コラム

 公開日: 2013-05-11  最終更新日: 2014-06-04

東日本大震災 ─東北関東大震災・被災の記(第136回)─寺院はどう変わったか?(その2)─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






 ある勉強会で質問がありました。
「東日本大震災の前と後で、どう変わりましたか?」
 当山は宗派に属さない単立寺院ゆえ、自分の山寺を守るので精いっぱいであり、このテーマで他の寺院の方々と話し合ったことはありません。
 だから、当山の率直な思いを申しあげました。
 一つは文化の基底について、もう一つは思いやりの復活について、そしてもう一つは人間の分際の認識について。

○極限状態にあってはたらいた究極の思いやりを永遠の導きとしたい

 当山は、以前より、「菩薩(ボサツ)になろう」と呼びかけてきました。
 菩薩像と菩薩になるための方法は明確です。
 六波羅蜜(ロッパラミツ)の実践が方法であり、実践者が菩薩です。
 波羅蜜(ハラミツ)とはパーラミーというインドの言葉で、み仏の世界である完全な状態へ至るための徳目です。
 六つの実践方法は以下のとおりです。

・布施(フセ)…他を潤すこと。水に象徴される。
・持戒(ジカイ)…戒律を生きること。塗香(ヅコウ)に象徴される。
・忍辱(ニンニク)…耐えること。花に象徴される。。
・精進(ショウジン)…怠らず励むこと。線香に象徴される。
・禅定(ゼンジョウ)…心身を安定した状態に整えること。飯食(オンジキ)に象徴される。
・智慧(チエ)…自己中心でない智慧をはたらかせること。灯火に象徴される。

 慈悲心を持った菩薩は他のためにならないではいられず、布施行を実践しますが、それには他を害さない清浄な者でなければならず、持戒が欠かせません。
 煩悩に負けず清浄な者であるためには、心から起こる煩悩に流されず、他からの害にも動じない忍辱が欠かせません。
 また、智慧によって無明(ムミョウ…真理を知らず心の明かりが無い状態)を晴らさねば他のためになる姿勢になれず、それには、心身を散乱させず静かに慮(オモンバカ)る禅定が欠かせません。
 そして、上記の5つの徳目を実践するためには、お線香が淡々と燃えつつ芳香を放つように、弛(タユ)まず怠らない精進が欠かせません。

 これで明らかなように、〈菩薩になる〉とは、〈他のためになる〉ことに他なりません。
 私たちが「おかげさま」「お互いさま」と感謝しつつ暮らす時は、知らぬ間に他のためになっており、この事実は、私たちが〈み仏の子〉であることを示しています。
 しかし、普段の私たちは、行いが必ず結果をもたらす因果応報を忘れたり、すべてが空(クウ)であり無常であることを忘れて執着したり、自分のために他人を踏み台にしたり、際限ない欲を満たすためにかき集めようとしたりしています。
 だから、み仏は「それではいけないよ」と、本来の人としてまっとうに生きるための6つのポイントを示されました。

 私たちがおかげさま、お互いさまと言える以上、菩薩になる可能性はすべての人々に与えられています。
 そして、私たちは、自己中心の心がぶつかり合う場面の多いこの世において、〈可能性を現実にする人〉と会い、〈可能性を現実にした人〉について見聞きする時、魂が震え、厭世観の黒雲を解かれ、力が甦り、未来に明かりを見いだします。

 私たちは、いのちもモノも奪い去られつつある大震災のさなかですら、菩薩としての人の真姿を生き、あるいは真姿のままで亡くなった方々により、人は菩薩になれるという真実をあらためて知りました。
 マイクで危機を知らせつつ逝った方、水門を閉めようと津波の来る方向へ走った方、仲間と共に死のうと思い定め原発事故の現場から逃げなかった方々、極限状態において皆さんが身をもって示された究極の思いやりは、私たちにとって永遠に輝きを失わない宝ものです。
 当山は、こうした宝ものの輝きに導かれて精進し、また、輝きをお借りしつつ、これまで以上に思いを込めて六波羅蜜の大切さを訴えて行きます。
 私たちが輝きを感じとる心を失わない限り、あの時、菩薩として生きた方、菩薩として逝った方々は、永遠の私たちの心に生き続けます。
 そして、必ずや、み仏の子として輝く人が一人、また一人と増えて行くことでしょう。
 
 今日の守本尊虚空蔵菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=IY7mdsDVBk8




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

この記事を書いたプロ

大師山 法楽寺 [ホームページ]

遠藤龍地

宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL:022-346-2106

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0
<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
Q&A
セミナー・イベント
お客様の声

○Aさん(中年女性)の場合 心身の不調を縁としてご加持を受け、自分の願いが通じると実感されました。 そして祈り方を覚え、商売や家庭にさまざまな問題を抱えなが...

 
このプロの紹介記事
遠藤龍地 えんどうりゅうち

人々が集い、拠り所となる本来の“寺”をめざして(1/3)

 七つ森を望む大和町の静かな山里に「大師山 法楽寺」はあります。2009年8月に建立されたばかりという真新しい本堂には、線香と新しい畳のいい香りが漂います。穏やかな笑顔で出迎えてくれた住職の遠藤龍地さんにはある願いがありました。それは「今の...

遠藤龍地プロに相談してみよう!

河北新報社 マイベストプロ

宗教宗派を問わず人生相談、ご祈祷、ご葬儀、ご供養、埋骨が可能

所属 : 大師山 法楽寺
住所 : 宮城県黒川郡大和町宮床字兎野1-11-1 [地図]
TEL : 022-346-2106

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

022-346-2106

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

遠藤龍地(えんどうりゅうち)

大師山 法楽寺

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
村上春樹氏の「影と生きる」に想う ─影が反逆し始めた世界─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 世間は万華鏡 ]

自衛隊員の本音 ─出征する覚悟、辞める無念─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 不戦堂建立への道 ]

12月の守本尊様は千手観音菩薩です ─救われる時─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 今月の守本尊様・真言・聖語 ]

Q&A(その32)自業自得なら廻向で救われない? ─因果応報と空の話─
イメージ

 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故...

[ 仏教・密教 ]

一年と一周忌供養 ─あの世でもこの世でも救われる話─
イメージ

 おはようございます。 皆さん、今日もお会いできましたね。 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被...

[ 葬儀・供養の安心 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ