コラム

 公開日: 2012-12-11  最終更新日: 2014-06-04

芭蕉の句「おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな」と衆議院議員選挙

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈(社)岐阜県観光連盟様の観光PR用写真です〉

「おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな」
 
 松尾芭蕉の有名な句には前段があります。

「岐阜の長良川で行われる鵜飼は、世間で大変な評判になっている。
 実際に見ると、おもしろさは、まことに世間で言われているとおりであり、智慧が浅く学問のない私などはとても書き表せないほどだ。
『風情を理解できる人に見せたいものだ』などと口にしながら闇路を帰った。
 この名残惜しい気持をどうしたらよいかわからない。」

 以下は原文です。

「岐阜の庄(ショウ)長柄川(ナガラガワ)の鵜飼とて、世にことごとしう言ひののしる。
 まことや、その興(キョウ)の人の語り伝ふるにたがはず、淺智短才(センチタンサイ)の筆にも言葉にも尽すべきにあらず。
『こころ知れらん人に見せばや』など言ひて、闇路に帰る、この身の名残惜しさをいかにせむ。」

 観賞する上でとても大切なポイントは「闇路に帰る」です。
 この表現は、亡霊が朝の到来と共に、鬼どもの待つ地獄へ向かって帰らざるを得ないという無残さが前提になっており、ただ、暗い夜道をとぼとぼ宿へ帰ったという話だけではありません。
 明々と点された松明の下でくり広げられる遊興によって興奮し、あたかも、いのちの勢いが高揚したかのように思えても、いっときの幻が消え去れば、いつもの地獄に引き戻されてしまうのです。
 芭蕉の「悲しき」は、遊びが終わって残念だなどというだけのことではなく、根源的な悲しみの世界への帰還ではないでしょうか。

 哲学者國分功一郎氏の言う「退屈しのぎ」を思い出しました。
 氏は10月2日の朝日新聞でこう語っておられます。

「政治談義がなぜ退屈しのぎの一つになっていたのかといえば、『お任せ民主主義』の安心感があったからでしょうね。
 どんなに政治家のことをくさしていても、『まぁそれなりのところに落ちつくだろう』という安心感があった。
 いなはそれはない」
「政権交代は歴史的な必然でした。
 公共事業に頼るかつての自民党型政治も、構造改革に頼る小泉純一郎型の政治もどちらもついえた時点で起こった。
 そこで新しい政治が創造されるべきでしたが、うまくいかなかった」
「理由は様々ですが、政治家の『思想』の欠如が大きい。
 日本は、増え続けるパイの分配だけを考えればよかった昔とは違い、政策に厳しい優先順位を付けなければならない時代を迎えています。
 すると、『こういう未来を目指すから、この点は我慢して欲しい』と国民を説得する言葉が求められる。
 そうした言葉を発するには、背骨となる思想が必要です。」
「今の日本では、多くの人がものを考え始めている。
 臣民型の政治文化を脱する機運が感じられる。
 これは注目すべき事態です。」
「3・11は決定打でした。
 多くの国民がお任せ民主主義ではもうダメだと考え始めた。
 マスメディアも政局話ではもう数字がとれなくなっている。
 多くの人の関心は原発とか年金とか、個々の政策の具体的な内容に向かっています。」
「今の問題は、政治について皆が真剣に考えても、それを現実の政治に反映させる道筋があまりにも限られているということです。」
「役所が『ここに道路を作ります』と言ってきたら、それにあらがうのは本当に大変です。
 行政権力の決定に公式に関われる筋道がないからです。
 民主主義というなら、市民が行政権に関われる制度がなければいけない。
 難しいでしょうが、それを考案していくことが急務です。」

 衆議院議員選挙はすでに終盤戦です。
 私たちが退屈しのぎの政治談義から脱して、本当に政治を考え、政治と行政へ関わり、国家的な計画と地方の実情に合った計画とがうまく進んで行くきっかけになって欲しいと強く思います。
 決して、花火のようにいっときの高揚感に惑い、夢や幻を見るだけで、「やがて悲しき」と元の木阿弥にならぬよう願ってやみません。
 そのためには〈惑わされる人〉でなく、〈自分で考え、行動する人〉でありたいものです。



 
 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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