コラム

 公開日: 2013-01-10  最終更新日: 2014-06-04

「自らと仏と衆生すべてが平等である」とはどういうことか? ─妻・母・中西龍・ミケ子─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





〈今や招き猫として境内地を護る外猫「ミケ子」〉

 瞑想会でご質問がありました。
「自分と仏様と生きとし生けるものが同じとはどういうことでしょうか?」
 お答えしました。

 仕事が遅くまでかかり、もう8時になろうとする頃、病気の妻から声がかかりました。
「お父さん、晩ご飯まだなの」
 苦笑いしつつ、ハッとしました。
 ──自分もこうやって育てられたのだ。
 母は若い時分に教師を務め、小さな私を籠へ入れて教室の隅に置き、教鞭を執っていたそうです。
 そのあとは、父を支えてずっと年中無休の商売をやっていました。
 小さかった私は、そんな母へしょっちゅうねだったいたはずです。
「母ちゃーん、ご飯まだー?」
 うるさいねと叱られたり小言を聞かされて嫌な思いをした記憶がないということは、母はきっと疲れている身体にむち打ち、急いでご飯を出してくれたからでしょう。
 今の自分が妻のためにお勝手へ走り、急いで温かなものを作るのと同じく……。
 ──この歳になるまで母の気持を知らなかったとは何と情けないことか、そして、気づくまで生かしていただいたのは何とありがたいことか。

 また、母親として自分の手一つで育児をしつつ生き、ときおり人生相談に来られるAさんやBさんやCさんを想います。
 ──体調が悪い時も、仕事が溜まっている時も、グチを言わず笑顔を絶やさず、我が子へたっぷりと思いをかけ、目をかけ、手をかけておられるのだろう。
 今の自分が妻へそうしようとしているように……。

 そして、こうした視点、こうした実感や行動がみ仏の視点であり、み仏の心やおはたらきでなければ、私たちは自分たちがみ仏の子であるという真実をどこへも求めようがありません。
 AさんもBさんもCさんも亡き母も自分もみ仏も真実世界では一つです。
 分けようがありません。

 さらに、故中西龍を思い出します。
 彼に私淑していたアナウンサー生方恵一(79才)氏は、NHKの名物アナウンサーだった彼について述べています。

「高校野球の中継なんか、こんなぐあい。
『真っ青に晴れ上がった旭川市営球場。白い雲が右から左にゆっくり流れていきます。あっ、その間にランナー二塁に盗塁成功です』と。
 放送自体がひとつの詩でした」(1月8日付の朝日新聞「しょせん道づれ 男と女」より)

 彼の口から出ていた言葉には、平明に〈事実〉たちが並べられています。
 しかしそこにあるのは、知的に捉えられた物理的現象だけではありません。
 空にも雲にも球場にも球児にも観客にも〈情緒〉が通(カヨ)っており、情緒を共有する者として彼も視聴者も皆、情緒の世界で一つになっていました。
 そしてそこもまた、私たちへ潤いや希望や勇気を与えるみ仏の真実世界だったことでしょう。
 だからこそ、半世紀近く前のできごとが未だに生方恵一氏の脳裏で生き生きと息づき、記事を読む私たちの胸に温かなものを広げてくれます。

 また、二匹のネコも思い浮かびます。
 飼っておられる方や動物好きの方ならおわかりのとおり、ネコにも喜怒哀楽があり、それは人間へ通じてきます。
 ネコの空腹は自分の空腹であって放置できず、ネコが襲われれば自分が襲われるのと同じに追い払い、ネコが陽の当たった温かな砂利の上でゴロゴロすれば自分もたまさかの陽気に感謝します。

 こんなふうに、日常生活において、〈自分と仏様と生きとし生けるものが同じ〉という場面は多々、ありますが、ともすれば、そこが観えなくてギスギスした心になっている場合があります。
 目に映るモノは物理的現象としてのモノでしかなく、声は物理的現象としての声でしかなくなります。
 他人は自分にとって利をもたらしてくれるかどうかで分けるようになり、どんどん他人そのものに対して無感覚になって行きます。
 中西龍が考え、語ったラジオ番組「にっぽんのメロディー」の冒頭を飾るナレーションです。

「歌に思い出が寄り添い
 思い出に歌は語りかけ
 そのようにして歳月は
 静かに流れていきます」

 瞑想を通じて真理を観る智慧と同時に真実を感得する慈悲心をも養い、迷いを離れ、潤いのある生き方をしたいものです。




 
 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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