コラム

 公開日: 2013-04-01  最終更新日: 2014-06-04

マイダス王に授かり消え去った不思議な力

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 ホーソンが書いた寓話です。

 昔、ギリシャにいたマイダス王は大金持ちでした。
 黄金の光以外に美しいものは目に入りません。
 夕暮れの雲を見ても、花園いっぱいに咲いているバラを見ても、「これが黄金であったなら」と思い、音楽を聴いてさえ、金貨の音であったならと思うありさまです。
 ある日、蔵の中で黄金を眺め、一人で悦に入っていると、神様が現れました。
 お前はいったい、どれだけ貯めれば気が済むのかと尋ねられた王様は「触れたものすべてを黄金にしたい」と答えました。
 後悔しないかと念を押されてもなお、神通力が欲しいと懇願した王様は、翌朝起きたところ、触れるシーツも本も金に変わって驚喜しました。
 ところが、服もメガネも金になったので重くてたまりません。
 それでも花園へ行き、バラを黄金に変えていたところへ大事な姫がやってきて、「黄金なんてつまらない、美しい色も匂いもない」と悲しみました。
 気をとり直して手にするコップも牛乳も金になり、王様はとうとう泣き出しました。
 そこへ姫がやってきて慰めるので、接吻してやろうとしたところ、たちまち、姫はいのちがない金の像になってしまいました。
「ああ、金ほど大切なものはないと思っていたのに、今となっては何の役にも立たない。
 かけがえのない娘までも失ってしまった」
 悲しむ王様へ神様は尋ねました。
「どうだ、これでもまだ黄金が欲しいか?」
 王様が不思議な力を取り除いてもらったのは言うまでもありません。

 私たちは、あまりにもこうした力を〈第一に〉求めてはいないでしょうか?
 すべてをお金に換算してはいないでしょうか?
 しかも、〈もっと、もっと〉と果てしなく。
 このあたりで、人間として何を第一とし、何を第二とし、何を第三として求めているか、自分をふり返ってみる必要がありそうです。
 たとえば、養分が身体に溜まらない薬を摂りながら、食べたいものを食べ放題に食べるといった行為は、いかがなものでしょう。
 私にはそうした光景は、浅ましく、醜くしか見えません。
 ちなみに、四国八十八霊場巡りでは、食事のたびにこうした誓いを行います。

「一粒(イチリュウ)も天地の恵み、己(オノ)が身を他に与えて自他を養う定めの食物と天地に感謝し、おいしくいただき身と心とを養わん。いただきます」

 私たちの身と心を養うために、自分のいのちを差し出してくれている動物や植物たちを具体的に想像してみましょう。
 人間同様に食べては育つ牛、豚、鶏、魚。
 青々と伸び、黄金色になって刈り取られる稲。
 すべて、人間の手によっていのちが奪われ、私たちの食卓に乗ります。
 他の生きもののいのちをもらわねば生きられない宿命をふり返り、いのちを与えてくれるものたちへ感謝するならば、過剰な殺生などできはしないはずです。
 そして、過剰な殺生なしには、度を超えた飲食は決して成り立ちません。

 殺生には「許される殺生」と「許されない殺生」があります。
 その判断基準は、私たち一人一人の心にしかありません。
 ただし、無益な殺生という個人的な業(ゴウ)が社会的共業(グウゴウ)となって積まれれば、やがては地球規模での食糧の奪い合い、そして戦争へと結びつくことでしょう。

 因果応報の理は冷厳です。
 誰一人、逃れられはしません。
 野放しの欲望の暴走と、恩を忘れた飽食の文明に明るい未来はないのです。
 人として求めるべきもの、求めて許される限度、こうしたものを落ちついて考えましょう。
 一人一人の心身の健康と運命が、そして文明が取り返しのつかない段階へ至る前に。




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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