コラム

 公開日: 2013-05-14  最終更新日: 2014-06-04

東日本大震災 ─東北関東大震災・被災の記(第137回)─「人を〈使う〉」という考え方と言い方を捨

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。







 私たちは、人を「使う」、あるいは「使われる」と言いますが、違和感を感じる方はおられないのでしょうか。

 電話であれ、箸であれ、「使う」対象は普通、道具であり、モノです。
 ヘビつかい、サル廻しなどはあっても、人間が道具として見せ物になることはありません。

 誰かに面と向かって「私はこれからあなたを使います」と言われ、心に何の痛痒もなく「はい」と答えられましょうか。
 それなのに、私たちの文化では使用人や使用者と称し、「私は20人ほど使っています」、「どうせ、使われている身だから」などと言います。
 言葉には心が顕れ、心は言葉に影響されます。
 私には、今の文化が孕む人間疎外の元凶として、人間を〈使う〉感覚と、それに対応した人間を「使う」という言葉づかいがあるのではないかと思われてなりません。
 こうした感覚も、言葉づかいも、人間を道具としてとらえることが前提であり、人間をモノ同様に扱うことはまぎれもなく非人間的であるのに、その恐ろしさが気づかれず、あるいは看過されているのはどうしたことでしょうか。

 平成24年に77才で亡くなった原田正純医師は、胎児性水俣病を発見し、患者の家をまわって原因の究明に尽力しました。

「有機水銀は小なる原因であり、チッソが流したということは中なる原因であり、水俣病事件発生のもっとも根本的な大なる原因は、『人を人と思わない状況』、還元すれば人間疎外、人権無視、差別という言葉で言い表される状況である」。(丸山弘子『序章 早稲田の杜から京都へ』より)

 さかんに復興が叫ばれている被災地には、働き口を求める人々が全国からやってきます。
 しかし、まっとうな企業から契約条件通りの仕事をもらえる人ばかりではありません。
 人間扱いされず、不当なピンハネに遭い、文字どおり使い捨てられる人々が後を絶ちません。
 復興のためにと関西からやってきた当山の信徒さんも、まったく不当に心身を痛めつけられ、無念の帰郷となりました。
 その実態はとても事実とは思えない内容です。
 あれほどの大事件だった水俣病の経験をした社会における「人間疎外、人権無視、差別という言葉で言い表される状況」は依然として根強く残っています。

 この状況は、今を生きる私たちにとって共通の恥であり、責任も共有しているのではないでしょうか。
 なぜなら、誰もが人を「使う」と言い、言外に人間を道具として扱っているからです。

 ヒロシマ原爆3万2千発分のエネルギーを持った大地震によって起こった津波は、千年に一度の大災害をもたらしました。
 生き残った私たちは、千年に一度の再出発をしようとしています。
 この時にあたり、人間を「使う」という言葉づかいを捨て、心に巣くう「人間疎外、人権無視、差別」の意識から脱却しようではありませんか。
 これこそが千年に一度の人間社会の再出発になるのではないでしょうか。



 
 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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