コラム

 公開日: 2013-06-30  最終更新日: 2014-06-04

味は一流 お店は二流 惜しいことには値が三流 集るお客は超一流 ─共に生き、共に幸せになるには─

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。






http://www.ne.jp/asahi/jimihen/oyaji/aiyu11.jpgさんからお借りして加工しました〉

 テレビでちらりと見かけた看板の画面が忘れられません。

「味は一流 お店は二流 惜しいことには値が三流 集るお客は超一流」

 広島駅近くにある酒井商店が、半世紀にわたって掲げてきた標語です。
 
 酒井商店は「心の通う買物横町 愛友市場」の中にあり、訪ねてきたお客様がある日、書き置いていったものをずっと大切にしてきたそうです。
 お客様Aさんは味を認め、「一流」としますが、そこではすでに店主の誇りに同調してもいます。
 次の「お店は二流」は客観的に述べていながら、「惜しいことには値が三流」につながると、一気に想像力を膨れあがらせます。
 惜しいという言葉はもはやAさんの立場を離れ、Aさんの心は、皆のためにできるだけ安く売りたいという店主の心意気に成りきっています。
 同じ〈安売り〉でも、どこかと比べて安いとアピールして値を競う世界とは無縁です。
 これだけ質のよい商品をこんな値段で売ってしまうのは悔しいけれど、こうして喜んでもらわないではいられない、という商人の気概が迸(ホトバシ)っています。
 足を運ぶお客さんは、商品のよさがわかる目利きのお客さんであり、目利きの高さを誉めるのは、同時に、店主が自分の心意気の高さを確認することにもなります。
 しかもそのことをお客さんであるAさんの言葉で「超一流」と表現するところに、店主とお客さんが一体となって共に喜び、満足し、存在を認め合う「愛友」が現出します。

 太平洋戦争に敗れた後、日本の津々浦々で、生きる糧を供給する人々と求める人々がこうして心を通わせ合い、互いに心とモノを施し合いつつ生き延び、発展してきました。
 駅前の再開発によってこの夏、「愛友市場」はなくなるそうです。

 今の日本は、グローバリズムと競争原理が実質的な旗印となり、これから半世紀後の間には人口が30パーセントも減るのに、どんどんエネルギーをつくり、もっともっと国民総生産を増やそうと必死です。
 自立心と社会意識を持った健全な個人が、互いに認め合い、誰しもが足元を固めつつきちんと生きて行ける社会が必要なのに、〈資本家が第一、組織を動かす人が第二、はたらく人々はいつでも交換が利く道具〉といった、生身の人間の尊厳を考えないモノと金に支配された社会に向かってはいないでしょうか。
 平成25年版の自殺対策白書によれば、20代で亡くなる方々の死因の半数は自死です。
 30代においても、第一原因は自死です。
 こんな〈先進国〉は世界に類を見ません。
 そして、自死を選んだ理由は健康問題が第一になってはいても、もっとも元気な世代が不健康になり生きて行く気力を失ってしまう理由が、就職関連という生きて行く糧を得ることについての問題であることは、社会の不健全性を明確に示しています。
 株価が上がり、高価な品々が売れ、海外旅行が普通になっている一方でこうした恐ろしい現実が進行している事態は、「アリとキリギリス」の世界の向こうへ向かっているのではないかという危惧を覚えます。
 キリギリスが来る冬の準備をしないでいても、アリがはたらいていたので世界は崩壊しませんでした。
 しかし、今の日本では、アリすら安心して生きては行けないのです。
 小金を貯め、家を持った世代が、社会保険制度に支えられつつ生き、そして、どんどんいなくなった後、地球をまたにかけた巨大な資本と巨大な組織にからめとられ、生かさず殺さずにはたらかされる大多数の人々に、はたして幸せの訪れようがありましょうか。

 世界は今の日本でナショナリズムが台頭していると観ているそうですが、いかがなものでしょうか。
 国力の源泉は、国民の一人一人が、かけがえのない相手として互いを尊重し合い、互いに支え合って、確かな今日を確かに生き抜くところに現れる〈人間の力〉ではないでしょうか。
 自死の問題は、こうした〈人間の力〉が著しく損なわれる社会になりつつあることを示してはいるように思われてなりません。
 若者たちが生きる不安を抱え、結婚や子育てなどの人生設計ができず、互いを尊重し合う余裕もない社会でありながら、文化的共同体としての国家が護られましょうか。
 そして、文化的共同体が〈人間の力〉を失って崩壊した時、世界的規模の金融資本と企業が人間のよりどころになるなどということはあり得ません。
 健全なナショナリズムとは何であるか、よく考えたいものです。

 私たちは一人残らず、地上を自分の足で歩くアリです。
 たとえ活躍の場が月や火星へ広がろうとも、同じです。
 同じ〈人間同士〉として互いを尊重し合い、互いに支え合うところにしか、幸せも安心もありません。
 冒頭の標語は〈人間同士〉という感覚を忘れないために忘れてはならないと考えています。
 商店街は消えますが、心の灯は私たち一人一人の心の中にともし続けたいものです。

 今日の守本尊文殊菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=WCO8x2q3oeM




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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