コラム

 公開日: 2012-11-14  最終更新日: 2014-06-04

三十七の菩薩(ボサツ)の実践(第三十回) ─黙って善行にいそしめるか─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






〈車窓から〉

 菩薩(ボサツ)になるための実践道。第30回目です。
 言葉は専門的ですが、内容には実生活でも役立つポイントが含まれています。
 
「智慧のない五つの波羅蜜(ハラミツ)だけならば
 完全な悟りを得ることはない
 それゆえ、波羅蜜行を伴った三輪(サンリン)無分別智(ムフンベツチ)を修習する
 それが菩薩(ボサツ)の実践である」

 たとえボランティア活動を熱心に行っても、「自分は助けてやっているんだ」といった心があれば、善い行為を行っても、悟りを開くところまでは行けないのです。
 六波羅蜜(ロッパラミツ)すなわち、菩薩になるための6つの修行とは、とは布施・持戒・忍辱(ニンニク)・精進・禅定(ゼンジョウ)・智慧です。

1 施すこと
2 戒律を守ること
3 忍耐すること
4 怠らずやり抜くこと
5 心身を調整し安定させること
6 自己中心でないみ仏の智慧をはたらかせること

 この6つのうち、1から5までに励んでも、6がなければ菩薩にはなれません。
 では、ここで説く、み仏の智慧である「三輪(サンリン)無分別智(ムフンベツチ)」とは何か?
 三輪とは三つの要因です。

1 自分
2 相手
3 その間で行き来するもの

 この3つの〈分別が無い〉とは、3つを分ける意識がはたらかない状態です。
 たとえば、お隣さんへ自分で作った野菜をあげる場合を考えてみましょう。

・上手に作ったのはこの自分であり、有り余っているから施してやるなどという気持があってはなりません。
・お前は困っているだろうからと見下げたり、これをやって歓心を買おうなどという気持があってはなりません。
・こんなに立派な大根をくれてやるんだぞなどという気持があってはなりません。

 朝においしそうな大根を収穫したなら、ごく自然にお隣さんへでかけ、黙って玄関先へ置いて帰り、何ごともなかったかのように新聞を読み始めたりすればよいのです。
 こうして自分にも相手にもモノにも行為にもとらわれず、自然に善行が実践できれば、み仏の智慧がはたらいていることになります。

 11月10日付の朝日新聞『終わりと始まり』で作家池澤夏樹氏がある女性を紹介しています。
 岩手県大船渡市にいるCさんという友人は、震災まで盛岡ではたらいていましたが、3月11日を機に沿岸部へ通うようになり、ついには引っ越しました。
 母子家庭のCさんは、中学3年生のお子さんを育てていますが──。
「平日には土木で働き、週末はボランティアたちが来て泊まるための宿舎をこつこつ整備している。
 放置されたままだった納屋を提供してもらって人が住めるように改築している。
 言うまでもなくこれは無償の奉仕。
『自分は体力があるから』と言って笑うが、とりわけ体格がいいわけではない。
 よくやるなあ、と老いた男は感心するばかり。」

 Cさんが仏教を学んでおられるかどうかは知りません。
 ただ、自然に、み仏の智慧がはたらいておられるなあと、私も感心するばかりです。
 堅苦しく表現すれば「ものごとには独立した自性がない」という空(クウ)を理解しておられるのではないかということになりますが、こう言ってみてもあまり意味はありません。
 黙って大根を差し上げ、黙って汗を流す人でありたいと願うばかりです。
 



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL:022-346-2106

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
お客様の声

○Aさん(中年女性)の場合 心身の不調を縁としてご加持を受け、自分の願いが通じると実感されました。 そして祈り方を覚え、商売や家庭にさまざまな問題を抱えなが...

 
このプロの紹介記事
遠藤龍地 えんどうりゅうち

人々が集い、拠り所となる本来の“寺”をめざして(1/3)

 七つ森を望む大和町の静かな山里に「大師山 法楽寺」はあります。2009年8月に建立されたばかりという真新しい本堂には、線香と新しい畳のいい香りが漂います。穏やかな笑顔で出迎えてくれた住職の遠藤龍地さんにはある願いがありました。それは「今の...

遠藤龍地プロに相談してみよう!

河北新報社 マイベストプロ

宗教宗派を問わず人生相談、ご祈祷、ご葬儀、ご供養、埋骨が可能

所属 : 大師山 法楽寺
住所 : 宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL : 022-346-2106

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

022-346-2106

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

遠藤龍地(えんどうりゅうち)

大師山 法楽寺

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
自衛隊員の本音 ─出征する覚悟、辞める無念─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 不戦堂建立への道 ]

12月の守本尊様は千手観音菩薩です ─救われる時─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 今月の守本尊様・真言・聖語 ]

Q&A(その32)自業自得なら廻向で救われない? ─因果応報と空の話─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 仏教・密教 ]

一年と一周忌供養 ─あの世でもこの世でも救われる話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 葬儀・供養の安心 ]

消えた因縁 ─心の檻(オリ)から脱した話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ