コラム

 公開日: 2013-02-19  最終更新日: 2014-06-04

お孫さんの「別れの言葉」が放った光輝と香気 ─孤立無業者が増える日本をどうするか─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





シュールな鳥かご

〈あるお店でシュールな鳥かごを発見しました〉

 最近、「もう、だめか」といういのちの危機を幾度も乗り越えたAさんが逝かれた。
 何があってもいいわけをせず、自分に克ち、兄弟や友人中のヒーローだった。
 お孫さんが別れの言葉を述べた。

「長い闘病生活のうち、最後の一ヶ月間は、何だか、家族のために頑張ってくれたような気がしています」
 
 確かに看病する家族は大変だが、闘病の姿には、家族でなければなかなか見つけられない尊厳があったのだろう。

「小さな子供の頃は、おじいちゃんのお経が私の目覚まし代わりになってくれました。
 家族のために祈るおじいちゃんのおかげで、心暖かく一日を始められました」

 Aさんは奥さんを亡くされてから般若心経に親しむようになり、多忙な日々であるにもかかわらず、写経にも読経にも励んでいたという。
 小学生のお孫さんは、読経する祖父の声と後姿に心が暖まった。

「お見舞いに行って曽孫を見せたら、可愛い子に育てなさい、可愛そうな子に育ててはいけないよと言われました。
 言葉の持つ意味の違いと深さをあらためて教えられました」

 もうすぐあの世へ逝こうとしている人が口にした「可愛い子」「可愛そうな子」にはどれだけの意味が込められていたのだろうか。
 おそらく、Aさんはそうした気持で子供や孫に接してこられたのだろう。
 だからこそ、お孫さんの心へ強く響いたのだろう。
 受け売りやお説教では、決して、こうはならない。

「おじいちゃんから教えられた、家族を大切にすること、くじけない芯の強さを受け継ぎ、伝えて行きます。
 見守っていてください。
 人の道から外れそうな時は、愛のあるお叱りで守ってください」
 
 私がお通夜やご葬儀のあとに申しあげる短いお話には必ず、「あの世から皆さんを見守っていてくださるものと信じています」が含まれる。
 この世とあの世は通じており、「よかれ」と願う思いは、この世からあの世へと向かい、あの世からこの世へと向けられ、途切れない。
 だからこそ、敬虔な気持で送り、ねんごろに供養を行う。
 この「通じている」という大前提こそが、私たちの倫理観を支えている。

 15年前、渡辺京二は『逝きし世の面影』を書いた。
 そこには、明治時代の知識人たちがそれまでの日本を全否定したと指摘されている。
 明治初期に来日した西洋人の手紙である。

「現代の日本人は自分自身の過去については、もう何も知りたくはないのです。
 それどころか、教養ある人たちはそれを恥じてさえいます。
『いや、何もかもすっかり野蛮なものでした(言葉そのまま!)』とわたしに言明したものがあるかと思うと、またあるものは、わたしが日本の歴史について質問したとき、きっぱりと『われわれには歴史はありません。われわれの歴史は今からやっと始まるのです』と断言しました」
「新日本の人々にとっては常に、自己の古い文化の真に合理的なものよりも、どんなに不合理でも新しい制度をほめてもう方が、はるかに大きい関心事なのです」

 まるで、戦後の日本そっくりではないか。
 しかし、数千年もかけて私たちの魂を彩ってきたものは、そうした知識人たちの思惑とは無関係に、庶民が生死を繰り返す中で保たれ、光輝も香気も失ってはいない。

「あなたが私のおじいちゃんであったことに感謝しています。
 しばらくの間、お別れですが、さよならではありません。
 またね!」

 学校教育の場で、こうした日常生活にある宝ものを生かしてはどうか。
 もしかして「宗教だからダメ」と排斥するのだろうか。
 光に目をつぶり、香りをないものとしているうちに、良心の声までが聞こえなくなってきた。
 これが今の日本ではないか。
 独身で何もしない孤立無業者が162万人にも達した今、転換をはからねば取り返しのつかぬことになりはしないだろうか。
 



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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