コラム

 公開日: 2013-02-14  最終更新日: 2014-06-04

子や孫のためにふり返っておきたい先人の導き(その47) ─一友人は家の飾り・陰で諫め表で誉める─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






〈『森栖』さんです〉

 この欄では、『実語教・童子教』と共に、昭和6年に発行された小冊子も基にして子供たちの導き方を考えています。
 冊子の最後に「僕の好きな金言(キンゲン)」という欄があり、当時少年だった方は以下の6つを書き込んでおられました。

47 「僕の好きな金言(キンゲン)」

「一家の飾りはこれに出入りする友人なり」

 家は、特定の個人たちが住む生活の場であると同時に、〈居る〉ことを社会へ明らかにする意義も持っています。
 そこに出入りする人物たちによって、周囲の住民は居住者の人間性などを推しはかります。
 この箴言は、家の外観を飾ることにばかり気を配るよりも、まっとうな人物たちが出入りするようなまっとうな生き方をし、その人々の姿をもって世間から評価してもらうことこそ大切であると教えています。
 世間の目を気にするかしないかという以前に、出入りする人々はおのづから、居住者の人物像を暗示しています。

 近年、暴力団員風の人物が徘徊するのは地域住民にとって脅威であるという認識が高まり、あちこちで事務所の撤去を求める裁判が起こされており、成果もあがっています。
 居住者だけでなく、その家へ足を運ぶ人々がいかなる人物であるかも、地域にとって問題でないはずはありません。
 人が単独で生きていられないのと同じく、家も又、道路がありインフラがあり、単独で存在しているわけではないので、住人も、出入りする人々も、家も、大きな社会性を持っています。

 平成21年、漫画家楳図かずお氏邸の奇抜な概観が地域の景観を損ねるという地域住民が起こした裁判は、東京地裁において原告の敗訴となりました。
 主たる理由は、武蔵野市が住宅地の景観を規制する条例を規定していなかったことです。
 つまり、きまりがないから法的な白黒はつけられないという判断でした。
 仙台市においては、仙台駅前にあるカラオケビルの外観が論争となりましたが、塗り替えて穏やかな決着となりました。

 この金言を書き留めたお子さんの鋭さに感服し、もしかしたら親が書いてくれたのかなとも思わされました。
 いすれにせよ、短い一句が家や個人の社会性を考えるよききっかけとなったであろうことは容易に想像できます。

「私に汝の朋友を諫(イサ)め、公にこれを誉めよ」

 子供がこれを書きとめていたとは仰天です。
 陰で叱り、人前で誉めるのは、相手が子供であれ大人であれ、教育の鉄則だからです。
 たとえ指摘されたことが当たっていても、公衆の面前で自分の非を明らかにされて嬉しい人は誰もいません。
 咎められた方は、言われた内容を理解して改めようとする気持よりも、悔しさ反発心や怒りが先に立ち、双方にとってよい結果はあまり期待できません。
 物陰であれば、落ち着いて言葉を受けとめられるし、他人に好奇の目を向けさせない気配りへの感謝も起こり、勇気ある思い切った言葉が役立ちます。
 また、普段から自分を認めてくれている相手に叱られれば、すなおに自分を省みる心になれます。

 人を誉めれば、それを原因とするよい結果が相手にも自分にも、もたらされます。
 誉められれば必ず嬉しく、公の場所であればいっそう励みにもなります。
 誉められた方が、自分の持てる力をより発揮して生きるきっかけになります。
 一方、誉めた方も嬉しく、相手が奮い立つのを感じれば、よいことを行ったという気持も強くなります。
 そして、誰かの長所を見つける姿勢は、短所を責める姿勢を緩やかにして人間関係がよくなり、相手が持つ陽の気を育てるだけでなく、自分が持つ陽の気も育てます。
 以前、当ブログが連載した小学校の校長先生による『ほめほめ集』はその典型です。

 子供の頃にこうした人間の心理を勉強し、「なるほど」という体験を重ねて行けば、思考が深まり言動にも深みのある大人になることでしょう。



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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