コラム

 公開日: 2013-05-27  最終更新日: 2014-06-04

形見分けは在家と出家で違う?

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






〈高橋香温先生の新作が当山のミニギャラリーにあります〉

 普通、形見分けには三つの意義があります。

 一つは、御霊に安心していただくことです。
 たとえば、故人が大切にしていた古いレコードとプレイヤーをきちんと保管し、ときおり、鳴らしてみたりします。

 もう一つは、御霊の恩に報いることです。
 たとえば、親のすねをかじってばかりいた放蕩息子が、親の誇りだったバッジをもらって社会事業に目覚めたりします。

 もう一つは、自分の気持をつなぐことです。
 たとえば、師が愛用していた万年筆をもらい、弟子としての覚悟を貫くことです。

 さて、出家者にとっては、少し異なる意義が加わります。

 一つは、誰かがこの世に遺していったものを預かりものとして受け嗣ぐことです。
 出家して白衣をまとい、一度死んで生き直した僧侶にとって本来、〈我がもの〉はありません。
 すべては、教団や社会、あるいは天地自然からの預かりものです。
 よく「衣鉢を継ぐ」と言われるとおり、仏弟子としての師が遺された袈裟衣や鉢を、同じ仏弟子として弟子が受け嗣いだりします。
 それは形あるものだけのことではなく、師から伝授された奥義をもって修行に励むといった意味も含んでいます。

 もう一つは、無常を忘れないことです。
 受け嗣いだものを見たり思い出したりするたびに無常を感じ、いつ死んでも悔いなく、恥ずかしくない日々を送らねばなりません。
 お大師様は、衣鉢を継ぐはずだった甥の智泉大徳が他界したおりに一文をもって送りました。
 その中に「哀なるかな、哀なるかな、また哀なるかな、悲しいかな、悲しいかな、重ねて悲しいかな」とあります。
 いかに無常が骨身にしみていようと悲しみが起こることは避けられません。
 悲しむ感性と、無常を観る知性とは別ものであり、当然、両立します。
 どうせ無常だからと悲しみを悲しまなくなるのも、ただただ悲しみにくれて無常を忘れるのも、円満を欠いた心というべきです。
 むしろ、悲しみつつ無常を観る眼が深まり、無常と知ればこそ悲しみも喜びも深い情緒となるものです。

 身近な形見分けも、少し考えてみれば、小さくない意義を蔵しています。
 心して見直しましょう。
 そして、形見分けでの争いはやめましょう。
 こうした心を基準にしてみれば、誰がふさわしいかはおのづと明らかになるのではないでしょうか。

 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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