コラム

 公開日: 2013-02-22  最終更新日: 2014-06-04

大阪府大東市における小学五年生男児の自殺(その2)

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




薬の行商

〈東日本大震災の津波ですべてを流された薬屋さんは、内陸部での行商に活路を見出そうとしておられます〉

 2月14日、大阪府大東市在住の小学五年生男児(11才)が電車に飛び込み自殺した。
 遺書らしいメモがあった。
「どうか一つのちいさな命とひきかえに、(小学校の)とうはいごうを中止してください」
 男児の通う学校は3月で廃校となる予定だった。
 いくつかの点で見過ごせないと思う。

 人は一生をかけて成長する。
 最後には大きく崩れる場合もあり、そうならない場合もあるが、いずれにせよ、児童の頃は親がかりでなければ生きられず、人生のすべては〈これから〉の段階である。
 児童の状態は「頑是(ガンゼ)無い」と表現される。
 頑は頑迷(ガンメイ)に通じ、頑なで柔軟な理解力のないさまであり、是は道理にかなっていることである。
 だから、頑是無いとは、理解力がまだ未発達で、道理がわからず、幼い状態を指す。
 つまり、児童は、いかに快不快や好悪などの感情をはっきり示そうと、社会的なものごとを客観的な視点も交えて判断するだけの知的能力は備えていない。
 社会的制裁である刑法上の罪を問われない理由はここにある。

 児童を育てる上で重要なのは、いじめや万引きやカンニングやボランティア活動など身近な範囲で正義の〈感覚〉を身につけさせることであり、社会的問題については、「君にはまだ、わからない。もっと大人になればわかる」として、軽々に正邪善悪の〈判断〉や〈主張〉をさせないように指導せねばならない。
 児童が一方的に社会的正義を主張しようとしたなら、それがいかに知識と経験が不足している中で行われたかを知らせるために、主張と反対の見方や事例を示すことこそ大人の仕事ではないか。
 そして、まだわからないのが自然な状態であると自覚させ、わからないからこそ知ろうとする姿勢は大いに誉めてやりたい。

 大東市の児童は、統廃合がいのちをかけても阻止せねばならない許すべからざる不正義であると認識し、いのちを断った。
 もちろん、大人がそう判断し主張し行動するのは自由であり、なんぴとにも抑られるべきではない。
 しかし、能力的に未熟な児童へ、社会的事象に対して「不正義」と主張させ、それに基づく社会的行動をさせてはならないと思う。
 もしも、大人も子供も同じ人間だからという理由でやらせるならば、結果責任も児童に負わせねばならないが、それは妥当か?
 今回は、ご家族も気づかぬうちにすべてが児童の心中で進行してしまったらしく、本当にお気の毒というしかない。

 曾野綾子氏は、産経新聞の2月20日号へ『世界の広さを知っていたら』を書いた。

「人の生きる世には、ほとんどあらゆることがある。
 死別や別離など日常茶飯事だ。」
「電気も地図もないアフリカの村の人々は、紛争が起きればただ本能的に逃れようとする。
 桶に鍋や釜とわずかな衣服を入れて頭に載せ、方向もわからずに歩き出す。
 隣国との境界には堀も壁もないから、いつのまにか広大な野生動物保護区に入り込み、ライオンに食べられたという人もいるという話も珍しくない。
 多くの子供たちは貧しくて学校に通っていない。
 トイレも手洗い場も、電気もない学校は、あったにしても路線バスがないから遠くて通えない。」
「親たちは家庭では子供にまともな1食も与えられないことも多い。」
「学校が用意されている。
 通える範囲に学校がある。
 そういうことさえ世界の中でどれだけの幸福か、解説してくれる人がいたら、この小学生は死なずに済んだろう。
 小学生にももう少し現世の厳しい現実を教えることだ。
 さらに加えて自分たちはまだ何も知らない『過程の人間なのだ』という謙虚さも伝えることだ。
 大きくなれば、中国の圧迫に対する抗議のために焼身自殺をするチベットの僧侶のような行為も必要になるかも知れない。
 しかし子供のうちは学ばねばならないことだらけだ。
 子供は決して大人と同権ではないのである。」

 幼く、あどけなく、頑是無い児童は、社会に生きる人間たる準備をしている途中にあり、あくまでも大人の責任で保護され育てられるべき対象であることを、大人も子供も肝に銘じたい。




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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