コラム

 公開日: 2013-03-04  最終更新日: 2014-06-04

第二回法楽塾 ─『ダライ・ラマ法王の仏教哲学講義』を読む(3)─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






3 僧伽(ソウギャ)…他の人が苦しみから救われるように手助けする人の集団

「精神的共同体という宝は、少なくとも『真実を見た段階(見道《ケンドウ》)』という修行階梯に到達した菩薩(ボサツ)と声聞(ショウモン)と独覚(ドッカク)とからなっています。」

 宝ものとされる修行者たちは皆、空(クウ)を観た聖者です。
 聖者は当然、高い境地にあり、菩薩は十地(ジュウジ)、声聞と独覚は四向四果(シコウシカ)と呼ばれるいずれの段階かにある行者です。
 こうした段階についてはさまざまな説があり、さらに、特殊な真言などを唱えて即身成仏できるような「極めて迅速に修行を進めている特殊な能力の修行者」もいます。

 確かに、空を悟り強力な救済力があればこそ、人間でありながら宝ものとされるのでしょう。
 しかし、そうした僧伽(ソウギャ)の一員ではなくても、真理に合わない勝手な考えを持つ無明(ムミョウ)や、自己中心の煩悩(ボンノウ)を一気に祓い去ってくださるような市井の人々もおられます。
「自分と一緒に死んでくれる人間の顔を思い浮かべ」つつ、最後まで原発の現場を離れなかった吉田所長。
 岩手県陸前高田市気仙町の今泉地区にただ一人、自力で家を建て「自分が平成の先祖になる」と誓う町民佐藤直志氏(78才)。
 こうした方々は、私たちが本来み仏であることを証明する鮮烈な生きざまをもって、私たちへ人間への信頼を取り戻させ、希望を与え、同時に、けしからん部分へ鉄槌を加えられました。
 私にとっては皆さんが生き仏に思えます。

 最近、故障した携帯電話から車へのつながりが悪く、ショップへ行きましたがあいにく、そうした面に詳しい男性店員が他の客へ応対しており、「しばらくお待ちください」と言われました。
 この女性の手には痛々しいほどのあか切れとひび割れがあり、若く溌剌とした彼女の背負っている重いものを感じながら、時間をつぶしていました。
 数分後、思い切ったようにカウンターの奧へ引っ込んだ彼女から声がかかりました。
「お待たせしており、申しわけありません。今、別の担当者がまいりますので、ご容赦ください」。
 明らかに普段、現場には立っていない責任者とおぼしき中年の男性が現れ、車へ乗り込んで、たちまちのうちに通話を復活させました。
 件の男性店員は年配客を相手にまだ奮闘しています。
 自分が苦労しているからこそ「待つ者」の気持を放置できず、常日頃のマニュアルを超えた対応をしてくれたのだろうと、あらためて、あか切れとひび割れを思い出しながら帰山しました。
 彼女の心も又、菩薩の心と言うべきであり、彼女が仏法上いかなる精神的レベルにあるかということとは別な次元で、あの時はみ仏の子としての本姿になり、私にとっては「僧宝」であったと思えます。

 さて、一切の収益事業を行わない寺院は、善男善女からご本尊様へ納められる尊く清らかなお布施のみにて成り立っています。
 自主的に治められるお布施がなければ、ご本尊様も、教えも、行者も、存在し得ません。
 ならば、三宝を信じ、護持してくださるご縁の方々はすべて、祈る行者と同じく僧宝と言うべきではないでしょうか。
 み仏と教えを信じて行者は一心に祈り、善男善女は祈りつつ支える、両者は等しく僧宝であると信じています。

4 導師(ラマ)…「仏陀に派遣されたメッセンジャーのようなもの、すなわち、今この時点において私たちを仏教の道へと導く者」

 チベット密教では、仏法僧に加えて導師(ラマ)も救済者であるとされています。しかし、法王はこう述べておられます。

「私たちがこの苦しみから救われることに手を貸してくれる精神的共同体と同じもの」
「完全な徳質を備えたラマであれば、それは仏陀とおなじものであり、その意味ではラマを別に立てる必要はないとも言えます。」

 私は、師から、国の恩・父母の恩・衆生の恩・三宝の恩に加えて師の恩も教えられました。
 だから、当山ではいわゆる「四恩(シオン)」に師の恩を加え、「五恩」を忘れてはならないと説いています。
 娑婆の生活から離れて出家した者としては、「今この時点において」導かれ三宝との縁を確かなものにするために師の存在が欠かせないことはあまりにも明白だからです。




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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