コラム

 公開日: 2012-11-11  最終更新日: 2014-06-04

子や孫のためにふり返っておきたい先人の導き(その33) ─へこたれない心をつくる─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈自然の恵みがご本尊様へ捧げられました〉

 ここでは、昭和6年に発行された小冊子を基にして子供たちの導き方を考えています。

32 「え」 偉くなる人辛抱する人

 すぐへこたれるようでは見込みがない。
 つらい苦しいところを辛抱する人だけが偉くなれるのだ。
 この精神を少年時代から鍛えよう。

 今は偉くなることをあまり望まない時代になりました。
 しかし、社会的な志のある人にとっては、努力をすれば偉くなるすなわち地位が上がるという結果がついてくるのは当然です。
 だから、昭和初期のように大臣や大将や医師といった手本となる偉人がいて「あの人のようになろう」と志すことを「偉くなる」と表現するのではなく、「志を果たす」と言えば違和感がないと思われます。
 クラレが4月に発表した最新の調査によれば、小学一年生の男児ならサッカーなどのスポーツ選手、警察官などが目標となっています。
 女児ならパン屋やケーキ屋、あるいはタレントなどがです。
 中学生になると、ほとんどの調査で男子はスポーツ選手・医師や歯科医・教師・会社員・研究者・警察官や自衛官や消防士などです。
 女子はペットを扱う獣医師など・幼稚園や保育園の先生・パン屋やケーキ屋や栄養士・福祉関係の看護師など・作家やマンガ家・タレントなどに人気があります。
 やはり、人生の理想に偉くなるイメージはほとんどなく、好きなことをやりたいという意志が読み取れます。

 ともあれ、「すぐへこたれるようでは見込みがない」のは確かです。
 では、子供をへこたれない人間に育てるためにはどうすればよいか?
 やはり、明星大学の高橋史朗教授が指摘する「いじめの根っこ」を考えることが、へこたれない、集中力と持続力のある精神をつくるのに欠かせないと思われます。
 教授は、共感性と規範意識の欠如がいじめを生むとしています。

 共感性とは、他者の痛みを我がこととして感得する、見捨てておかれないといった思いやりの姿勢です。
 思いやりがなければ、自分の好き嫌いや都合がいつも最優先で、どこまでも気ままにやろうとします。
 その先には衝突や断絶しか待ってはいません。
 しかも、好き嫌いや都合を通して得られる満足感は常に一過性のものでしかなく、不満、苛立ち、敵対心などにつきまとわれます。

 規範意識とは、人間としてなすべきことと、なしてはならないことを峻別するきまりに従う姿勢です。
 弱いものを苛めるのは卑劣であると知って自分を律することができなければ、弱い者を従わせていっときは暗い満足感を得ようと、自分もまたいつか弱者となって誰かに苛められ、悲痛な思いを味わうことになります。
 規範意識の薄い人は同じような人々と共鳴し、共同して非人間的な行為に走り、自分も又、非人間的な扱いを受ける運命に堕ちてしまうのです。
 だから、人間が人間であるためには自分を律する規範意識が欠かせず、お釈迦様は、「気まま心に負けず、自分を律せよ」と生涯かけて説かれました。

 このように、共感性と規範意識の欠如は必ず心と生活を乱れさせ、集中力と持続力のある精神は育ちません。
 最新の研究によれば、共感性と規範意識を司る眼窩前頭皮質(ガンカゼントウヒシツ)は三歳までに形成されるらしく、まさに「三つ子の魂百まで」なのです。
 育つべき時期に育てられなかった心を後から開発しようとすれば、子供も大人も膨大な汗を流さねばなりません。
 小学校で学級崩壊が始まってからでは大変です。
 半世紀前の小学校の風景と現在の風景をまったく似ても似つかぬものにしたのは何か?
 共感性と規範意識の欠如であると思われてなりません。
 子供たちは、好きなことをしなさい、自分のために勉強しなさいとばかり言われ、家庭も学校も、自己中心の心を制御させない放任の方向へ進んできました。

 こうして考えると、〈いじめる子供〉も〈へこたれる子供〉も、そしてセクハラなどで苛める大人も、何をやっても長続きしない大人も、まさに時代の申し子です。
 へこたれない精神をめざすことは子供にとって大切なだけでなく、酷薄で脆くなってきた現代人の精神を変えるために欠かせないのではないでしょうか。



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL:022-346-2106

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
お客様の声

○Aさん(中年女性)の場合 心身の不調を縁としてご加持を受け、自分の願いが通じると実感されました。 そして祈り方を覚え、商売や家庭にさまざまな問題を抱えなが...

 
このプロの紹介記事
遠藤龍地 えんどうりゅうち

人々が集い、拠り所となる本来の“寺”をめざして(1/3)

 七つ森を望む大和町の静かな山里に「大師山 法楽寺」はあります。2009年8月に建立されたばかりという真新しい本堂には、線香と新しい畳のいい香りが漂います。穏やかな笑顔で出迎えてくれた住職の遠藤龍地さんにはある願いがありました。それは「今の...

遠藤龍地プロに相談してみよう!

河北新報社 マイベストプロ

宗教宗派を問わず人生相談、ご祈祷、ご葬儀、ご供養、埋骨が可能

所属 : 大師山 法楽寺
住所 : 宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL : 022-346-2106

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

022-346-2106

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

遠藤龍地(えんどうりゅうち)

大師山 法楽寺

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
村上春樹氏の「影と生きる」に想う ─影が反逆し始めた世界─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

自衛隊員の本音 ─出征する覚悟、辞める無念─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 不戦堂建立への道 ]

12月の守本尊様は千手観音菩薩です ─救われる時─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 今月の守本尊様・真言・聖語 ]

Q&A(その32)自業自得なら廻向で救われない? ─因果応報と空の話─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 仏教・密教 ]

一年と一周忌供養 ─あの世でもこの世でも救われる話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 葬儀・供養の安心 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ