コラム

 公開日: 2013-02-05  最終更新日: 2014-06-04

迷った霊がいろいろ音を立ててうるさいのですが……(その1)

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





  関東方面から憔悴した表情のAさんがご来山されました。
「ウチに一人の霊がいて、いろいろな音を出すので困っています。
 子供も最近、ふさぎ込むようになってしまい、とても心配です。
 霊能者の方々に見てもらったら、未成仏霊があなたに憑いて歩いていますと言われ、怖くてたまりません。
 何とかできないでしょうか」
 申しあげました。
「同様なご相談はたくさんあります。
 いくつかの面から考えてみましょう。
 まず、第一は、〈音〉と霊の関連性です。
 貴方は霊が音を出していることをどうやって確認されましたか?
 もしくは、そう信じる根拠は何ですか?
 誰かにそう言われたから、そんな〈気がする〉だけではありませんか?
 そもそも、聞こえたことと、聞こえたような気がすることとを、はっきりわけておられますか?

 たとえば、貴方がそこに座られてから今の瞬間まで、本堂の周囲から、バタンとかササッとかギーとかドスンとか、いろいろな音が聞こえましたが、貴方は何が音の原因であるかわかりますか?
 もしも私が超能力者を装って貴方を怖がらせようとしたなら簡単です。
『ここにはさまざまな霊を背負った方々が来られるのでウチで引き取りますが、私が法力で抑えているので心配はいりませんよ。
 今、パタパタと足音がしたのは、朝一番で来られた方の首根っこにしがみついていた子供の霊です。
 アッ、貴方の真後にちょこんとお座りしました!
 真っ青でのっぺらぼうなのに、口だけを大きく開けて笑っています!』
とでも申しあげましょうか。
 しかし、私はそんな無責任なお話を申し上げるわけにはゆきません。

 さて、あの音たちの真の原因は何でしょう。
 私にはいくつか想像がついても、あまりわからないのが事実です。
 体験上、雪が二段式の屋根の上段から落ちる音や、居合の道場の表示板が風に揺れて外壁にぶつかる音などは判断できますが、多くはわかりません。
 建物が完成した時、宮大工さんから言われました。
『こうした大きな木造の建物は、全体が落ち着くまでいろいろな音をたてますが心配しないでください。
 バリンと聞こえても心配要りません。
 太い柱がある程度割れるのはしかたがありません。
 木は生きものですから膨張したり縮んだりもします。
 そうした関係もあって、いろいろなことが起こります。
 おりおりに様子を見に来て、必要な時は手を加えながら長く持たせるようやって行きますので、大丈夫ですよ』

 申しあげたいのは、不安や恐怖心から胆略的に結びつける癖がついてしまうと、すべてが〈そのせい〉に思えてしまい、正常な判断力がはたらくなり、生活に混乱などの支障を来す場合もあるから注意しましょうということです。
 源平の合戦で富士川の戦いという有名なエピソードがあります。
 源氏の部隊が夜の闇に紛れて奇襲をかけようと富士川に馬を乗り入れたところ、寝ていた水鳥たちが一斉に飛び立ちました。
 そのものすごい音にびっくりした平家の兵たちは大軍に襲われたと勘違いして恐怖心にかられ、戦わずして敗走したというものです。
 エピソードとなっている事実がどうだっかたか詳しいことはさておき、〈~である〉と〈~の気がする〉をできるだけはっきりと分け、自分で確認をしてもわからないものは〈わからない〉という判断に留め置く冷静さが必要です。

 行者は経典で厳しく戒められています。
「水に映った月を見て、月があると判断してはならない。
 手で回される松明の輪を見て、火の輪があると判断してはならない。
 蜃気楼を見て、現実の景色と判断してはならない」
 修行を進めて行く過程で心の状態が非日常的になり、いろいろと〈見え〉たり〈聞こえ〉たりしても、そうした妄想にとらわれたり、超能力が身についたなどと思い誤ってはならないのです。

 貴方の場合は、音と霊を結びつける思考回路ができてしまっている様子なので、とても大変だろうということは理解できます。
 さっきから貴方がここで体験されているわけのわからないさまざまな音たちについての私の説明を頭の片隅へ入れておき、貴方の家で耳にする音たちと霊の関係をおちついて判断し直してください。
 そうであると確信できるものと、確信できないものとをある程度、分けてみるだけで、相当、お気持が変わるのではないでしょうか」




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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