コラム

 公開日: 2013-04-26  最終更新日: 2014-06-04

公開Q&A(その7)僧侶はお葬式で何を考えているの?(その1)

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 勉強会での質疑応答です。
 プライバシーを守りながら、補足し、要点を書きとめておきます。

質問7 お葬式ではどんなことを考えているのですか?

回答7 せっかくのご質問なので、お葬式当日だけでなく、お送りするための順番にそってお話しましょう。

 まず、枕経(マクラギョウ)にでかけます。
 当山の場合、口コミや紹介が多いので、ほとんどは初めてお訪ねするお宅です。
 玄関でお悔やみの口上を申しあげて白い草履を脱ぎますが、神妙な顔で対面する見ず知らずの方々に〈他人〉を感じたことはありません。
 ほとんど〈身内〉といった感覚です。
 そもそも、私は普段から身内とそうでない方とを別扱いはしていません。
 み仏と衆生(シュジョウ)と行者とを一如として修法しているので当然と言えば当然です。
 それに、できごとは決して〈そちら側〉にあるのではないので、ご遺族のお気持はまっすぐにやってきます。
 だから、そこのお宅の空気と一体になって故人の横に座り、修法の準備にとりかかります。
 多くの場合、まだ、遺影はできておらず、お名前とお命日と行年などのメモを目にして法を結び始めます。

 この段階で考えることは一つしかありません。
 異界の悪しきものが近づかないよう、迷わないよう、故人がどこのどなた様であっても平等に、お不動様のご加護で結界(ケッカイ)を張るのみです。
 結界の対象は人間だけではありません。
 安置されている場や家など、状況に応じて行います。
 それは、お次第にはっきりと示されています。

「家内、亡者共に結界すべし。
 よくよく魂魄を封じ着けて置いて去らしめず」

(家の中、故人、両方に結界を張らねばならない。
 しっかりと封じ、魂がさまよい出て迷わないようにせねばならない)
 あの世に行ったばかりの状態は、私たちがこの世に生まれ出た時に、似ているのではないでしょうか。
 親に守られるのと同じく、み仏の守護と導きが必要です。
 いかなる地位も名誉も財産も、守護と導きには役立ちません。

 修法が終われば必ず、今、何を行った修法の内容をご説明します。
 そして、「お不動様のご加護はいただくけれども、皆さんのお心で、重ねてお守りください」と申しあげます。
 方法は、お線香を手向けることです。
 なぜかと言えば、お線香は清浄なお精進の象徴であり、周囲の方々が故人を思い、ありったけのまごころを尽くすことになるからです。
 どなたもが、真剣に聞いてくださいます。

 それから、故人がいかなる方だったか、仕事や生活ぶりや信条などをお聞かせいただき、ご本尊様から戒名をいただく時に祈るための情報とします。
 あるお宅でこんなことがありました。
 亡くなられたお祖母さんについてお訊ねしたところ、ご当主様は自分で語らず、横にいる奥さんへ水を向けたのです。
 次に話されたのはご長男の奥さんです。
 男性方は黙ってときおり頷くだけでした。
 状況を理解しました。
 男性方は、長寿だったお祖母さんの介護などを実際に手がけた女性たちにこそ、故人への思いを口にさせたのでしょう。
 古いしきたりが残る地域の代々続くお宅なだけに、強く印象に残りました。

 この場でお布施についての質問が出ます。
 私の答は一つしかありません。
「お布施は自主的にご本尊様へお供えしていただくものなので、こちらから、戒名がいくら、ご葬儀代の分はいくらと請求する筋合いのものではありません。
 皆さんの価値観と、お財布の状態と、良識へお任せしています。」
 それでも、言ってもらわないと困るとおっしゃる方も少なくありません。
 しかし、最後はどなたもが娑婆の〈取引〉とは別次元の問題であると理解されるようです。
 当山は原則を貫き、心の問題や、仏神の世界や、あの世のことなど、計数化できないものがあることに気づいていただき、そこで自分の本心をふり返っていただくのもまた、僧侶の大事な務めであると考えています。
 もちろん、墓地の永代使用や講演会の参加費など、バラバラでは明らかにおかしなものは別として、「お布施は、差し出す側が自主的で心にやましさがなく、受け取る側も内容にこだわらず感謝し、受け渡されるものにもまたまごころがこもっているべきである」という大原則は、すべての寺院で徹底されるべきと考えています。
 なぜなら、寺院へ納められるものはすべてお布施であり、寺院はお布施のみで維持されており、布施を行うことは菩薩(ボサツ)になるために欠かせない修行であり、菩薩を目ざさない僧侶はおらず、共に菩薩をめざそうと説かない大乗(ダイジョウ)仏教の寺院もあり得ないからです。

 今日の守本尊阿弥陀如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=4OCvhacDR7Y



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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