コラム

 公開日: 2013-04-18  最終更新日: 2014-06-04

王様への戒め ─道を誤らないための六原則とは─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 ナーガールジュナ(龍樹菩薩)は、悪行を避けるための原則を王様へ示しました。

1 心を酔わせるものを過剰摂取してはならない

 貪りたい思いに任せれば、自分を制御するという悪行へ向かわないために最も大切な行為が失われます。
 暴飲暴食を続けたり、博打へ走ったりと、人生を誤る落とし穴はどこにでもありますが、権力者や大富豪の場合は周囲への影響が特に大きいので、最初に戒めたのでしょう。
 美女や美酒にうつつを抜かし始める時は、底なし沼へ足を入れつつある感触はきっとないはずです。
 そして、気がついた時は手遅れになっているのです。
 お釈迦様が出家されたのは29才。
 一個人としても、社会的にも、意のままにできる広大な世界が見えていながら、「心を酔わせるもの」の「摂取」をすっかり離れたお心はとても忖度しきれません。

2 正しい生き方への原則を保持せよ

 この原則とは当然、お釈迦様が説かれた『八正道(ハッショウドウ)』です。
 不殺生(フセッショウ)、不偸盗(フチュウトウ)、不妄語(フモウゴ)、不邪見(フジャケン)などの教えは、いかなる人であれ、悪心を抑え苦から離れるために践み行うべき道です。

3 身体・言葉・心は完全に非暴力であること

 暴力は、意志が暴走する形態の一つです。
 自分の考えや気持を押し通そうとして障害物にぶつかると、相手がモノであれ人であれ、相手を思ったり相手の立場に立ったり事態を客観的に観たりする余裕や善心や智慧がなくなり、破壊的衝動が起こる場合もあります。
 特に、何でも意のままになると錯覚しがちな権力者や大富豪にとって、たやすく陥りかねないところです。
 心が非暴力的であるためには、怒り、怨み、憎しみなど、激流の震源地を平らかにせねばなりません。

4 他者には敬意をもって接すること

 慢心から軽蔑が生じれば、あらゆる徳が消えて行きます。
 王の立場をまっとうするために最も必要なものは人徳です。
 徳なき権力者ほど、滑稽で、哀れで、迷惑で、害の大きな存在はありません。
 そうならないためには、臣下や庶民を尊び大切にすることです。
 敬意には敬意が木霊のように返ってきます。
 よしんば返ってこなくても、敬意をもったふるまいは必ず徳積みとなります。
 結果的に、徳による治世という最高の形がもたらされることでしょう。

5 両親や教師、親切にしてくれた相手など、敬意を払うにふさわしい相手を讃えよ

 これも徳治の根幹です。
 王が身をもって人倫を尊べば、臣下も庶民もいつしかそれに倣い、司(ツカサ)が司なりの仕事を順調にできるようにもなりましょう。
 今の日本における教育現場の諸問題は、親が専門家である教師を根本的に敬わず、子供たちもそれに倣うという悪しき空気が一要因になっていると思えてなりません。
 特に小中学校の教師には若い方々が多く、ご本人が自らを人間として成長させてゆく出発点のあたりにいて、まだそれほど経験もなく、未熟な面が多々あるのは当然です。
 それは若い親御さんたちとで同じです。
 しかし、はっきりと意識しておくべきは、教師はプロであり、ほとんどの教師は善意と志に満ち、プロたる立場をまっとうしようとしておられることです。
 だから、親は教師を尊び、優れた面を讃え、子供たちも又、教師に敬意を持つよう指導せねばなりません。
 親が教師をプロとして認識せず、ともすれば欠点ばかりを論(アゲツラ)い、あげくの果てはつるし上げて日常生活の鬱憤(ウップン)を晴らすようでは、学校にも子供たちにも、まっとうな未来はありません。
 似たような状況は医療の現場でも多発しており、患者さんやご家族方の不見識が、どれほどプロたちを苦しめ、現場を混乱させているか、よく考える必要があります。
 モンスターペアレント(怪物的で困りものの保護者)やモンスターペイシェント(怪物的で困りものの患者)などという言葉が存在する社会は烈しく歪んでいます。
 立場のあるプロへ敬意をはらうことは正論であっても、教師も医師も、自分から「こうあるべきだ」「こうせよ」とはなかなか言えません。
 だからこそ、社会的影響力の大きい人がまっとうな姿勢を示すことはとても大切なのです。

6 他者には親切にせよ

 力のある人は、往々にして二つの姿勢になりがちです。
 一つは、自分の意志を通すこと。
 もう一つは、自分の力によって何かをしてやると考えること。
 しかし、ナーガールジュナは、忘れがちになるもう一つの大切な姿勢を示しています。
 お互いに親切にし合い、支え合うことは庶民同士では当然ですが、〈何でも意のままになる〉立場にいると、〈おかげさま〉を忘れ、心からの親切心もまた忘れてしまいがちです。
 他のためになることこそ人間にとって最も尊い行為であり、それは社会的立場にかかわらないという仏教の根本が最後にしっかりとおさえられています。

 これは2000年近くも前に説かれたとされています。
 今の世界と日本を眺めた時、教えに合う権力者はどこに見いだせましょうか?
 また、自分自身へ当てはめて省み、軌道修正したいものです。
(六原則はダライ・ラマ法王著『宗教を超えて』から引用しました)

 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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