コラム

 公開日: 2013-06-07  最終更新日: 2014-06-04

大切なのは心か、それとも形か? ─運心と荘厳─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。





 初めてご来山されたBさん唸られました。
「ここは別世界ですね。
 私はどちらかというと、姿形はどうでも心さえしっかりしてれば、という方ですが、ここに座るとたちまち煩悩(ボンノウ)が消えたような気持になって驚きました。
 うーん」
 仏壇を購入される場合など、これまでに、心と形についてのご質問を何度も受けているので、おおまかにまとめておきます。

1 心の大切さ

 経典は説きます。

「諸(モロモロ)の供養の中、心を最も上となす。
 前の如く、一一(イツイツ)の供養皆まさに運心(ウンジン)して遍く法界に及ぼし、真言秘印をもってこれを持すべし」(『大日経』)

(さまざまな供養の中で最上なのは心によるものである。
 前述のとおり、一つ一つの供養はすべて心の動きによって真実世界の隅々まで行き渡らせ、真言と秘密の印によってその状態を保たねばならない)
 行者は、心で捧げる一輪の花に世界中の花の徳を込めます。
 そして、口では真言を唱え、身体ではしかるべき印を結びます。
 心と言葉と身体のはたらきを総動員しますが、実際に花をたくさん盛りつけるわけではありません。
 いくらたくさんの花を集めても、それはそれだけのことですが、心で捧げる花の徳は無限です。
 これ以上の方法はないので「最上」とされています。

 また、当山はおりおりに、「なぜ、お線香をもって供養するのか?」といった形で、心の供養こそが最も大切であるとお話し申しあげています。
 ご本尊様とお位牌の前にお線香を立てればそれでよいのではありません。
 淡々と燃え尽き灰になっても佳い香りを残すお線香を点したならば、お線香に象徴される精進の心も捧げねばなりません。
「私も、このお線香のように精進します。
 だから、どうぞご安心ください。
 どうぞお守りください」
 そして、精進を実践する姿を見ていただくところまでが供養です。
 このように、智慧と実践が伴ってこそ真の供養と言えます。
 その中心にあるのはまごころという心です。

2 形の大切さ

 一方、「信は荘厳(ショウゴン)から」という言葉もあります。
 経典に基づき、きちんと荘厳された空間は深遠な真理を表し、深い信仰を導き出します。
 そもそも、入滅されたお釈迦様のお骨を八等分してお祀りし、そこに仏塔を建てたところから大乗仏教が始まりました。
 尊いお骨を粗末にできる仏教徒はあり得ず、精一杯の荘厳を行ったはずです。
 そして、悟りの境地を求めて精進する行者たちの心に映ったみ仏の世界がさまざまな経典となり、それを元にして仏塔の荘厳や精緻なマンダラの作製などがなされるようになりました。
 インドにおける仏教の最後の姿を伝えるチベット密教においても、中国で大成した密教を伝授されたお大師様がまとめられた日本の密教においてもマンダラが重要視されているのは、文字や言葉で表現しきれない真理・真実を示しているからです。
 荘厳は行者の袈裟衣や動作にまで及びますが、ご本尊様をご供養するのに欠かせないのはお香とお花と灯明です。
 行者はもちろん、仏教徒は、戒律を守る象徴として清浄なお香を焚き、修行に欠かせない安定した心の象徴としてみ仏がお座りになられる花を飾り、自己中心の凡夫の知恵でなくみ仏のお智慧を求めるべくご宝前の明かりを点します。
 戒定慧(カイ…持戒・ジョウ…禅定・エ…智慧)について学び実践することを誓うのです。
 
 私たちは、心に従って身体を動かしますが、その一方で、見るもの、聞くもの、嗅ぐもの、味わうもの、触れるものによって心が動き、心の習慣がつくられ続けます。
 何を見聞きするかは、どう生きるかに決定的な影響を及ぼします。
 両親の深刻な夫婦げんかを目撃して衝撃を受けたり、裁判員に選ばれ残酷な証拠の映像を目にして心が大きなダメージを受けたりするなど、見聞きするものに流されて自分を制御できなく場合があります。
 荘厳された仏壇の前や本堂に座り、み仏の世界をイメージし、至心に経典を読誦したり読経を聞いたりすることによって心を清め、高め、深めることができます。
 お大師様は説かれました。
「環境は心によって変わり、心は環境によって変わる」
 環境とは、見聞きする対象に他なりません。
 ならば、「心さえしっかりしていればそれだけでよい」ということにはなりません。
 自分が生き、動き回っている周囲のありようと無関係の心などはあり得ないからです。
 お大師様の説かれた原文です。

「境は心に随って変ず。
 心垢(ケガ)るる時は即ち境濁(ニゴ)る。
 心は境を逐(オ)って移る。
 境閑(シズカ)なるときは心朗(アキラ)かなり。
 心境冥会(ミョウエ)して道徳玄(ハルカ)に存す。」

(環境は心のありようによって変化する。
 心が汚れると環境も荒廃する。
 心は環境に従って変化する。
 環境がよければ心も清明になる。
 このように心と環境は密接に関連しており、両方共に清浄なものとなれば深遠な真理が遥かに観られることであろう)

3 結論

 このように、心と形あるものは切っても切り離せません。
 心を見すえ、形あるものにもしっかりと心を配り、前進しましょう。 
 
 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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