コラム

 公開日: 2013-02-09  最終更新日: 2014-06-04

第37回寺子屋『法楽館』 ─法楽農園を始めます(フリーな憩いの場として)─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。







 本日、午後1時30分より、第37回寺子屋『法楽館』を開催します。
 1月23日、「法楽農園を始めます ─フリーな憩いの場として─」(http://hourakuji.blog115.fc2.com/blog-entry-3575.html)へ書いたとおり、本日の寺子屋で現地見学などを行います。

 想えばビオトープの発想は、現在の境内地を整備し始めた時からの発想でした。
 3800坪の土地は大部分が平坦ですが、ニセアカシアなどの雑木が茂り、道もありませんでした。
 重機を使いながら徐々に切り拓く過程で、さまざまな先住の生きものたちを追い出しているという意識が常につきまとい、平成17年にはこう書いています。

「当山では『守本尊霊場』を自然生態系の生きるビオトープにしたいと願い、手始めに小川を作り始めました。
 重機で掘っていただいた堀を崩れないようにするための石や岩が必要なのですが、とても買えません。
 たとえ何ヶ月かかろうと一個一個積み上げて完成させたいと願っていますので、ご不要な石や岩(一人か二人で持てる範囲のもの)をお持ちの方は、大小にかかわらずご提供いただきたく存じます。
 来山する子供たちにフナやメダカを身近で見せたいという願いへ、ぜひご協力をお願い申上げます。
 ご連絡をお待ちしています。」
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 平成20年にも、『日本の歌 92 ─めだかの学校─』へ書きました。

「3歳まで農村で育った私にとって、メダカは特別な存在だった。
 茅葺きの家のそばにあった小さな流れはところどころに淀みを作り、そこには群れをなして泳ぐメダカたちがいた。
 4歳で仙台の街に移り住んだが、いつしかヒメダカを飼うようになり、中学生の時は、ヒメダカが色や形や音や味などにどう反応するかを調べて研究発表をした。
 水槽で飼い、池で飼いし続け、山里暮らしになった今は、本堂(以前、下小路にあった本堂です)前の小さな池が彼らの栖である。
 糸のような子供たちが生まれるとホッとする。
 ご参詣の方々の中に小さなお子さんを見つけるたびに、『メダカがいるよ』と声をかけてしまう。
 去年、小学校の校庭にビオトープがあるというので見に行った。
 寺子屋を行うお堂の近くにそうしたものを作り、メダカを見せたかったからである。
 美しい流れにメダカはいなかった。
 今、メダカは絶滅が危惧されている。
 しかし、日本人の意識が変わり、政治がまっとうなものになれば、米の重要性と田んぼや里山の価値が見直され、農業の復興と共にメダカも救われることだろう。」

 おかげさまで円形の池はできましたが、お堂がありません。
 そこで、池の真ん中に小さな建物を作り、寺子屋が開催できるお堂の建立をめざして虚空蔵求聞持法(コクウゾウグモンジホウ)に入りました。
 毎日少しづつ真言を唱える行が満願し、やがて現在の講堂が完成しますが、その過程で境内地の全体計画を考えてみると、残念ながら円形の池の真ん中に造ることはできず、ビオトープも先送りになりました。
 それでも、七北田川から釣ってきた体長90センチ近くもある鯉や小さな金魚、あるいは石灯籠や庭木をいただいたりして池はできあがりました。



 そして、平成21年、念願の本堂(講堂)ができあがりましたが、境内地にある温泉「七ツ森の湯」の利用などを考えるにつけ、ビオトープはいよいよ難しくなってきました。
 しかし、ビオトープへの思いは消えず、東日本大震災を体験するにつけ、模索の気持は強まり、平成24年には寺子屋に農学博士石山敬貴先生をお招きして「地方の再生により日本の再興を」と題した講演をいただきました。

「今月から新シリーズ『どうする?私たちの未来』が始まります。
 地震と津波という自然の圧倒的な力でたたきのめされ、原発事故によって自然をどこまでもコントロールできると考えてきた高慢の鼻をへし折られた以上、私たちはもはや、自然を〈征服〉しようとする姿勢だけではこの先へ進めないことを骨の髄まで知りました。
 では、どうするか?
 どうすればよいか?
 どうしなければならないか?
 このシリーズではそれを問います。
 菩薩(ボサツ)が大きな船の船頭を務めるのと同じく、各界のプロの方々に水先案内人となっていただき、共に学び、共に考え、共に実践し、自然と人間が文字どおり共生しつつ、いのちの世界を守り、心を練って行く道を探そうではありませんか。」

 こうした思いが仏天へ届いたのでしょうか、昨年末、まったく思いもよらない経緯によって約2000坪の農地が寄進され、今日のシンポジウムとなりました。



 私は、平成20年に改訂版が発行された『学校・園庭ビオトープ』を熟読し、この思想は子供たちのためのみならず、現代文明から消え失せつつある大切なものを残すために、もっと注目されねばならないと考えています。
 財団法人日本生態系協会の編著による同書の冒頭に、ドイツ・元カールスルー工教育大学のヘルムート・ビルケンバイル氏の言葉があります。

「ドイツの小中学校では、知識を身につけさせる教育だけでなく、子供たちを感動させたり、実際に行動させる『頭と心と手を〝三位一体〟とする教育』が広く行われるようになりました。
 なかでも、学校内につくられた身近な自然である『学校ビオトープ』は子供たちに直接、自然に触れる感動を与え、自らの手でつくり育てることのできる教材として、多くの学校に取り入れられています。」
「学校・園庭ビオトープは、学校周辺の生きものが行き来する拠点にもなることから、学校・園庭ビオトープは教材という枠組みを超えて、これからも自然と共存するまちづくりになくてはならない自然の拠点としても高く評価されています。」

 協会の会長池谷奉文氏の言葉です。

「最近の研究では乳幼児も含め、子供の時の自然体験は、脳や体の発達に大きな影響を与え、命の大切さを知ったり、正義感や我慢する力がついたり、豊かな感性や探求心が育つということがわかっています。」
「私たちは、子供たちのためにも、人と自然が共存する美しいまちを取り戻す必要があります。
 自然は、地球の温暖化を防止するとともに、人々に潤いと安らぎを与え、招来の食料や医薬品の資源になるものです。」
「本書が日本の環境教育のさらなる充実に寄与し、日本が健やかで伸びやかに育つ子供の笑い声と笑顔でいっぱいになることを願ってやみません。」


〈図表はすべて、『学校・園庭ビオトープ』よりお借りしました〉

 さて、ビオトープとは、生きものを意味する「BIOS」と場所を意味する「TOPOS」とを合成した、ギリシャ語を語源とするドイツ語です。
 直訳すれば「野生の生きものが暮らせる場所」となります。
 まさに、私がずっと心から離れなかった〈追い出した者たち〉へ確保される安心な場所ということになります。
 たまたま、最近、コンピューター関係の研究を続けてこられた科学者の方とお話をする機会があり、目の醒める言葉を耳にしました。

「自然と人間とコンピューターの共生」

 コンピューターをもいのちの輪の中に入れて世界を発展させるという思想は、次代に欠かせなかろうと思われます。
 人間を主人公として、そちら側にある〈科学と自然〉を考えるという二元論ではなく、人間も科学も自然も大いなるいのちの世界としてとらえて行けば、きっと新たな展望が開けることでしょう。
 
 ビオトープをイメージしてこれから育てる『法楽農園』が、子供たちにも、お年寄りにも、都会の方々のためにも、そして関心を持たれる方々のために役立つ「TOPOS」(場)となるよう、微力を尽くします。
 皆さんのご意見、ご協力、ご利用をお待ちしています。






 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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