コラム

 公開日: 2012-11-07  最終更新日: 2014-06-04

子や孫のためにふり返っておきたい先人の導き(その32) ─大きな志・慎重な準備─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 ここでは、昭和6年に発行された小冊子を基にして子供たちの導き方を考えています。

32 「こ」 志は大きく立てて 心は小さく持て

 いくらでも大志大望を抱こう。
 しかしそれを実行するには、足元からの注意が肝心。
 千里の道も一歩から始まるのだ。

 将棋にかけているプロ棋士の話です。
 平成22年、前年に羽生善治王座と戦った山崎隆之7段は、「ひらめき第一」とされている王座をあと一歩まで追いつめながら敗れた激闘について、観想を述べました。

「振り返ると、格好いい手順がちゃんと読めていたんじゃなくて、直感でぱあっと最後までの手順が一瞬頭に浮かんだだけで、実際にはすぐに消えていたんですよね。
 局面の鮮明度が薄い。
 そこが羽生先生との決定的な違いです。
 頭の中の盤面の鮮明度は、将棋のことを頭だけで考えている時間が多いほど濃くなるものだと思います。
 盤の前だけで将棋のことを考えるんじゃなくて、トイレ行っているときも、風呂入っているときも、とにかくいつも将棋のことを頭の中で考えていると、盤が頭に残る度合い、頭の中に盤が刻みこまれる度合いが違ってくるでんしょう。
 結局、努力の問題になるんですけど……。」

 盤面をちらっと見ただけで膨大な手数が読めるプロ棋士は、頭に将棋盤が浮かび、無数の局面が切り替わるとされています。
 そうした天才中の天才が集まる世界でトップを競う棋士となってなお、「自分は四六時中将棋盤を頭に描いて研究していないから、まだまだ努力が足りない」と省みます。

 ここで説く「千里の道も一歩から」からは、二つの考え方が導き出されます。

1 何ごとも確かな第一歩を踏み出し、不断の歩みを続ける精進によって大願の成就が可能になる。
 周到な準備と、最後までやり抜く覚悟とが備わらなければ、大望は絵空事でしかありません。

2 何ごとも〈今〉が新たなスタート地点であると考え、〈これまで〉を省み、たった今なすべき具体的な方策を確実に実行しつつ大願の成就へ向かおう。
 私たちは常に未熟であり、自分をありのままに観て、そうした自分が今、踏み出すべき一歩を常に考えつつ進むといった検証と研究が欠かせません。

 目的地が高く方法が優れていれば大望の成就となりますが、結果がすべてではありません。
 確かな歩みは、歩みそのものによって人生を充実させ、必ずどこかの到着点へ連れて行きます。
 作家の故吉村昭氏は、作家仲間の立原正秋氏を送り、こう書きました。

「立原氏は逝き、私は鎌倉で営まれた葬儀に参列した。
 私は、祭壇の氏の遺影を見つめながら、小説を未完で終えざるを得なかった無念を思った。
 小説家の避けることのできない宿命であり、それは私自身のことでもある。
 いつかは私も、未完の作品をぽつんと残してこの世を去るにちがいない。」

 ことを為そうとしている人にとって、人生の幕が降りれば未完の部分が残りますが、それはそれとするしかありません。
 たとえ為し切らずとも、為し終えたところが、この世での到着点なのです。
 ──残りを次の世で為せるかどうか。
 それは、み仏へお任せするのみです。

 志を抱き、不断に一歩を踏み出し続け、到着点へ向かって進みましょう。
 その過程に人生の実りは保証されています。




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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