コラム

 公開日: 2013-03-12  最終更新日: 2014-06-04

東日本大震災 ─東北関東大震災・被災の記(第127回)─三回忌終了のご報告・和合する人々と真言─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 おかげさまにて、全国の皆さんへご唱和を呼びかけていた般若心経百万巻を捧げる三回忌供養会は無事、終了しました。
 108巻をご唱和いただいた方々、納経された方々、準備や進行にご協力いただいた方々、お心を向けてくださったすべての方々へ心よりお礼申しあげます。
 あいにく気温が前日より10度も低く小雪が舞って境内は真っ白、ときおり思い出したように強い突風も吹く荒れ模様になりましたが、善男善女が続々と足を運ばれ、堂内に読経の声が満ちました。
 午前10時からの修法が終わった時は12時45分を過ぎていました。
 おそらくは参加されたどなたも経験したことのない供養会だったのではないでしょうか。

 最後に短い法話を行いました。
「仏教では三宝(サンポウ)を敬います。
 仏様である仏法(ブッポウ)、教えである法宝(ホウボウ)、それを信じて導かれ、護る僧宝(ソウボウ)です。
 僧宝とは袈裟衣をつけた僧侶だけではなく、こうしてご唱和いただいた皆さんや、ご協力くださった皆さんは等しく宝ものです。
 そもそも、僧という言葉は仏教用語である僧伽(ソウギャ=サンガ)からきており、インドの言葉であるサンガは和合衆(ワゴウシュウ)とも訳されました。
 心を一つにして励む人々だからです。
 ここにおられる皆さんはまぎれもなく和合衆であり、逝かれた方々は三宝に護られ、きっと極楽浄土へ到着されたことでしょう。

 さて、皆さんは、おそらく、最後の方では『まだ終わらないのだろうか』『えっ、また唱えるの』と、いつまで続くのだろうかという気持になっていたことでしょう。
 いくら供養しようというご誠心があっても、これだけ長時間になれば、相当、疲れてもおられるはずです。
 しかし、考えてみてください。
 津波や原発事故で避難を余儀なくされている方々や、仮設の店舗などでようやく生計を立てている方々は、『いったい、いつになれば、元の生活に戻れるのだろう』ともどかしい気持を抱えながら過ごしておられるはずです。
 又、強い恐怖や悲嘆と共に冥界へ逝かれた御霊方にも、なかなか安心の世界へ溶け込んでしまえない何ものかが残っているかも知れません。
 今、私たちは、はからずも、そのごく一部分を共有したのではないでしょうか。
 そして、私たちは供養の一事を為し終えました。
 結果となる〈その時〉が必ず来ることを実証しました。

 先ほど行った修法には、これまでで最も困難なものを含まれていました。
 かつて、事故が続発した関東地方のマンション建設現場で供養と鎮めの修法して以来のことです。
 いかに三回忌のご本尊様である阿弥陀如来のお導きが強力であろうと、悲劇的な最期を遂げた御霊方が極楽浄土へ入られるのは、やはり、容易でなかったと思えます。
 しかし、私たちは和合して、所定の祈りを貫徹しました。
 きっと、あの世の御霊方も無事、阿弥陀如来の光へ溶け込まれたことでしょう。

 冒頭にお話ししたとおり、修法には滅罪が含まれており、その法を込めた般若心経御守に魂入れをしました。
 どうぞ皆さん、ご自身の滅罪と除災招福のため、また、誰かのため、どうぞお持ち帰りください。
 本日は本当にご苦労さまでした。
 ご唱和へ重ねてお礼申しあげます」

 法話で触れたように、終了間際のある真言へ入った時、止まらなくなりました。
 濁流にもまれて離れる手と手、車椅子を押して走る看護師さんの息づかい、家族を呼ぶ声、2年前の現実が気配となって顕れました。
 空漠の地となったあちこちの沿岸部で拝んだ時に迫ってきた気配と同じです。
 あの日、津波の来た方角へと自らクルリと後ろ向きになった共同墓『法楽の礎』の主尊大日如来様は、そのすべてを受けとめようとされたのであると信じています。
 この真言が奔流となったのは、かつて、山中の修行で師から法力を使える行者となるための伝授を受けた時以来です。
 別な真言を唱えねばならないのにこの真言が口から流れ、師は私の頭を地面に押しつけました。
 その頃は無我夢中でしたが、今日のできごとをふり返ってみると事情は察知できます。
 御霊方にとって、後ろ髪を引くもろもろの執着心から離れてみ仏そのものになるためには、どうしても強烈な区切が必要だったのでしょう。
 唱え終わってみると、堂内に流れている般若心経はかなりの速度で皆さん四苦八苦されているはずなのに、実に静かでゆったりと聞こえました。

 三回忌の祈りは成就しました。
 あの世の方々が安心の世界へと入られたのと同じく、この世の私たちも苦から離れる次の一歩を踏み出す大きなきっかけとなったことでしょう。
 
※『ゆかりびとの会』の皆さん、準備から受け付け、進行、後片付けと本当にご苦労さまでした。
 心より感謝しております。

※3月11日を期して、『法楽寺仏前勤行宝典』(A5版50ページ総ふりがな・CD付)を作りました。
 順次、『ゆかりびとの会』会員の方々へご進呈申しあげ、入会される方々へも、もれなくお渡しし、家庭での勤行に役立てていただきたく存じます。
 また、関心がおありの方はどうぞメールやファクスや電話でお申し込みください。(ご志納金はお心のままに)





 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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