コラム

 公開日: 2013-06-20  最終更新日: 2014-06-04

公開Q&A(その7)僧侶はお葬式で何を考えているの?(その3 出棺の朝)

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






〈潤いに包まれた『自然墓』〉

 勉強会での質疑応答です。
 プライバシーを守りながら、補足し、要点を書きとめておきます。

質問7 お葬式ではどんなことを考えているのですか?
回答7 せっかくのご質問なので、お葬式当日だけでなく、お送りするための順番にそってお話しましょう。

 前回(その2)の続きです。
 前回はお通夜でした。
 今回は、出棺に移ります。

 出棺経の朝は、皆さんの緊張が伝わってきます。
 荼毘(ダビ…焼骨)に付すことは、「いなくなる」という実感に直結しています。
 だから、お棺を囲んでのお別れには細心の注意がはらわれているように見受けられます。
 最近は、お棺の釘打ちをしない場合もあります。
 ご遺族が打ちたくないと言えば、やらないで霊柩車へ運びます。
 そもそも、この行為は仏教的な意味合いがあるわけではなく、土葬していた時代にお墓を荒らして金品を盗む不逞の輩がいたので、それを防ぐために始まったという説もあります。
 だからといって、ただちに「無意味だからやめよう」と言えば、いささか軽率ではないかと思われます。
 あらゆる儀式は、人間の歴史と共に工夫され、深められてきており、常に変化の中にあります。
 釘打ちも、日本においては盗難防止から始まったのかも知れませんが、皆さんの様子を眼にし、お話をお聴きしていると、私たちが別れ花で飾り釘を打つことは、送る方々の心の整理につながっていると感じられます。
 御霊にとって、出棺はこの世のより所である肉体を手放す覚悟が固められてゆく過程であり、ご遺族の心にもまた、意識せずともそうした思いの共有があるのではないでしょうか。
 出棺の日に漂う独特の緊張感は、覚悟の共有と無関係ではないはずです。
 儀式に繊細な心が伴い、心が精緻な儀式をつくりあげつつ、文化は練られ発展します。
 やりたくない、要らない、と言ってしまう前に、そうした面をよく学び、考える必要があるのではないでしょうか。

 さて、会場と霊柩車との間があまりなかったり、時間が切迫していたりすればできませんが、お棺を先導する場合があります。
 それは、お釈迦様が父親のお棺を先導されたことに由来します。
 経典によれば、お釈迦様は、父親が悪しき世界へ転生(テンショウ)せぬように願うと共に、ご自身が入滅された後の世を心配しておられたようです。

「来るべき世の人民は凶暴となり、父母の養育の恩に報いず、不幸の者が増えるかも知れない」

 そのために自ら礼法を示されたのです。
 だから、私は導師として、実際に先導しようとしまいと、伝授どおりの祈りを捧げます。

「当願衆生(トウガンシュジョウ) 三界火宅(サンガイカタク) 出離生死(シュツリショウジ) 証大菩提(ショウダイボダイ)」

(この世は煩悩の火が盛んな迷いと苦しみの世界であり、輪廻転生を脱し、悟りの世界へ入られますように)

 家族との永遠の別れはこの上なく辛いことです。
 しかし、親しみは、ともすれば執着心となり、執着心が強ければ「すべては因縁によって生じ、滅する変化の相にあり、空(クウ)である」という動かしがたい真理から離れ、あらゆる苦を生じ、苦にからめとられてしまいかねません。
 だから、故人には、最大の辛さの中で、何としても厳然たる真理を観ていただかねばなりません。
 最大の辛さの中にあることは、常々まとっていた我(ガ)というフィルターのかかった色眼鏡が外れ、真理を観られる数少ないチャンスなのかも知れません。
 平成12年、小雨降る朝、私は自分の母親のお棺を先導しました。
 最後まで絶対に子供を守り通した母親の涙雨は心身に沁み入り、天地は辛さに閉ざされていましたが、粛々と先頭を歩みました。
 この時の心で、祈り、先導を続けています。 
 
 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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