コラム

 公開日: 2012-12-15  最終更新日: 2014-06-04

三十七の菩薩(ボサツ)の実践(第三十四回) ─言葉の刃と言葉の救い─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈薬師如来の霊峰笹倉山を仰ぎつつ〉

 菩薩(ボサツ)になる方法の34回目です。

「汚い言葉が他者を動揺させ
 菩薩(ボサツ)行の在り方を弱めることになる
 それゆえ、他者の心を害するような汚い言葉を捨てること
 それが菩薩の実践である」

 不悪口(フアック)すなわち、粗暴な言葉を用いないようになろうという戒めがあります。
 私たちが粗暴な言葉を用いろ時は、必ず、粗暴な心が生じています。
 怒り、憎しみ、恨み、妬み、蔑み、侮り。
 そこには破戒欲、支配欲などが伴い、何一つ、相手のためになる救いもなければ創造性もありません。
 霊性に蓋(フタ)をかぶせている状態です。

 心で「この野郎!」と思った瞬間、実際に「この野郎!」と口に出し、つまらぬ行動へ走らないための教えがあります。

○怒りが生じたなら、過去の悪業(アクゴウ)を清めるチャンスである

 原因は必ず結果を招きます。
 自分が不利益を与えられたり、不当な扱いを受けたり、バカにされたりしたなら、そういう結果をもたらす何かが自分の過去にあったはずです。
 自分の悪業です。
 いつかは必ず悪しき結果をもたらす原因が過去にあり、今まさに、その結果が出ているのです。
 ならば、「これでチャラ」になるよう、一瞬カッとなっても平静な心を取り戻し、心で相手に「ありがとう」と言ってみましょう。
 ここで忍耐すれば、確実に悪業を一つ、消しているのです。

○悪しき言葉も行為も、相手だけでなく自分をも傷つけ、愚かしく無益でしかない

 相手を「この野郎!」と怒鳴りつけて辱め、怖がらせ、萎縮させたとしても、相手が「すみません」と誤ったとしても、それでことが済むわけではありません。
 相手に何らかの打撃を与えれば、それは悪業を一つ、積んだことであり、いつか必ず、自分自身へその報いがやっってきます。
 自分を傷つけずに相手だけを傷つけられる方法はありません。

 老婆を騙し、威嚇して去った3人の商人が老婆の呪いによって非業の死を遂げた時、お釈迦様は説かれました。

「悪しき言葉でののしり、驕り高ぶって人を蔑む。
 こうした行為は妬み怨みを生じさせる。
 謙遜し、道理に従った言葉を用い、人を尊敬し、煩悩を捨てて悪心を抑えれば、妬みや怨みはひとりでに消滅する。
 人は生まれながらにして、口の中に斧を持っているようなものである。
 自他を切るのは、その悪しき言葉による」

○悪口をグッと呑み込み、真言や経典を心中で唱え、悪心を瞬時に善心へ切り替えよう

 お釈迦様は説かれました。

「空へ舞い上がろうと、海中深く沈もうと、深山の奧へ隠れようと、愚か者は苦をまとい死に追われ、逃れられる先はない」

 私たちに死から逃れる先はなく、前文の商人たちに悪業の報いから逃げる先がなかったように、悪業は自分で報いを受けるか、善業(ゼンゴウ)によってそのはたらきを相対的に小さくするか、対処法は二つに一つです。
 懺悔し、生き直すなどは後者に含まれます。
 ただただ、ご利益があるとされる神様や仏様にすがるだけではどうにもなりません。
 合掌して拝むだけでなく、仏神へ自分の愚かさや悪業などのすべてをさらけ出し、教えを学んで実践することです。
 当山の例祭で行われる護摩法へ参加される方々の多くは、一緒に経典を読み、護摩の火のそばへ来で懺悔し、よき願いをかけられます。
 そうしてよき行動の一つでも実践すればこそ、悪業による災いを最小限度に抑え、善業(ゼンゴウ)の大きな果実を招来できます。

 不悪口の戒律と、愛語(アイゴ)すなわち、慈愛のこもった言葉を使おうという勧めを胸に刻み、菩薩行に励みたいものです。


 
 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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