コラム

 公開日: 2013-02-06  最終更新日: 2014-06-04

【現代の偉人伝】第167話 ─告発状を発した女子柔道界の選手たち─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





〈2月5日付の産経新聞からお借りしました〉

 日本を代表する女子柔道界の面々が発した告発状のとおりであれば、凄まじい実態というしかない。
 もちろん、監督をはじめ全柔連の役員の方々に、いわゆる悪気(ワルギ)があったとは思えない。
 ただひたすら、結果を出したい一心で、これまで行われてきたやり方を徹底してやったのだろう。
 それがどれだけ選手たちを苦しめていたか、気づかなかった、あるいは気づいていても〈これまで流〉を押し通したことは、しっかり省みられなければならない。
 人間性が強制的な抑圧によって育てられることはあり得ず、人間性の破壊を代償として手に入れるべきものなど何一つないからである。

 ダライ・ラマ法王が説かれたとおり、私たちは皆、苦から脱し、幸福になりたいと望んでいる。
 また、そうした者同士が、相互に依存し合いながら成り立っているのがこの世の実相である。
 ならば、選手の一人一人がいかに過酷な練習で心身を鍛えようとも、心中の願いは幸せという心のありようにあり、〈心身ともに深く傷つき〉ながら鍛えたいなどという選手は存在しない。
 また、監督の成功も、JOCの成功も、選手たちの成功なしにはあり得ず、システムを動かす管理的立場にある人々とシステムに合わせて動く選手たちの間には本来、人間的上下関係など存在しない。

 今回の事件にまで突き進んでしまった〈これまで流〉には、こうした人間と社会についての洞察が欠けていたのではなかろうか?
 人類はまだまだ種として発展途上にあると認識させられる一方、勇気ある告発ができる日本であることを誇りに思い、日本が世界に対して果たす役割は、一人一人がより開かれた社会で伸び伸びと互いの幸せを求めている姿を見せることではないかとも思う。

 おりしも、インドではシン内閣が、性犯罪の厳罰化のために刑法改正を行う大統領令案を承認した。
 強姦罪の最高刑が死刑になるとは驚きだが、被害者が死亡または植物人間になった場合とされている。
 振られた男性が女性の顔に塩酸をかけるという信じがたい事件も横行しているが、10年以上の懲役となる「酸攻撃罪」やストーカー罪も親切されるという。
 同時に、宗教者による別の方向を向いた動きもある。
 イスラム教の指導者バシルディン氏が、10代の女性3人が結成した初の女性ロックバンドに対して、社会的影響力の強いファトワー(宗教見解)を発した。
「(若い女性が)公の場で歌うできでない」
「(歌いたければ)家の中で歌えばいい」
「レイプは若い女性たちに責任がある。
 外出する際には、体を露出しない服を着なければならない」

 女子柔道界の面々には申しわけないが、他国の実情を知るにつけ、日本に生まれたことを感謝する気持になる。
 今回の事件がこれまで溜まった澱(オリ)を洗い流し、日本の社会が持つ健全さをさらに大きくする契機になれば、告発にかかわった方々の苦しみもいくらかは癒されるのではなかろうか。
 ことは、きっと、女子柔道界に限ったものではなかろう。
 皆が血の滲むような告発状に目を通し、苦を同じくする気持を抱き、周囲にある同様な〈澱〉をなくしたい。
 まずは、一字一句をよく読もう。
 出発点にしっかりと立ちたい。

柔道暴力問題 15選手による声明全文

 皆さまへ

 このたび、私たち15名の行動により、皆さまをお騒がせする結果となっておりますこと、また2020年東京オリンピック招致活動に少なからず影響を生じさせておりますこと、まずもって、おわび申し上げます。

 私たちが、JOC(日本オリンピック委員会)に対して園田前監督の暴力行為やハラスメントの被害実態を告発した経過について、述べさせていただきます。

 私たちは、これまで全日本柔道連盟(全柔連)の一員として、所属先の学校や企業における指導のもと、全柔連をはじめ柔道関係者の皆さまの支援を頂きながら、柔道を続けてきました。
 このような立場にありながら、私たちが全柔連やJOCに対して訴え出ざるを得なくなったのは、憧れであったナショナルチームの状況への失望と怒りが原因でした。

 指導の名の下に、または指導とは程遠い形で、園田前監督によって行われた暴力行為やハラスメントにより、私たちは心身ともに深く傷つきました。
 人としての誇りを汚されたことに対し、ある者は涙し、ある者は疲れ果て、またチームメートが苦しむ姿を見せつけられることで、監督の存在におびえながら試合や練習をする自分の存在に気づきました。
 代表選手・強化選手としての責任を果たさなければという思いと、各所属先などで培ってきた柔道精神からは大きくかけ離れた現実との間で、自問自答を繰り返し、悩み続けてきました。

 ロンドン五輪の代表選手発表に象徴されるように、互いにライバルとして切磋琢磨し励まし合ってきた選手相互間の敬意と尊厳をあえて踏みにじるような連盟役員や強化体制陣の方針にも、失望し強く憤りを感じました。

 今回の行動をとるにあたっても、大きな苦悩と恐怖がありました。
 私たちが訴え出ることで、お世話になった所属先や恩師、その他関係の皆さま方、家族にも多大な影響が出るのではないか、今後、自分たちは柔道選手としての道を奪われてしまうのではないか、私たちが愛し人生をかけてきた柔道そのものが大きなダメージを受け、壊れてしまうのではないかと、何度も深く悩み続けてきました。

 決死の思いで、未来の代表選手・強化選手や、未来の女子柔道のために立ち上がった後、その苦しみはさらに深まりました。
 私たちの声は全柔連の内部では聞き入れられることなく封殺されました。
 その後、JOCに駆け込む形で告発するに至りましたが、学校内での体罰問題が社会問題となる中、依然、私たちの声は十分には拾い上げられることはありませんでした。
 一連の報道で、ようやく皆さまにご理解を頂き、事態が動くに至ったのです。

 このような経過を経て、前監督は責任を取って辞任されました。

 前監督による暴力行為やハラスメントは、決して許されるものではありません。
 私たちは、柔道をはじめとする全てのスポーツにおいて、暴力やハラスメントが入り込むことに、断固として反対します。

 しかし、一連の前監督の行為を含め、なぜ指導を受ける私たち選手が傷つき、苦悩する状況が続いたのか、なぜ指導者側に選手の声が届かなかったのか、選手、監督・コーチ、役員間でのコミュニケーションや信頼関

係が決定的に崩壊していた原因と責任が問われなければならないと考えています。
 前強化委員会委員長をはじめとする強化体制やその他連盟の組織体制の問題点が明らかにされないまま、ひとり前監督の責任という形をもって、今回の問題解決が図られることは、決して私たちの真意ではありません。

 今後行われる調査では、私たち選手のみならず、コーチ陣の先生方の苦悩の声も丁寧に聞き取っていただきたいと思います。
 暴力や体罰の防止はもちろんのこと、世界の頂点を目指す競技者にとって、またスポーツを楽しみ、愛する者にとって、苦しみや悩みの声を安心して届けられる体制や仕組みづくりに生かしていただけることを心から強く望んでいます。

 競技者が、安心して競技に打ち込める環境が整備されてこそ、真の意味でスポーツ精神が社会に理解され、2020年のオリンピックを開くにふさわしいスポーツ文化が根付いた日本になるものと信じています。

 2013年(平成25年)2月4日

 公益財団法人全日本柔道連盟女子ナショナルチーム国際強化選手15名




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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