コラム

 公開日: 2013-05-05  最終更新日: 2014-06-04

【現代の偉人伝】第172話 ─親のDVで子供の脳が萎縮することをつかんだ友田明美教授─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





〈中山平温泉『琢秀』さんの水子地蔵様〉

 5月3日付の産経新聞に「DV目撃の子供 脳が萎縮傾向」という研究成果が掲載されました。
 福井大学「子どものこころの発達研究センター」の友田明美教授らがまとめ、米オンライン科学誌に発表したものです。

「両親間の暴力や暴言を吐く場面などドメスティックバイオレンス(DV)を日常的に目撃した子どもは、目で見たものを認識する脳の『視覚野』の一部が萎縮する傾向があるという研究成果を、福井大子どものこころの発達研究センターの友田明美教授らがまとめ、米オンライン科学誌に発表した。
 友田教授は米ハーバード大学と共同で、直接虐待を受けたことはないが夫婦間のDVを目撃してきた18~25才の男女22人と、目撃体験がない同年代30人の脳を、磁気共鳴画像装置(MRI)を使い比較。
 その結果、右脳の視覚野にある一部は、目撃体験がある男女の方が平均で約6・1パーセント小さく、約6・5パーセント薄かった。
 左脳の視覚野にある一部も約6パーセント薄かった。」

 DVが子供の情操教育にとても大きな悪影響を与えるであろうことは予想され、当山の人生相談でも暗澹たる気持にさせられる案件がいくつもありました。
 しかし、今回、データと分析によってそれが科学的に証明され、しかも子供の脳の萎縮というあまりにも深刻で過酷な結果をもたらしているとは言うべき言葉もありません。

「夫婦げんかは子供のいないところでやれ」
「子供の前で伴侶の悪口を言ってはならない」
「子供の前では伴侶を誉めよ」

 こうした先人の言葉は、科学的根拠を示せなくても、親の心構えとして代々受け継がれてきているはずです。
 実際は、なかなかこのとおりにばかりはできません。
 しかし、子供のために〈やってはならないこと〉として頭のどこかにあれば、必ず、自分を省みる瞬間があるはずです。
 その積み重ねによって、人間としてまだ若い親はだんだんに賢くなり、子供を育てる資格が備わってきます。
 子育ては親自身による親育てでもあり、親が育たなければ子供はまっとうに育たず、その報いとして、子供が苦しむだけでなく、必ず親へも苦がもたらされます。
 今回の調査結果は、そうした悪因縁がつくられる恐ろしさを親が実感できるために、とても大きな材料になることでしょう。
 
「目撃時期などの聞き取りから、脳が最も影響を受けやすい年令は11~13才で、身体的な暴力より、暴言の方が子供の脳に深刻な影響を与えることもわかった。」
「友田教授は『DVを見た嫌な記憶を何度も思い出すことで、脳の神経伝達物質に異変が起き、脳の容積や神経活動が変化してさまざまな精神症状を引き起こすのではないか』と推測。
『DVを目撃した子供には早期にしっかりした心のケアをすることが必要だ』としている。」

 11から13才の時期は、それまでに伸びてきた感受や判断の力が頂点に達し、次のレベルの世界が開けます。
 新鮮な刺激を感じることごとが増え、それに伴う自我意識や迷いや不安もまた増大し、大人としての性格形成に大きなかかわりを持ちます。
 だんだんに親離れをしますが、それは、親を〈頼りとする相手〉としてすがるだけでなく、〈人生を共に生きている相手〉と観る目が育つことを意味します。
 ここで親から受ける心の傷は〈人生から受ける傷〉であり、〈人の世〉から受ける傷であり、一人の人間の人生観に決定的な影響を与えかねません。

 また、「身体的な暴力より、暴言の方が子供の脳に深刻な影響を与える」には深く考えさせられました。
 身体に痛みを感じるのは、人間もけだものも同じです。
 いじめは別として、突発的なケンカや不意の衝突などによる病気に至らない程度の一時的な痛みならば、身体が持つ自己快癒力によりやがて癒え、意識から消えて行きます。
 しかし、言葉は、耳から入った時点ではたとえそれほど強い印象を持たない場合でも、記憶に残り思い出されるうちに、聞いた時の印象が膨らみ、深まり、変質して心を刺したり、塞いだり、閉ざしたりする場合があります。
 身体的暴力が許されないのはもちろんですが、けだものでない人間にとって、言葉がいかに脳のはたらきを左右するか、よくよく考えてみたいものです。

「DVの目撃が心の病の形で影響を与えると心理学などで指摘されている。
 友田教授は『DVを見た嫌な記憶を思い出すことで脳の神経伝達物質に異変が起き、さまざまな精神症状を引き起こすのではないか』と推測している。」

 やはり、記憶がくり返し思い出される過程で脳へ与える影響は凄まじいものがあるようです。
 お釈迦様は説かれました。

「悪は行うなかれ
 善は行うべし
 そうして自らを清めよ
 これが悟った人々が共通して説く教えである」

 今回の研究によっても、何が善であるか、何が悪であるかは明確です。
 地味な研究かも知れませんが、とてつもない説得力を持っています。
 親たる者は、子供へ悪しき記憶を与えず、できるだけよい記憶をもたらし、それが思い出されるたびに子供の脳と心が健全に育つよう最善を尽くしたいものです。
 それが、親自体の煩悩(ボンノウ)を薄め、人間として成長して行くための重要な過程でもあるのです。

 今日の守本尊大日如来様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
 https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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