コラム

 公開日: 2013-01-16  最終更新日: 2014-06-04

これって輪廻転生? ─孫が生まれた後にお祖母ちゃんが亡くなって、輪廻を感じた話(その1)─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 これからご葬儀という朝、80才を過ぎた喪主のAさんがにこやかに控え室を訪れ、挨拶をされました。
 どうぞとイスを勧めたところ、やおら切り出された。
「このたび亡くなった妹は、誕生祝いを終えてすぐの他界でした。
 誕生祝いにはもう一つの意味があり、その数日前に孫が生まれていたのです。
 孫の誕生を喜んだ私たちが、引き続き、一緒に喜んでいた妹を送ることになり、この世へやってくる者と、この世から去る者の交差を意義深く感じています。
 こうした感慨を仏教の言葉ではどう表現するのでしょう?
 何となく『輪廻』を想うのですが……」
 
 Aさんは、ご縁があって当山へご葬儀を依頼されましたが、戒名も位牌もいらない家族葬を望まれました。
 その理由をこちらからお尋ねはしません。
 しかし、会館で真言宗の本尊大日如来をお祀りして作法通り枕経とお通夜を行い、経文と僧侶へもきちんと敬意をはらわれる様子に違和感はありません。
 お答えしました。
「そうです、輪廻転生(リンネテンショウ)です}
 Aさんは重ねて、さすがの質問をされます。
「転生になるのでしょうか?」
 孫が生まれてからお祖母さんが亡くなっており、転生とするには時間的な説明がつかないのではないかと言うのです。
「仏教で説く輪廻転生は、怪しい占い師が断言するような、特定の魂が時空を超えて再生するといったものではありません。
 あなたの前世は中世の騎士です、などというご託宣は仏法の本質をふまえておらず、真理とする根拠がなく、ほとんど冗談や笑い話の類です。
 もちろん、超人的なレベルへ到達された方々に関するものは、我々凡夫の認識力や判断力を超えているので、例外的にそう見えるケースがあっても不思議ではありません。

 さて、お釈迦様は、永遠不変の魂(アートマン)があるとは言えないとされました。
 自分はここにいるし、自分の身体も確かに有るが、それは、諸条件によってかりそめに有るだけであり、永遠不滅の〈自分の魂〉がこの心と身体を支配し存続させているわけではないのです。
 これを空(クウ)と表現します。
 空は〈無い〉のではなく、欠けることなく満たされている真実を指します。
 しかし、この真実は、私たちの目に見え、耳に聞こえるものをそのまま相手にしているだけではなかなかつかめません。
 表れとして見聞きできるこの世は、空というありようをそのまま私たちへ示してはいません。
 私たちの心に、生き続けてたいという暗黙の前提があり、それが抜きがたいフィルターとなっているからです。
 生きものとしての私たちは、ありのままに空を観られず、自分のいのちにとらわれて自己中心となり、自分の都合で愛憎を生み、他を害し、この世を苦の岐にしています。
 だから、お釈迦様は端的に、『普段、見聞きしているこの世にそのまま流されている限りは苦から解放されない。真実を観る目を持つために学び、修行せよ』と説かれました。
 決して闇雲に信じることを強制せず、学び、研究し、道理であると納得したものを身につけながら生きよと諭されました。
 だから仏教は、哲学や倫理学はもちろん、現代では心理学などの科学さえもふまえながら練られ、探求され続けています。
 仏教は、空を観る目の養い方を探求し、発展してきたと言っても過言ではありません。
 世界中に地域や歴史の色合いをまとったさまざまな仏教があるのはそのためです。
 宗派が数多くあって何の不思議もないのです。
 では、お釈迦様が説かれた輪廻転生とは何か?
 不動不変の魂が生まれ変わり死に変わりするのでなければ、仏教はなぜ、輪廻転生を説くのか?
 物質的世界と精神的世界は、お互いに関わり合いながら存在しているが、一体ではないというところに問題を説くカギがあります。」

※以下、「その2」へ続きます。



 

 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL:022-346-2106

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
お客様の声

○Aさん(中年女性)の場合 心身の不調を縁としてご加持を受け、自分の願いが通じると実感されました。 そして祈り方を覚え、商売や家庭にさまざまな問題を抱えなが...

 
このプロの紹介記事
遠藤龍地 えんどうりゅうち

人々が集い、拠り所となる本来の“寺”をめざして(1/3)

 七つ森を望む大和町の静かな山里に「大師山 法楽寺」はあります。2009年8月に建立されたばかりという真新しい本堂には、線香と新しい畳のいい香りが漂います。穏やかな笑顔で出迎えてくれた住職の遠藤龍地さんにはある願いがありました。それは「今の...

遠藤龍地プロに相談してみよう!

河北新報社 マイベストプロ

宗教宗派を問わず人生相談、ご祈祷、ご葬儀、ご供養、埋骨が可能

所属 : 大師山 法楽寺
住所 : 宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL : 022-346-2106

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

022-346-2106

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

遠藤龍地(えんどうりゅうち)

大師山 法楽寺

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
自衛隊員の本音 ─出征する覚悟、辞める無念─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 不戦堂建立への道 ]

12月の守本尊様は千手観音菩薩です ─救われる時─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 今月の守本尊様・真言・聖語 ]

Q&A(その32)自業自得なら廻向で救われない? ─因果応報と空の話─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 仏教・密教 ]

一年と一周忌供養 ─あの世でもこの世でも救われる話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 葬儀・供養の安心 ]

消えた因縁 ─心の檻(オリ)から脱した話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ