コラム

 公開日: 2012-12-22  最終更新日: 2014-06-04

三十七の菩薩(ボサツ)の実践(第三十六回) ─言いわけをせず、ただ、利他を実践する─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





「要約するなら、どこでもどんなときも何をしようとも
 自らの心の在りようがどんな状態であっても
 常に念(記憶)と正知を利用して利他を成し遂げようとする
 それが菩薩の実践である」

 要約すれば、菩薩行とは利他行であるということです。
 その実践を行わなければ、いかなる言いわけも通用しません。
 菩薩にとって、利他行を実践できないいかなる場所も、時も、状況も、心の状態もありません。

 たとえば、誰かを憎んで思いやりの心を向けられないとしましょう。
 それによって相手はどうなりますか?
 憎まれただけでは痛くもかゆくもありません。
 憎む当人はどうでしょう?
 決して心は晴れず、不快なモヤモヤに苛まれ、相手を傷つけるためのさまざまな妄想が雲霞の如く湧いてきて、ますます恨みが深まったりもします。
 もしも、思いあまって強迫めいたメールを送ったり、面と向かって暴言を投げつけたりしたならば、相手との関係はいよいよ二進(ニッチ)も三進(サッチ)もゆかなくなります。
 更にエスカレートすれば刑事事件にもなりかねません。
 そうした愚行のどれもが、相手を傷つけるだけでなく、自分自身をそれ以上に傷つけないではおきません。
 もし、相手方に誰からか憎まれても仕方がないだけの理由があった場合であれ、事情は同じです。

 そして、ある日、相手の幸せそうな様子を目にしたならば、天地ほどの分かれ目となる瞬間が訪れます。
 憎しみが100倍になり、堪忍袋の緒が切れ、十善戒に背く悪行へ走るか。
 それとも、誰であっても他の喜びを我が喜びとして喜ぶべきであることを思い出し、喜んでいる相手そのものになってみるか。
 前者は地獄行きの道となり、後者は憎しみを心から追い出す悟りへの道となります。

 後者になるためにこそ、私たちは「観」という分析的な瞑想を修行しているのです。
 経典に則り、道理を用いた思考によって、心を清くする道筋を理解し、よきイメージそのものになり切る訓練です。
1 これを行っている行者は、もしも悪しき心が起こり他を害したい気持になった時、「自分は菩薩行の実践者である」と、我に返ることができます。
2 これを行っている行者は、つねに自分の心の状態を観察しており、責任の持てる行動をとれます。
3 これを行っている行者は、正しい臆念が身につき、正しい智慧がはたらき、利他行を実践できます。

 またしても、映画「悪人」の場面が思い出されます。
 非情な仕打ちでいのちを落とした娘の父親が犯人の一人とおぼしき男の居所を突きとめ、コートの下へバールを隠し持って対面します。
 そして、まさにバールを取り出そうとした時、怯えている相手の愚かしさに気づき、こんな者を相手にしてはいられないと冷静な心がはたらいて、その場を去ります。
 我を忘れず、自他の愚かさを客観的に観たからこそ、第二の悲劇を回避できました。
 常々の心の持ちよう一つで、天と地ほども違う運命を創ります。
 私たちは、日々、おりおりにこうした分かれ道のどちらかを選びつつ生きているという事実を考える時、み仏のお導きはまさに灯火であると思え、合掌してしまいます。



 
 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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