コラム

 公開日: 2013-01-29  最終更新日: 2014-06-04

2月の聖語 ─見て迷うか、それとも観て悟るか─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 お大師様の言葉です。

「内外(ナイゲ)の諸色(ショシキ)、愚においては毒となり、智においては薬となる、
 故に『よく迷い、またよく悟る』という。」(空海BOTより)

 仏教世界の中であっても、真理を信じない外道(ゲドウ)の世界であっても、目に映る色や形や動きは自然に成り立っており、同時に、空(クウ)なるものとしてかりそめの姿を見せています。
 これをいかなる目で観るかによって、ありとあらゆるものが苦を生じる毒ともなり、自他を救う薬ともなります。

 見えるものを実体視して、「もっと、もっと」と貪ったり、いつまでも「自分のものにしておきたい」と執着したりすれば、迷いの世界になります。
 そこには一時的な楽しみはあっても、必ず自他を傷つける苦しみがやってきます。
 まず、身体がある以上、〈痛み〉という苦しみから逃れることはできません。
 ストレスが胃腸を傷めたり、頭痛を引き起こしたりすることは広く知られています。
 そして、〈変化する〉という苦しみもあります。
 自分が老い、病気になり、いつかは死ぬのはもちろん、いかに可愛がり大事にしているネコやイヌでも、必ず老いて死にます。
 また、〈因果関係にある〉という苦しみもあります。
 誰でも愛する相手と出会うのは嬉しく、憎み怨む相手と出会えば嬉しくありません。
 しかし、相手が人間であってもなくても、あらゆる因縁の糸は思うとおりに結べるものではなく、たとえば散歩中に誰に出会うかわからず、もちろん出会う相手を決められないことを考えても明らかです。
 これが「毒となる」の意味です。

 一方、自分の身体を含めてすべては空(クウ)であると観る心の目には、まったく様相の異なった世界がたち顕れます。
 愛するものも憎むものも空(クウ)と観て、〈貪り〉や、〈怒り〉や、どうにかして手放さないでおきたいという万物流転の真実に反する〈身勝手な考え〉を離れてしまえば、目に映る色や形や動きは苦をもたらさなくなるのです。
 空の真理に立つ時、見えるものは真の生きがいをもたらします。
 それが「薬となる」の意味です。
 もちろん、身体をつねられれば誰でも痛いと感じるのは身体が危険信号を発しているからであり、健康な証拠ですが、輪廻転生(リンネテンショウ)の中にあっても、人間の身体を離れて天界へ入れば、苦苦(クク)といわれるこの苦は消滅します。
 天界でさらに上位の悟りへ入れば、壊苦(エク)といわれる変化による苦もなくなります。
 そして最上位の神となれば、行苦(ギョウク)といわれる因縁による苦もなくなるとされています。
 悟りにほど遠い身には、このように説かれた内容を実感できません。
 しかし、おそらくはガンだったであろうと推測されているお大師様が、死の2年前から食事制限を行いつつ驚異的な活動を続け、最期は水も飲まず座禅姿のままになられたという事実には考えさせられます。
 また、やはり座ったままポンと向こうへ行った行者の方々や、お大師様がいまだに昔の姿を留めているとされるほどではなくても死後しばらく屍体が腐敗しなかった行者の例を考えても、肉体的な苦を超える精神の高みへ想像力で近づくことはできます。

 目に見えるこの世としての現象界を、苦にまみれた迷いの世界として生きようとするか、それとも、み仏の徳に満ちた悟りの世界として生きようとするか、すべては私たちの心と行動にかかっています。
 


 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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