コラム

 公開日: 2013-03-30  最終更新日: 2014-06-04

いつもビクビクして落ちつかない私 ─カラスの心を退治する方法─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






〈黒澤明監督による映画『椿三十郎』の立ち会いシーン〉

 まじめで仕事もちゃんとこなすのに、内心はいつも臆病で、いざという時にサッと退がってしまい、なかなか小さな殻を抜けられないタイプの方がおられます。
 こうした心は、『大日経』が烏心(ウシン…カラスのような心)として戒めています。
 人間社会の近くに住み、残飯やゴミをあさって生きているカラスたちは、大胆に見えていながら実はとても用心深く、いつもオドオドしています。
 烏心とは、このように、ちょっとしたことにもすぐ〈退いてしまう〉臆病で信じられない心です。
 
 烏心があると、新しいステップへなかなか進めず、いつも狭い範囲でぐるぐる回っているしかなくなります。
 これでは、教えを学ぶ際の心構えである慈悲心は発揮できたとしても、もう一つの心構えである勝義心(ショウギシン…無限向上心)が抑えられ、祈りが深まりません。
 こうなる原因は二つあります。
 一つは、自分を守りたい心です。
 今の自分に執着し、可愛い自分にしがみついているのです。
 もう一つは、自信のない心です。
 自分へ執着している割には、自分に自信がなく、なかなか〈この先〉へ進めません。
 だから、オドオドし、ビクビクしているのです。

 こうなると、自分をとりまくものは皆、警戒の対象になるので、必然的に、信じられなくなります。
 たとえば、夏にスイカ割りをする場合、「そこだよ!」と声をかけられてもバシッと棒を振り下ろせません。
 それと同じく、せっかく般若心経のご本尊様である般若菩薩(ハンニャボサツ)様の真言を教えられても、信じて唱えられないのです。

 ここを抜けるには、逆境が役立つ場合もあります。
 にっちもさっちも行かなくなり、そうかといって逃げられもしなくなった時、どうするか。
 たとえば、猛火の壁に背中から追われていれば、いくら走ってもやがて力尽きて倒れ、焼かれるしかありません。
 太平洋戦争の末期、東京がアメリカ軍によって絨毯爆撃された際、助かったAさんは、濡らした布団をかぶって風上へ突っこみました。
 そうしたら、雲海の中では揺れていた飛行機が雲の上へ出れば嘘のように静かな飛行へ入るのと同じく、火炎地獄から抜けられたそうです。
 
 宮本武蔵は書きました。 
「振りかざす太刀の下こそ地獄なれ 一と足すすめ先は極楽」
 柳生石舟斎、あるいは山岡鉄舟などの作と言われている似た一首もあります。
「切り結ぶ太刀の下こそ地獄なれ、身を棄ててこそ浮かぶ瀬もあれ」
 いずれも、肝を据えて踏み込まない限り、恐怖から逃げられず、もちろん、勝利も得られないことを示しています。
 隠形流(オンギョウリュウ)居合では、木刀による打ち合い稽古を行いますが、初めての方は誰しもが驚かれます。
「えっ、こんなに近いんですか!」
 切り結ぶ、あるいは打ち込む時の間合いは、実に〈目と鼻の先〉です。
 相手がそこにいて自分はここにいるというよりは、相手も自分も一緒にいるといった感じです。
 たとえは適切でないかも知れませんが、混んでいる銭湯を想像してみれば、やや近いかも知れません。
 〈そこ〉と〈ここ〉の区別にほとんど意味はありません。
 肝を据え、冷静に判断し、的確に行動した者は生き残り、片方はあの世へ逝きます。
 生死がどのように分かれようと、踏み込んだ先にはもう、いのちが惜しくて怖い地獄はありません。

 もちろん、こうした空襲や立ち会いなど、ないにこしたことはありませんが、自分が当事者であるとを想像することによって、何かは確かに変わります。
 最初は、そんなことできない、と思うでしょう。
 しかし、くり返し想像してみることによって、いつしか、当事者はだんだん身近になります。
 また、自分の守本尊様など心に響いた真言や経文をくり返し口にするのも当然、肝を据える役に立ちます。
 そうしていれば、いざという一瞬に、想像上の当事者は等身大となり、自分も〈向こう側〉へ突破できているかも知れません。
 烏心があることを決して諦めないでください。
 イメージトレーニングと祈りによって、心は必ず変化させられます。





 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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