コラム

 公開日: 2012-12-04  最終更新日: 2014-06-04

子や孫のためにふり返っておきたい先人の導き(その39) ─約束を守り人食い鬼を救う話(その1)─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





〈高橋香温先生の作品です〉

 ここでは、昭和6年に発行された小冊子を基にして子供たちの導き方を考えています。

39 「め」 眼の前の仕事に精を出そう
一事を怠る者は万事を怠る。
大事を成し遂げる者は小事を疎(オロソ)かにしない。
机の前の整頓、毎日の予定実行、眼の前の仕事から仕上げてゆこう。

 机の上がいつも本や資料で雑然としている私は、こうした教えを読むと穴があったら入りたいような気持になりますが、「言ったことは行う」という一事によってたくさんの人々を救い、鬼までも救ったお話を思い出したので書いておきます。

─スダーサの息子(その1)─

 お釈迦様が、クル族の末裔(マツエイ)にあたる王家に王子として生まれたおりのできごとです。
 ソーマ(月)ように美しく生まれたスタ(息子)なので、王様はスタ・ソーマと名づけました。
 王子は法(真理)に基づいた言葉を好み、熱心に学んでいました。
 
 ある日、公園へ出かけたところ、善説を語るバラモンがやってきたので聴聞しようとしました。
 そこへ、恐ろしい声を発しながらスダーサの息子がやってきました。
 人を殺すことを何とも思わない羅刹(ラセツ)より残忍で、悪魔より凶暴な姿をしているスダーサの息子に恐れをなし、警護の者たちまでも逃げようとしています。

 人肉を喰うスダーサの息子は、王位に就いた後も行いをあらためず、まわりの人々から殺されそうになりました。
 その時、スダーサの息子は悪鬼たちに救いを求めました。
 悪鬼たちは護る代わりに100人の王子を喰わせるよう求め、スダーサの息子は自分が死にたくないばかりに約束してしまい、これまで幾人もの王子たちを誘拐してきました。
 スタ・ソーマは、こうした彼を哀れと思い、救おうとします。

「私はスタ・ソーマだ。
 あなたは、恐怖に陥った哀れな人々を殺すことに執着して何になるのか?」
「お前を連れ去ることのみが俺の願いだ」
 スダーサの息子はスタ・ソーマを抱え、脱兎の如く森へと連れ去りました。
 屍の転がる家でスタ・ソーマは涙を流しました。
〝私へ善説を伝えようとしてやってきたバラモンはいかに悲しんでいることか。
 しかも、私はまだ、彼に供養してはいないのだ……〟
 スダーサの息子はあざ笑います。
「徳のある賢者として名高いお前が俺の力に屈して泣いているではないか。
 こう言われているぞ。
『苦難の中にあっては勇猛さは虚しい。
 悲しみの中にあっては学問は無意味である。
 なぜなら、打ちのめされ、恐怖で震えない存在など見いだせないからである』
 正直に話せ。
 お前は愛しい生命を、豊かな財を、親しき者たちを、王位を、息子と愛する父王を、涙ぐむ息子たちを想起して泣いているのだろう?」
「違う。
 希望を持って善説を伝えようとやってきたバラモンを思って涙が流れたのだ。
 だから、あのバラモンを供養させてはくれまいか。
 供養したならば、私は必ずここへ戻ってくる。
 これは逃げるための策略ではない」
「信じられるものか。
 死を逃れた者が再び自らの意志で死へ近づくことなどありはしない。
 そもそも、克服しがたい死の恐怖を乗りこえて、安楽に包まれた環境で生きられるお前がここへ戻る理由などないではないか」
「私はスタ・ソーマだ。
 欲や怖れのために、ある人々は誓いを草のように捨てる。
 しかし、善き人々にとって誓いは宝ものであり、生命である。
 それゆえ、苦境の中にあっても誓いを捨てはしない」
「王子よ、行くがいい。
 望みを果たし、急いで戻って来い。
 私はお前を火葬するための薪を用意して待っていよう」

 スダーサの息子は、この世に正義があるかどうか確かめたくなり、スタ・ソーマを帰します。
※(その2)へ続く。


 
 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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