コラム

 公開日: 2013-02-07  最終更新日: 2014-06-04

「しまった……」と思った時の解決法

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。







 当山へは、失敗を悔やみ、救いを求める方々も足を運ばれます。
 よく、このように申しあげます。
「こうして、み仏の前へ来られたこと自体、もう、確かな救いの中にあります」
 とてつもない失敗者たる自分、そこからどうにかここまでやってきた自分の体験が言わしめる言葉です。

 さて、どうするか。

 まず、自らの過ちを恥じることが大切です。
 何ということをしてしまったのか、何てばかなんだ──、と、深く自省しなければ何も始まりません。
 己の愚かさが恥ずかしくてならないと思えなければ、きっとまた、やらかすことでしょう。
 み仏は「恥知らずは人間ではない」と厳しく戒めておられます。(詳しくはブログ内『罪と罰 《その3》』にあります)

「慚愧(ザンギ)無き者は名づけて人と為さず、畜生と為す」

 そして、詫びずにいられなくなります。
 相手だけでなく、救済力を持つ大いなる者へ詫びて、詫びて、「自分が悪かった」という思いを吐き出さないではいられなくなります。
 仏道修行は、この言葉をつぶやきながら行う五体投地(ゴタイトウチ)から始まります。

「南無(ナム)帰命(キミョウ)頂礼(チョウライ)大日如来(ダイニチニョライ)慚愧(ザンギ)懺悔(サンゲ)六根罪障(ロッコンザイショウ)滅除(メツジョ)煩悩(ボンノウ)滅除(メツジョ)業障(ゴッショウ)」

(大日如来様へ帰依し、ひれ伏して礼し、目や耳などの六つのはたらきによる罪障をすべて恥じ、お詫びして悔い改めます。煩悩とそれがつくった悪業《アクゴウ》の障りとをすべて滅除してくださいますよう)
 こうして自分の愚かさがもたらした罪も穢れも、み仏のお力によって祓い去っていただけるよう、五体に象徴される〈自分の全て〉を投げ出して祈るのです。

 次は、二度と繰り返さない自分になりたいと思います。
「もう、こんなことをしてはならない。こんな自分ではいられない」
 坐して、経典や真言を唱え、心を変化させて行く修行が始まります。
 無限にはたらく心は巨大な船のようなものであり、船が急旋回できないのと同じく、心に染みついた傾向は簡単に変わりはしません。
 大切なのは目標となる明かりを見定めたなら、そちらへ舵を切り、決して諦めないことです。
 決心は深い慚愧(ザンギ)と懺悔(サンゲ)によって瞬間的にも定まりますが、そこからいかに進み続けるか。
 お釈迦様は説かれました。

「忍(ニン)は行(ギョウ)の尊」

 耐え抜いてぶれない心こそ、目的へ向かう修行を支える最も尊い力になるのです。

 ところで、数々の爆破事件などにより死刑が確定した大道寺将司(65才)は、確定後の26年間を獄中で過ごしつつ、凄みのある俳句を詠み続けています。

「風強き荒野に起てるいぼむしり(カマキリ)」
「枯野ゆく胸にひとつの灯を点(トモ)し」
「大寒の病を得ての性根かな」

 死刑囚の心に去来するものを推しはかることはできませんが、死をすぐ目の前にして動じない何かがあることは感得できます。
 作家辺見庸氏は大道寺将司の句集に序文を書きました。

「生きるとは、それ自体が現に証(アカ)しなのではない。
 生きるとは、生きる主体が生きてあることをどうにかして証そうとすることである。
 ひとの尊厳の根は、そこにある」

 どう証すか。
 大道寺将司は、慚愧と懺悔のほどは不明ながら、十七文字に証そうとしています。
 己の深い愚かさを知り、恐ろしい悪業を放置できない私たちは、煩悩(ボンノウ)と業障(ゴッショウ)を削ぎ落とすことをこそ証す方法としましょう。
 悪行から離れ善行を行う小さな実践の積み重ねをこそ、確かな証しとしつつ歩みましょう。
「しまった……」はその尊い出発点なのです。




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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