わりとなっていわれのない攻撃や誹謗中傷を受け、悪しきことは自分のせいであるとして引き受け、良いことは他人のせいであるとして賞賛せねばならない)
 これは菩薩に課せられた使命なので、なかなか私たち凡夫のできることではないが、かつては、「汗は自分でかきましょう、手柄は他人へあげましょう」をモットーに総理大臣になった政治家もいた。

 自分の至らなさを心底から認め、自(オノ)ずから自分を低くしないではいられない人徳こそ真に気高いと言える。
 そうした人徳を磨くには、ミルコ・デムーロ騎手のように尊いものとすなおに尊いとし、きちんと敬意を表する生き方も有力な方法ではないか。
 彼の姿を前にして、我と我が身の恥ずかしくなった日本人がどれだけいたか……。
 もちろん、私も恥ずかしくなった一人であり、この写真は忘れられない。
 敬虔な心を持った礼儀正しいイタリア人に深く感謝してやまない。




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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