コラム

 公開日: 2013-02-15 

子供2人を殺した父親のこと ─北朝鮮と日本─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 2月13日付の産経新聞は「正恩政権下 餓死数万人」とし、黄海南道の農村幹部がアジアプレス関係者に語った話を報じた。

「子供2人を殺して食べようとした父親が銃殺された。」

 事実かも知れないし、そうでないかも知れない。
 北朝鮮が、こう報じられても仕方がない状況にあることは想像できる。

 とっさに思い出したのは民俗学者柳田國男著『山の人生』である。
 その中に、ある囚人から聞いた実話がある。
 食うに困った山村で、子供2人を殺し、死にきれず逮捕された父親がいた。
 妻を亡くした男は13才の男の子と、同じ年頃の女の子を育てていたが、ひどく不景気で何度、里へ降りても米が手に入らなくなった。
 昼寝から覚め、悲劇は起こった。

「眠がさめて見ると、小屋の口一ばいに夕日がさして居た。
 秋の未の事であったと謂う。
 二人の子供がその日当りの処にしゃがんで、頻(シキ)りに何かして居るので、傍へ行って見たら一生懸命に仕事に使う大きな斧を磨いて居た。
 阿爺(オトウ)、此(コレ)でわしたちを殺して呉れと謂(イ)ったそうである。
 そうして入口の材木を枕にして、二人ながら仰向けに寝たそうである。
 それを見るとくらくらとして、前後の考も無く二人の首を打落してしまった。
 それで自分は死ぬことが出来なくて、やがて捕えられて牢に入れられた」

 空腹・夕陽・斧、そして口減らしのために死を望む子供たち……。
 追いつめられた男に錯乱が起こり、行動した。

 文章中にある「くらくらとして、前後の考も無く」に含まれているものは、想像も理解もし尽くすせない。
 喰って動き回り、寝て起きる。
 人間の営みに大差はないが、営みの根底が崩れ去りそうになった時、あたりまえの日常があたりまえでない相貌となる。
 時空が非日常的となり、日常性から逸脱した心が動き、行動も又、非日常的なものとなり得る。

 決して、北朝鮮では、あたりまえに親が子を喰うわけではない。
 北朝鮮で「食べよう」とした錯乱も、日本で「くらくら」とした錯乱も、〈もう、後がない〉と思わされる非日常的な状況が背景となり、起こったはずである。
 等しく、哀れではないか……。
 子殺しは飛び抜けた悪業(アクゴウ)だが、そこへ追いやる社会的共業(グウゴウ)こそ巨大な悪魔であり、これが克服されない限り個々の悪業は次々と生まれることだろう。
 見誤らないようにしたい。





 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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