コラム

 公開日: 2013-04-06  最終更新日: 2014-06-04

ダライ・ラマ法王の仏教哲学講義(3) 平成25年4月7日

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






ダライ・ラマ法王の仏教哲学講義(3) 平成25年4月7日

第一章 仏教における論理的思考の重要性

 第三節 仏陀の説法の歴史性

1 三転法輪(テンポウリン)

「大乗仏教の『解深密教(ゲジンミッキョウ)』では、仏陀は生涯に三度説法の輪を回した(三転法輪)と説明されています。
 最初は四つの聖なる真実の教えの輪を回し、二度目はものの実体は存在しないという教えの輪を回し、三度目は正しく区別された教えの輪を回しました。」

 悟りを開いたお釈迦様は法楽の境地へ入り、誰もこの深遠な真理は理解できないだろうと思われました。
 しかし、梵天(ボンテン)から苦しんでいる人々のために教えを説くよう懇請され、世間には、心の汚れの少ないもの、智慧の発達した者、善行為を喜ぶものもいることを観て立ち上がられました。
「彼らに甘露の門は開かれたり。耳ある者は聞け、古き信を去れ」
 これが円満でどこまでも広がる輪のような仏法が最初に説かれた様子とされています。
 その説法に三段階がありました。
 第一段階は、私たちのありようを見つめ、苦から解き放たれようとするものでした。

○四つの聖なる真実(四聖諦《シショウタイ》)

 真の苦しみ(苦諦《クタイ》)
 (我々の実情は、真の苦しみとしてある)
 苦しみの真の起源(集諦《ジッタイ》)
 (苦しみの生存の真の起源・原因は執着や欲望である)
 苦しみの真の消滅(滅諦《メッタイ》)
 (苦しみが真に消滅した状態がある)
 苦しみの消滅に到る真の道(道諦《メッタイ》)
 (苦しみを真に消滅させるための修行法法がある)

 そして、第二段階と第三段階で、世界のありようを空と縁起によって説かれました。

「最初の転法輪では、すべての事物は実体のない存在であると言い、最後の転法輪では、存在の虚構された様態(遍計所執性《ヘンゲショシュウショウ》)は、それ自身の性質によって成立しているものではないが、そのものの完全にして円満なる様態(円成実性《エンジョウジツショウ》)、これは空性のことですが、それと、他のものに依存して存在しているという様態(依他起性《エタキショウ》)とは、それ自身の性質によって成立していると教えました。」

 お釈迦様は、まず、何をとってみても、そのものとしての実体はないことを示し、最後には、空(クウ)をくわしく説かれました。

○三つの存在様態(三性説)
  1、虚構された様態(遍計所執性《ヘンゲショシュウショウ》)
  2、他のものに依存する様態(依他起性《エタキショウ》)
  3、完全にして円満なる様態(円成実性《エンジョウジツショウ》)

 有名な縄とヘビの例えを記しておきます。
 暗がりで道路に落ちている縄を見つけて「ヘビが出た!」と思えば、「1」に当たります。
 縄と見て「あっ、縄がある」と思えば、「2」に当たります。
 目に入った縄が、麻という素材が編まれて作られたかりそめの存在と観れば、「3」に当たります。
 このうち「1」は明らかに誤りです。
 しかし、「2」と「3」は正しく成立しており、どこまで観えているかの違いがあるだけです。
 法王はそのことを「それ自身の性質によって成立している」と説かれました。

「仏陀は自らの教義を声聞(ショウモン)のために平易な仕方で教えました。
 声聞の経典では、修行階梯の結果としての悟りの境地に三つのレヴェル、すなわち声聞の悟りと独覚(ドッカック)の悟りと仏陀の悟りとがあると言われています。
 さらに声聞の経典では、仏陀の悟りを達成するための菩薩(ボサツ)の修行階梯さえ教えています。
 声聞の経典は声聞と独覚の道を教えているだけではないのです。」

○声聞…お釈迦様の説法を聞いて悟る行者
 独覚…聞いた教えを元に深く考え、自分で悟る行者
 菩薩…慈悲により、自分の悟りよりも他者のためになりたい一心で励む行者

 当然のことながら、お釈迦様はまず、聞いた人々が理解しやすいように平易な説き方をされました。
 そして悟りへ至ったのが声聞のレヴェルです。
 聞いたことをきっかけにして一人で考えを深め、悟りへ至ったのが独覚のレヴェルです。
 そして、悟りが必要なのは、実は自分のためでなく、皆のためであると気づき、他のためを第一として修行し、悟りへ至ったのが菩薩です。
 こうした教えはそれぞれがまったく別々に説かれたわけではなく、平易な教えの中にも、菩薩となってはたらくレヴェルの教えも含まれていました。
 私たち凡夫が小学校から中学校、そして高校から大学へと学ぶ内容がレヴェルアップするのと同じく、お釈迦様も聴く人の理解力に合わせて解かれました。
 そうした中で、レヴェルを超えた教えも含まれていたというのは大変興味深いところです。





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 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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