コラム

 公開日: 2013-05-05  最終更新日: 2014-06-04

第四回法楽塾 ─『ダライ・ラマ法王の仏教哲学講義』を読む(6)─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






【ダライ・ラマ法王の仏教哲学講義】       

第一章 仏教における論理的思考の重要性

 第三節  仏陀の説法の歴史性

2 「小乗」という呼称

「わたしはこの講義では『小乗(ショウジョウ』』という表現を使わないようにしたいと思います。」
「『小乗』という言葉を使う時には、それが何か劣ったものであるとか、軽視されるべきものであると考えているわけではありません。」

 小乗仏教というのは、大乗仏教と称する立場からの呼び方であり、小乗仏教と言われる方々は決して自分からそうは呼びません。
 大乗仏教とは、行者も娑婆の方々も一緒に悟りへ向かう大きな船に乗るというイメージから生まれた言葉であり、そうしたイメージが生まれる前の仏教理論を信じている方々を、自分だけが悟りへ向かう小さな船に乗ると指摘し、小乗仏教と称するようになりました。
 だから、この言葉には最初から蔑視めいた気配が伴っています。
 ダライ・ラマ法王は、そうした固定的なランク付けをするべきでないと指摘し、お大師様もまた、世界の宗教思想をレベル分けされましたが、たとえ下のレベルと判断される教えにも究極的な悟りへの道は蔵されていると説かれました。

 人が皆、み仏の子である以上、成仏の可能性を持たない人は一人もいないはずであり、アラカンさんを目ざす声聞の教えによって修行している行者方も同じです。
 ダライ・ラマ法王は、誰でもが、まず〈聞く〉〈知る〉という声聞(ショウモン…教えを聞いて悟りを目指す行者)的なところから修行を始めねばならず、大乗と小乗は、悟りのレベルではなく、宗教的動機のところで分けられるのみであるとされました。
 最初から「他のため」「皆が一緒に」という動機で始めるのが〈大乗的〉であり、とにかく自分の苦を何とかしたいという動機で始めるのが〈小乗的〉です。
 ちょっと難しい言い回しですが、こう説いておられます。

「もしこの輪廻(リンネ)からの解脱(ゲダツ)に対して障害となっているものを声聞乗(ショウモンジョウ)の修行階梯によって克服できないと考えるならば、それは真言乗(シンゴンジョウ)の誓願に対する根本的な違反行為となるのであり、したがって、声聞乗に大きな尊敬を払わなければならないとはっきり教えています。」
「ある宗教者会議では、もはや『大乗』『小乗』という用語は使わない、と宣言されたそうです。」

 事実、声聞の経典においても、修行の結果に、アラカンから菩薩まで、つまり、大乗仏教による悟りは準備されています。ただし、その道筋は「暗に述べられている」のであり、理解できる何かを持った人にのみ、開かれています。

「声聞のための経典においても仏陀の境地について確かに言及しているのです」

「声聞のための経典においても、人間ないし神のうち、純粋なカルマを持った限られた修行者に対しては仏陀の境地について説かれていたように思われます。」

 そのことは、経典の内容と説かれた現場の確認などによって感得できます。
 お釈迦様が霊鷲山(リョウジュセン)という山で、第二のレベルとしての般若経を説かれた時、「人間や神、阿修羅などの修行者からなる大聴衆がいました」。
 しかし、現実の〈その場〉は、あまりに狭いのです。

「現実の霊鷲山には、せいぜい一五人しか座ることはできないのです。
これは、純粋なカルマを持った修行者の純粋な知覚には、もっと大きな場所が現れたのだということを意味しているのです。」

 きっと、輪廻転生の間にどんどん清められた魂には、異次元の光景が見えるのでしょう。
 実際、現実の私たちにとっても、同じ経典を読み、考え、瞑想することによっていかなる心象世界が顕れるかは、千差万別です。
 カルマによって見える世界が異なるのは当然であろうと思われます。

 今日の守本尊大日如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
 https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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