コラム

 公開日: 2013-01-27  最終更新日: 2014-06-04

【現代の偉人伝】第165話 ─無料学習教室を支える方々─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






〈殺意さえ感じさせる氷柱だが、これで殺された人は知らない。必ず自ら融け堕ち、春の潤いをもたらす〉

 1月24日付の産経新聞は「貧困の連鎖 3代目に突入」として無料学習塾の実態をとりあげた。
 二段二分の一にも満たない小さな記事だが、暗夜航路中に遙かな燈台の明かりを見る思いだった。
 生活保護を受給する世帯主の25パーセントが生活保護受給世帯で育ったとされる〈貧困の連鎖〉についてはあちこちで言及されており、もはや、普通のありさまという錯覚をしてしまいそうになるところが恐ろしい。
 生活に困窮している家庭では、当然、子供の教育にかける充分な学資はない。
 それを知っている子供は早いうちに大学や高校への進学を諦めるので、当然、学習意欲を失う子供が多くなる。
 もちろん、進学を手助けする各種の制度はあるが、いったん意欲を失って、関心が多方面へ向かえば制度は何ら役に立たない。
 たとえは悪いが、古人の言葉を思い出す。
「馬を水辺に連れて行くことはできるが水を飲ませることはできない」
 だから、学習意欲をいかに保たせるかが大事であり、ここが欠けていればどうにもならない。
 
 記事は、埼玉県所沢市にある無料学習教室について書く。

「午後6時すぎ、埼玉県所沢市の老人ホームの一室に集まった中学生約25人が、数学や英語などのドリルを黙々と解き始めた。
 ほぼマンツーマンで教えているのは教師OBや大学生のボランティア。県が週2回ほど実施する生活保護世帯の子供を対象にした無料の学習教室だ。
 九九など小学校で習う内容に格闘する生徒もいるが、大学3年の吉川ゆかりさん(21)は子供たちが分かるまで根気よく説明する。
 入間市から通う中学2年の女子生徒(14才)は1年間で学年成績が40番台から12番まで上がり、『分からない問題が解けると楽しくなった』の胸を張る。
 数学が苦手という中学3年の女子生徒(15才)も『学校で聞きにくいことも、ここなら質問できる』とはにかむ。」

 懸命にやる、そして手応えをつかむという〈成功体験〉そのものが、子供たちの成長過程にあって大きな影響力を持っている。
 ここで学ぶ子供たちの多くは母子家庭だという。
 はたらかねばならない母親は、子供の学習に根気強くつき合う余裕がなかなかない。
 そして子供は一人で小さな壁を乗り越えられず、早々に〈挫折体験〉をしてしまう。
 ましてや、周囲の仲間たちは学習塾に通い、自分より何歩も前をすたすたと歩いている。
 その様子がまた、挫折の心理を深めてしまう。
『彩の国子ども・若者支援ネットワーク』の白鳥勲代表理事(66才)は言う、

「大人を頼るという普通の子供がもっている〝スキル〟を身につけないまま学校に入った子供は、先生に質問することができない。
 勉強についていけなくなり、進学を断念することが多い。」

 ことは、いじめの問題にもつながっている。

「こうして発生するコミュニケーション能力の欠如が、不登校やいじめを誘発することもある。」

 平成22年9月にスタートし、現在22カ所になった無料学習教室はめざましい成果を上げている。
 21年度には86・9パーセントと全世帯の平均98パーセントより低かった生活保護世帯の高校進学率が23年度には89・2パーセントとなり、教室参加者のみでは98パーセントになった。
 教室に通い、成績を伸ばすだけでなく、心も力強く伸びて行くとは本当に嬉しい。

 白鳥氏の指摘を待つまでもなく、貧困の連鎖は3代目に突入している。
 氏は言う。

「学ぶ意欲が旺盛な子供たちの潜在能力を親が引き出せないなら、地域や行政がフォローしていく仕組みを教化しなければ」

 周囲でのんびり、ぶらぶらしている同輩方を眺めながら走りまくっている年寄りの身としては、年配者も役立つ無料学習塾はないのかと思う。
 もちろん、いまの私には、自分の参加は夢のまた夢でしかないが、どうにか生きられる年配者方が、優雅に過ごす時間とお金と能力の一部を差し出すシステムがあればよいと思う。
 それは子供の役に立つだけでなく、年寄りの役にも立ち、結果的に経済格差の解消にも役立つのではないか。
 このシステムが発展し、子供と年寄り双方を救って欲しい、そしていつか、後継者へ法務をバトンタッチする時に、お役に立てる頭と身体でありたいものだと願う。
 経済格差、貧困の連鎖という悪しき共業(グウゴウ)に蟷螂の斧(トウロウノオノ)をもって立ち向かいたい。

※「蟷螂の斧」はカマキリが手にしている斧のことであり、小さな力で大きなものごとにぶつかる喩え。





 

 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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