コラム

 公開日: 2012-12-24  最終更新日: 2014-06-04

怒りや憎しみと武器について ─米コネティカット州の惨劇そして広島と長崎を忘れない─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





(276971445805048489_9XrKDPgr_c.jpgをお借りして加工しました)

 12月14日朝、米コネティカット州ニュータウンのサンディフック小学校で男が銃を乱射し、5~10歳の子供20人を含む26人が殺害されました。
 同町は「米国で最も安全」とされる裕福な町であるにもかかわらず、アダム・ランザ容疑者(20才)一人の狂気が町全体を恐怖に陥れました。
 18日、オバマ大統領は涙を交えて記者会見し、民間人が攻撃用銃器を持つことを禁じる法律を作る必要性について訴えました。
  
 冒頭で、大統領は聖書の一節をとりあげました。

「心を失うなかれ。
 外面的は衰えていこうとも、内側は日々生まれ変わるのだ。
 いっときの苦難は光を、そしてそれを上回る栄光をもたらす。
 だからこそ見えるものを見つめるのではなく、見えないものをみようではないか。
 目に見えるものはいっときにすぎないが、みえざるものは永遠のものだからだ。
 私たちが住まう地上の天幕が朽ちようとも、私たちには神から賜った家がある。
 それは天国のとこしえの家であり、人の手によるものではない家なのだ」

 最後に、亡くなった全員の名を読み上げ、締めくくりました。

「神はこの子たちを家に召したのです。
 残された私たちは、前に進む力を探しましょう。
 そしてこの社会を、あの子たちの生きた証に恥じないように努めましょう。
 主の恵みを。
 亡き者たちが主の平安の地で常しえに住まわんことを。
 主の安らぎを願う我らに恵みを。
 そして主の恵みがこの地域とアメリカ合衆国に注がれんことを。」

 21日、全米ライフル協会(NRA)は記者会見を行い、「すべての学校に、武装した警察官を配置すべきである」と訴えました。
 主張の根幹は、「銃を持った悪人の行動を制止できるのは銃を持った善人しかいない」という点にあり、銃の所持規制よりも必要なのは「暴力的シーンにあふれたゲームや映画の制限」であるとしました。
 ブルームバーグニューヨーク市長はこの意見を批判しています。
「NRAは自分たちが生み出してきた問題に向き合わず、万人が武装し、どこも安全でない、より危険で暴力にあふれた米国のビジョンを示しただけである」

 一連のできごとは、私たちに大きな選択を突き付けています。
 暴力を抑えるのに、武器を用いるのか、それとも人間を変えるのか。

 大統領は、キリスト教徒の立場から述べました。

「ただひとつ確実なのは、私たちができるのは、子供たちを愛し、家族を愛し、お互いに愛するということです。
 小さな子供を抱きしめるときのぬくもり。
 そこにはウソはありません。
 子供たちの思い出、子供たちから得られる幸せ、子供たちの目に輝く奇跡の光、子供たちに向けられる私たちの無限大の愛情、無私の愛情、そして自分こえた存在への結びつき。
 こうしたことこそがより重要なのです。
 正しいことをしていると確信できるのは、子供を育て、きちんと教育をし、慈しみの行いを示しているときこそなのです。
 それができれば、私たちが過つはずはありません。」
「イエス・キリストはこういわれました。
『幼子たちを私のもとに来させなさい。
 妨げてはならない。
 天の王国は彼らのものなのだから』」

 仏教徒である私はこう考えます。
「私たちすべてが煩悩(ボンノウ)を克服しない限り、この世から暴力はなくなりません。
 だから、私たちは二つのことを実践すべきです。
 一つは、悪しき心が起こらないよう、心を浄化し、心をコントロールする訓練を怠らないこと。
 もう一つは、悪しき考えを実行するための道具を作らないこと、つまり、武器と兵器を限りなくなくすことです。
 もちろん、核兵器は廃絶せねばなりません。
 人間が核兵器を作り所持するいかなる人道的理由もありはしません。
 私たちは、広島に原爆を落とした爆撃機エノラ・ゲイに乗っていた副操縦士ロバート・ルイスの言葉を忘れてはなりません。
『……神よ、われわれは何ということをしたのか!(My God, what we have done!)』
 最近、たかが半世紀経ったからといって、もう原爆のことは忘れたのかと思うほど、ほとんどの政党も政治家も、核兵器廃絶を言わなくなりました。
 私たち人間の心は、お釈迦様の時代に比べてどれだけ浄化され、倫理的・道徳的にレベルアップしているのでしょう。
 しかし、確かなのは、武器や兵器が2500年前とは次元が異なるほど高性能化していることです。
 人の心が向上せず、他人を殺傷する道具が性能を増しているとしたら……。
 私たちは、宗教宗派を問わず、自らを慎み、悪魔の道具を捨てるしかないではありませんか。
 政治家も宗教者も、私たちの行くべき先をしっかりとイメージする必要があると思います。」

 以下、貴重な資料につき、「バラック・オバマ大統領のコネティカット銃撃事件追悼スピーチ全文訳」を紹介しておきます。
http://blogs.yahoo.co.jp/hiroshikey66/64134007.html

バラック・オバマ大統領のコネティカット銃撃事件追悼スピーチ全文拙訳

知事、ありがとうございます。遺族のみなさん、救助にかけつけたみなさん、ニュータウンの住民のみなさん、聖職者のみなさん、そしてここにいらしたみなさん。聖書にはこうあります。「心を失うなかれ。外面的は衰えていこうとも、内側は日々生まれ変わるのだ。いっときの苦難は光を、そしてそれを上回る栄光をもたらす。だからこそ見えるものを見つめるのではなく、見えないものをみようではないか。目に見えるものはいっときにすぎないが、みえざるものは永遠のものだからだ。私たちが住まう地上の天幕が朽ちようとも、私たちには神から賜った家がある。それは天国のとこしえの家であり、人の手によるものではない家なのだ」(コリント人への第二の手紙より)

今日我々が集まったのは、20人のかけがえのない子供たちと、6人の立派な大人たちを偲ぶためです。みな学校で命を落としましたが、それは他の学校で起きてもおかしくはないことでした。善良な人々が暮らす静かな町で起きたことは、アメリカのほかのどこでも起こりうることでした。

ここニュータウンに私が来たのは、国を代表して愛惜と祈りをささげるためです。言葉だけでは、みなさんの悲しみを癒すには足りないことは十分に心得ています。みなさんの心の傷を癒すことにもならないでしょう。ただ願わくば、みなさんが独り悲しむのではないということを知っていてほしい。我々が住む社会そのものが破壊されてしまったのです。この国すべての人たちがみなさんとともに涙にくれています。みなが子供たちをしっかりと抱きしめました。そして知っていてほしい。どんなことでも慰めとなるようなことを伝えるつもりです。このたいへんな重荷を少しでも軽くできるよう、少しでも悲しみに共感したいと願っています。ニュートンのみなさんは決して孤立してはいないのです。

ここ数日のきびしい日々がすぎ、人々はみなさんの強さや勇気や自己犠牲についてを知りました。サンディ・フック小学校の講堂に危機が迫ったとき、学校関係者は決して怯むことなく、躊躇もしませんでした。ドーン・ホックスプラング、メアリー・シャーラック、ヴィッキー・ソートー、ローレン・ルーソー、レイチェル・ダヴィーノ、そしてアン・マリー・マーフィー。この人々は、他の誰であれ、あの恐ろしい状況下でそう対応すべきと願うであろう行動をとったのです。勇気と愛情をともない、子供たちを守るために命を捧げたのです。

教師の方々の中には、教室の中で人間の盾となり、毅然たる態度をとり続けたそうです。そして生徒たちにこういいました。「いい人たちが来るのを待とう。きっと来るから。そのときは笑顔で迎えよう」

そして「いい人たち」はやってきました。現場に急行した救助隊は、安全な場所へと彼らを誘導し、子供たちを落ち着かせました。責任感から、そして彼らを必要とするほかの子供たちのため、自分のショックやトラウマ状態は二の次と考えたのです。

子供たち同士もお互い助け合ったそうです。お互い抱き合い、子供たちがそうであるように指示にしっかり従いました。ある子供は大人を勇気付けようとしてこういったそうです。「僕はカラテが得意なんだ。だから大丈夫。みんなを助けるよ」

ニュートンのみなさんは、一つのコミュニティとして私たちに感銘を与えました。いいようのない凶暴さに直面し、どうしようもない悪を前にして、お互いを気遣い思いやり、そして愛情を与え合いました。このことでニュートンは人々の記憶に残るでしょう。時間をかけ、神の恵みと共に、このような愛情は人々の心に広まってゆくでしょう。

しかし国民としては、私たちには厳しい問いがなげかけられています。ある人が、親であることの喜びと心配を表現してこういっていました。まるで常に自分の体から心が離れて歩き回っているようなものだ、と。生まれてはじめての泣き声という、もっとも大切な生命の瞬間とともに、私たちの子供は外界にさらされますが、そこには災難や悪意がつきものです。だからこそ親であれば、どんなことよりも優先して子供たちを災厄から守ろうとしないはずがないのです。

しかし同時に、子供がこの世での最初の一歩を踏み出し、その後成長を続けてゆくと共に、私たちのもとからは離れてゆきます。そして常に子供のためにいてやれなくなるのです。子供たちは病気にもなるし、挫折もし、失恋も経験し、失望もするでしょう。そこで我々が学ぶのは、もっとも大切な親の責務は、子供たちが自立し、能力をもち、立ち直る機会を与えるということです。すなわち外の世界に恐れることなく立ち向かう準備を授けることなのです。

このことは誰かの助けなしにはできません。そのことを痛感すればショックを受けるかもしれませんが、どれほど自分の子供たちを愛していても、自分だけではできないことなのです。子供たちを安全に育て、きちんと教育するという私たちの責務は、人々と共になしうることです。友人や近所の人々や地域や国家の助力が必要なのです。その意味では、我々はすべての子供に責任を負っています。お互いがそれぞれ助け合う上では依存しているからであり、その意味では我々はみな親だからです。そしてすべての子供たちは私たちの子供たちだといえるからです。

最優先事項なのは私たちの子供たちを大切にすること。それにまさる責務はありません。それがきちんとできずしては、何事もまともにできるはずがないのです。この責務がきちんと果たされているかどうかが、私たちの社会の判定基準なのです。

しかしその基準でいえば、私たちは国民として、その義務を果たしているとしえるのでしょうか?率直にいって、子供たちを危険から守るために十分な行いをしているといえるのでしょうか?子供たちのために存在し、子供たちが愛されていると声を大にしていえるのでしょうか?われわれはこの国のすべての子供たちが、幸せに、そして目的意識をもって生きるに値する上での助力を行っているといえるのでしょうか?

私は事件が起きてからの数日、このことを考え続けました。率直にいえば、その答えは「ノー」です。私たちの行いは不十分です。何かを変えねばなりません。

私が大統領職に就いてから、銃乱射事件によって破壊された地域への集会に訪れたのは4度目です。4度、生存者を抱きしめました。4度、犠牲者の遺族を哀悼しました。その間、この国での銃撃での死亡者は絶えることがなく、毎日のように犠牲者の統計が発表され、しかもその多くは子供たちです。全米いたるところで町の大小を問わず、たいていその犠牲者の唯一の過失といえば、その場所とその時間にそこにいなければよかったというだけなのです。

もうこのようなことを見過ごすわけにはいきません。悲劇は終わらせなければならない。犠牲者のためにも、何か変えなければならないのです。こうした凶行の背景は複雑だという議論が何度もなされてきました。しかしそれは真実ではない。法律の一つや二つができようと悪は世の中からはなくない、この社会から理不尽な暴力をなくすこともできない、などという議論です。

しかしそれが不作為の言い訳になってよいはずがありません。確実に私たちは少しは社会をよくすることはできるのです。たとえ小さな一歩だとしても、子供や大人や地域社会を、トゥーソンやオーローラやオーク・クリークやここニュー・タウンで起きた悲劇から守るために、何かができるはずです。だとすれば、確実に何かをしなければならないのです。

今後数週間のうちに、私は職務上のいかなる権限をも行使して、法律家や精神医療専門家から親たちや教育者にいたるまで国民の皆さんに約束します。それは、今回のような悲劇が二度と起こらないことを目指し尽力することです。他の選択肢があるでしょうか?毎年のように子供にふりかかるこのような暴力が、自由の対価のようなものだなどと、胸を張っていえるでしょうか?

今日、世界中で信仰されている宗教のすべては、単純な問いかけが原点です。なぜわたしたちは存在するか。私たちの人生にはどんな意味があるのか。私たちの行いにはどのような目的があるのか。私たちの一生ははかないものです。そして私たちは一人一人がそれぞれ役割や楽しみや悩みをもっています。金銭や権力、または一時の快楽などの世俗的な目的を求めたとしても、多かれ少なかれ期待通りにはゆかないことが多いのです。どんなにやる気にあふれていても、挫折することもたびたびあります。失敗もするし困難にも突き当たります。正しい行いをしようとするときにでさえ、たいていは暗中模索しながら、神が与うものをみつけることがなかなかできません。

ただひとつ確実なのは、私たちができるのは、子供たちを愛し、家族を愛し、お互いに愛するということです。小さな子供を抱きしめるときのぬくもり。そこにはウソはありません。子供たちの思い出、子供たちから得られる幸せ、子供たちの目に輝く奇跡の光、子供たちに向けられる私たちの無限大の愛情、無私の愛情、そして自分こえた存在への結びつき。こうしたことこそがより重要なのです。正しいことをしていると確信できるのは、子供を育て、きちんと教育をし、慈しみの行いを示しているときこそなのです。それができれば、私たちが過つはずはありません。

それこそが唯一確実なことなのです。それこそが、ここニュー・タウンの皆さんがあらためて教えてくれたことです。みなさんをみて心をうたれました。何が大切なのかを示してくださいました。そしてこのことこそが、何事においても、私たちの日々の行いでの原点なのです。そうであってこそ、神が私たちが地上に存在する意義を見出してくださるでしょう。

イエス・キリストはこういわれました。「幼子たちを私のもとに来させなさい。妨げてはならない。天の王国は彼らのものなのだから」 (マタイによる福音書19:14)

シャーロット、ダニエル、オリーヴィア、ジョセフィーン、アンナ、ディラン、マドレーヌ、キャサリン、チェイス、ジェッシー、ジェイムズ、グレイス、エミリー、ジャック、ノーアー、キャロライン、ジェッシカ、ベンジャミン、アヴィール、アリソン

神はこの子たちを家に召したのです。残された私たちは、前に進む力を探しましょう。そしてこの社会を、あの子たちの生きた証に恥じないように努めましょう。

主の恵みを。亡き者たちが主の平安の地で常しえに住まわんことを。主の安らぎを願う我らに恵みを。そして主の恵みがこの地域とアメリカ合衆国に注がれんことを。





 
 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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