コラム

 公開日: 2013-05-15  最終更新日: 2014-06-04

公開Q&A(その7)僧侶はお葬式で何を考えているの?(その2)

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。







 勉強会での質疑応答です。
 プライバシーを守りながら、補足し、要点を書きとめておきます。

質問7 お葬式ではどんなことを考えているのですか?

回答7 せっかくのご質問なので、お葬式当日だけでなく、お送りするための順番にそってお話しましょう。

 前回(その1)の続きです。
 前回は枕経の様子などでした。
 今回は、お通夜に移ります。

 お通夜の際は、故人は 経帷子(キョウカタビラ)などの死に装束(ショウゾク)を身にまとっておられます。
 いかなるスタイルになるかは地方の習俗などによって異なりますが、いずれにせよ、四国八十八霊場を巡拝する時と同じ心が表現されています。
 その心は〈生き直し〉です。
 生きながらにして死に装束をまとうのは、一旦死んだつもりで汚れた生き方を離れようとする決意を示しており、出家者が白い装束になるのと同じです。
 亡くなられてからの白い死に装束は、現世での煩悩を捨て去り、清浄なみ仏の世界へ旅立つことを意味します。
 亡き方は無になるのではなく、あの世での生き直しを行われるのです。
 経帷子には根拠となる経典があります。

「ある出家修行者が破戒行為の因縁による重病に苦しみ、見かねた行者が真言を書いた布を首にかけたところ、穏やかに臨終を迎えました。
 それでも、破戒行為の罪は重く、落ちた先は地獄です。
 ところが、地獄の猛火は消え、呻吟していた人々の苦しみも去りました。
 閻魔王が部下へお柩を調べさせたところ、屍にかけられた真言が大光明を放っていました。」

 なお、お柩に般若心経や観音経や理趣経百字偈などの写経を納めたりしますが、お経を燃やしても悪行にはなりません。
 行動において何よりも大切なのは動機であり、安心させたい、供養したいという思いやりで行うなら大丈夫です。
 詳しくは、ブログ内の「公開Q&A(その6)般若心経をお柩へ入れれば、お経を燃やす悪行ではないでしょうか?」をお読みください。

 さて、お通夜ですが、僧侶は修法によって成仏を祈り、近親者などは香を絶やさずにご遺体を守りつつ、想い出などを語り合う「よとぎ」をします。
 ここではお位牌が準備され、お位牌には戒名が記されているので、当山は必ず戒名の意義と内容のご説明をします。
 私たちはこの世に生まれ出ると、我が子の幸せな人生を願う親が、一生懸命に佳い名前を考えてくれます。
 一生を終え、み仏の世界へ還る時、今度は、み仏が〈み仏の子〉としての新たな名前をくださるのであり、それが〈戒律に生きる者の名前〉としての戒名です。
 だから、当山では、ご本尊様へ祈り、授かった名前をお渡ししています。
 こうして授かる戒名にまつわる印象的なできごとは山ほどあります。
 最近では、先に亡くなった伴侶が遠くへ葬られており、49日が過ぎたなら、一緒に共同墓へ入れてあげたいとご遺族が願っていた方の戒名の一番上にある文字が、伴侶の戒名と同じに出ました。
 私は先亡の方について何も知らないし、事情のあるご遺族とは事前に直接の連絡もないまま、ご本尊様へ祈ったのです。
 それでも、お二人の戒名を並べると、2曲一双の屏風に描かれた風景を思わせ、ご遺族からは「ああ、良かったなあ」と喜ばれました。
 また、法話で述べるエピソードとぴったりの方がたまたまご遺族の中におられるなど、偶然とは思えぬありがたいできごとが続いています。

 夏目漱石は詠みました。

「通夜僧の経の絶間(タエマ)やきりぎりす」

 修法を行い、法話を申しあげ、時間の許す限り、故人の生きざまなどをお聴きし、皆さんと戒律や戒名などについて語り合います。
 こうして、お通夜は、引導を渡す厳粛な一瞬につながっています。
 
 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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