コラム

 公開日: 2013-01-15  最終更新日: 2014-06-04

和尚さんって神社で柏手を打つの? ─どんと祭の一コマをやや大げさに─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。







 近くの神社で行われる「どんと祭」へは毎年、必ずお詣りしています。
 今年はあいにくの大雪になりましたが、消防団の方々やお世話役の方々が雪かきから豚汁作りまですっかり準備をしてくださっているので、何の心配もせずにでかけました。
 毎日、托鉢を行っていた時代にはたびたび訪れていた神社も、今は、こうして一年に一度だけの参拝となりました。
 裸電球が道案内をされ、杉の大木が絶好の雪除けとなっている参道を行くと、懐かしい明かりが見えてきます。
 逆行の中で動く人のシルエットは、大自然に抱かれたあまりに小さい神社よりももっと小さく、いじらしい感じがします。
「ああ、住職さん、今年もよろしくね!」
 準備万端調えておられた方々から威勢のよい声で迎えられ、何の役にも立てないでいる身をやや縮こまらせながら、変事を帰して社殿へ向かいます。
 お賽銭と御神酒を供え、頭を垂れると自分のこの地に息づく一人である実感がわいてきます。
 やがて神主さんが来られ、儀式が始まりました。
 参拝者は全員、帽子を脱ぎ、低頭します。
 降りしきる粉雪が盆の窪あたりまでかかり、しんしんと冷えながら、祝詞の誓詞どおりに清められて行く実感に感謝しました。







 やがて小さな結界の中に火柱が上がり、人々は思い思いに火の揺らめきを眺めます。
「これでお正月さんも行ったな!
 さあ、今年もやるぞ!」
「んだ。
 いい年にすっぺな」
 交わし合う声と笑顔。
 たまにしか皆さんと同じ時間を過ごせない私も、「そうですね」と〈一員〉らしく呟かせていただきました。

 そこにご近所の酒屋さんの父娘が登場。
 看板娘のフクミさんがお父さんの後で二礼二拍手一礼してから、やおら私の方へ向き直り、一発かましてくれました。
「遠藤さんも、柏手を打つんですか?」
 ──エッ!?……
 お互いに理解し合っているファン同士だと思っていたのに、このご質問には少々ガッカリです。
 だから、やや声を強くして答えました。
「もちろんです!
 神社では柏手を打ち、教会では讃美歌を唄います。
 昔から、『郷に入らば郷に従え』と言うとおりです。
 これが人間同士、仲良くやっていくための、万人に共通する鉄則です」

 人それぞれ何を信じようと自由であり、仏であれ、神であれ、自然であれ、信じるものの客観的な価値判断は誰にもできません。
 ただ二つだけ言えるのは、自分が仏神のような存在でもないのに、他人の信じるものを邪宗と決めつける傲慢さを持ってはならないこと。
 そして、他人の信じるものが自分の信じるものと違うからといって、他人の信じるものや他人そのものを排斥してはならないことです。
 この〈否定〉と〈排斥〉こそ宗教の名を借りながら私たちを対立させ、争わせる悪しき心です。

 何度かこうした話をしているはずのフクミさんだから、さっきのはきっと、お祭の雰囲気が言わせた冗談だったのだろうと気を取り直して豚汁の旨さに没頭しました。
 いちいち、こんなふうに大げさにしてしまうのは大人げないなあ、と自分の性格を省みながら帰途につきました。
 それにしても、裸電球の明かりは限りない懐かしさを覚えさせます。
 今年も、皆さんにとって、よい年になりますよう。 




 

 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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