コラム

 公開日: 2013-06-10  最終更新日: 2014-06-04

死後の行き先 ─NPO法人ワンファミリー仙台理事長立岡学氏の講演(補遺)─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。







 寺子屋の講演でお聴きしたNPO法人ワンファミリー仙台理事長立岡学氏の言葉について、ふり返ってみます。

 氏は、路上生活を送っている方々へ呼びかけられました。
「最終的には弔ってもらえるから大丈夫。
 とにかく生きようよ」

 死後の〈行き場〉は普段、あまり考えません。
 しかし、老いや病気や貧困などによって自分の死がリアルに予見できる時、そこは〈今〉が最終的に保たれる場所として、大きな安心をもたらします。
 そこがなければ、この先は、いつか突然、〈今〉が消え去り、無になってしまうのみです。
 無を相手にできる人は誰もいません。
 だから、無になるとは、家族や友人や猫や犬や社会などとつながり保たれている〈今〉の関係性がプッツリと断たれることを意味します。
 もしも〈行き場〉があれば、消しゴムで消されるように無になるというイメージはなくなります。

 そもそも、私たちは死んでも無にはなりません。
 第一に、死んだ身体は荼毘に付されて骨になりますが、それは、原子レベルで考えれば、細胞という形をとらずバラバラになったというだけのことであり、原子がなくなるわけではありません。
 それに今の一瞬にも細胞は新陳代謝をくり返しており、原子はいつも入れ替わりつつ身体を構成しています。
 仏教は、私たちの身体は、ある条件のもとで〈仮に〉特定のモノやはたらきとして成立しているのみであると説いています。
 条件が変われば当然、モノやはたらきのありようも変わりますが、それは無になることを意味してはいません。

 また、〈私〉は今、自分の身体をより所として存在していますが、身体のあるなしと〈私〉のあるなしは、一枚の紙の表と裏のようにピッタリと合っているわけではありません。
 手にあるわけでなく、目にあるわけでなく、脳の一部にあるわけでもなく、〈私〉は、身体にふんわりと寄り添っているのみです。
 それは私もそうであり、友人もそうであり、猫も犬もそうです。
 やはり、ある条件のもとで〈仮に〉生きものとして肉体をより所としているだけなのです。
 だから、条件が変われば当然、ありようも変わりますが、それは無になることを意味してはいません。
 その先がどうなるかは、科学によって身体が原子レベルまで解明されているようには解明されていませんが、宗教的叡智によってさまざまなイメージとして把握され、伝えられています。

 氏は、お墓があることによって自分の死後にあるイメージを持ち、前向きに生き直すきっかけになる生活困窮者の方々がおられると明言されました。
 科学的理論や宗教的叡智を持ち出すまでもなく、「ここに入られる」という実感は、〈今〉が無になるという恐れと虚無的心理とに打ち克ち、意欲を引き出し生命力を活性化させ、同じ境遇の仲間と共にまず一歩を踏み出すきっかけになります。
 この重い事実に関われることを深く感謝し、『一家族の墓』を守り続けて行きたいと念じています。

 今日の守本尊大日如来薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=LEz1cSpCaXA



 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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