コラム

 公開日: 2013-04-25  最終更新日: 2014-06-04

知識は行動するためにあり、悟りは自他を救うためにある

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 岩波書店発行『科学にすがるな!』において、編集者艸場よしみ氏が質問しました。

「宇宙はどんな形をしているのですか?」
「宇宙は平坦だともいわれています。
 でもその意味がよくわからないのです」

 以下は、理論物理学者佐藤文隆教授が答えた一部です。

「それは算数の話だね。
 空間が曲がっているとか、光がまっすぐ進むということです」
「ほとんど平坦です。
 ただし、いま見ている範囲で平坦だということです。
 常にそういういいかたをしないといけない」
「これは頭で考えてわかることではなく、観測でわかるんです。
 だが観測にはお金がかかる。
 お金をかけて次々大きな望遠鏡をつくれば、もっと遠くまで観測できるでしょう。
 しかし、そこまでお金をかける必要があるのか。
 子供手当と宇宙が平坦かどうかの解明と、どちらを大事に考えてお金をかけるのか、バランスの問題だよ」

 教授は、観測によって把握できる科学的真理の範囲は、あくまでも観測できた範囲でことであるという理解が必要であると説きます。
 今、観測できた範囲で宇宙は平坦だが、もしも、もっと遥か遠くまで観測できるようになって端っこが見つかれば、そこから先は平坦でなくなるけれども、それはは観測してみない限りわからないし、もっともっとと果てしなくやるためにかかる膨大な費用は、はたして私たちにとっていかなる意味を持つのかよく考えねばなりません。
 社会が人間のために何をやるべきかを常に考え、社会が手を差し伸べねばならない境遇にいる子供たちを無視して望遠鏡をつくるわけにはゆかないのです。 

「あのね、地球の表面は曲がっているでしょ?」
「それを知って何をするのかがないまま、曲がっているか曲がっていないかと聞くのは意味がない」
「何のためにあなたは聞いているのかね?
 隣の家に行くのに、地球が曲がっているかどうかが心配で足が出ないというなら、曲がっていませんよと答えてあげよう。
 しかし、電波を地球の裏側に送りたいなら、地球は曲がっているから地表と平行に送っても届かないことを知る必要がある」
「知識とは何かをするためのものです。
 科学の知識の大部分も、人間が生きていくための知識です。
 ところがいまの質問のように、どっちでもいい気がかりなことを、科学の答えるべきことだと思う人もいる。
 ウィルスが発見されて、これを何とかしなければいけないと思う人もいれば、そんなことより宇宙が無から生じたのかどうか答えてくれと科学に要求する人もいる。
 後者はソーシャルに馬鹿である。
 知識はそういうものではない。
 自分が社会的に行動する、あるいは人前で何かをいうかいわないかといった、自分が行うことのために知識がいるのです」

 お釈迦様が説かれた毒矢のたとえを思い出します。
 毒矢に当たり死にそうになった人が、「この矢は、誰が、いかなる目的で、どこから射られたのか」などと知りたがったので、治療する人は、「今は、そうした詮索よりあなたが助かることが一番です」と答えた話です。
 自分が苦しみ、他を苦しめている私たちにとって今、行うべきは、自他共に苦を脱することです。
 あの世があるかどうかといった形而上的なことを考えているうちに、自他を傷つけたまま、一瞬後に死ぬかも知れません。
 同じように、いくつかの質問に対してお釈迦様は答えておられません。
 この世は永遠か?
 如来は死後、存在するか?
 こうした問いがぶつけられた時、お釈迦様は口をつぐまれました。
 
 教授が「自分が行うことのために知識がいる」と言い、お釈迦様が苦を脱することと無関係な質問に対して答えられなかったのは、共に、問題意識を持たぬ思考は意義のある知識をもたらさず、人間に資するものではないからです。
 そうした時間を過ごすうちにも、私たち個々人のいのちは砂時計のように減りつつあるのです。
 4月25日、京都大学iPS細胞研究所の桜井英俊講師たちチームが、筋ジストロフィーの患者の皮膚細胞から作ったiPS細胞を効率よく筋肉細胞に変化させ、病態を再現することに成功したとのニュースが流れました。
 ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥所長の業績が大きく花開きつつあります。
 所長は受賞したおりに、こうしたコメントを発表しました。

「今後も、難病の患者さんの体の細胞から作られたiPS細胞を用いて、新しい薬剤や治療法を開発することを、1日も早く実現するために、仲間の研究者とともに一生懸命頑張りたいと思います」

 教授は言います。
「学ぶことは生きること」。
 同じように、京都大学iPS細胞研究所の方々にとって「励むことは役立つこと」でしょう。
 そして、仏教徒にとって「精進するのは菩薩(ボサツ)となって生きること」に他なりません。
 まっとうな姿勢で、科学に生かされ、宗教に生かされ、まっとうに生きたいものです。

 今日の守本尊不動明王様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=EOk4OlhTq_M




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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