コラム

 公開日: 2013-07-01  最終更新日: 2014-06-04

なよ竹の風にまかする身ながらもたわまぬ節はありとこそ聞け

 おはようございます。
 皆さん、今日もお会いできましたね。
 今般の大災害に際し、亡くなられた方々と、被災された方々と、原発事故の現場をはじめ、復興に尽力しておられる方々に、み仏のご加護がありますよう心よりお祈り申し上げます。




〈「会津の名君・名将」さんよりお借りして加工しました〉

 薩摩藩などに会津が攻められたおり、会津藩家老西郷頼母(タノモ)の妻・西郷千重子は一句を遺し、女性20人と共に自決した。

「なよ竹の風にまかする身ながらもたわまぬ節はありとこそ聞け」

 なよ竹は細く柔らかく風に任せてしなり、屹立(キツリツ…揺るがず堂々と立つこと)する竹とは正反対のイメージを持つ。
 その代表が「なよ竹のかぐや姫」である。
 光と共にこの世へ舞い降り、光と共に月へ還るかぐや姫は、宿業(シュクゴウ)に任せて情愛の世に暮らし、宿業に任せて情愛から抜け出る。
 人の悪心を溶かす美貌は、一方で消えぬ執着心を駆り立ててしまう。
 周囲の者たちが、勝手に、なよ竹の美に負ける。
 なよ竹に罪はない。

 しかし、この句には、〈なよ竹もまた竹である〉ことに踏みとどまる強固な意志がある。
 従順に、すなおに、我(ガ)を張らず、時に応じことに応じて立場なりの生き方をまっとうしているが、すべてを周囲へ任せているのではない。
 決して無自覚に流されているのではない。
 実は、我を張らずとも立場をまっとうできているのは、撓(タワ)まない節があるからに他ならない。
 普段は、節があることを感じさせず、しなやかに周囲へ合わせて役割を果たしている。
 そして、撓みきれば地に伏してしまう危機的状況に立ち至った時、節が輝く。
 譲れないものは譲れないのである。
 尊厳、責務、矜恃(キョウジ)など、人が単に人であるだけでなく、〈その人〉たらしめている揺るがぬ〈存在の根〉が顕わになる。
 根無し草になるのは、〈その人〉でなくなることであり、そのあさましさ、無責任、堕落は死よりも厭うべきものである。

 ここで竹の本性が明らかになる。
 我を張らず、誠を貫く。
 思えば、これが、日本人女性本来の優しさであり勁(ツヨ)さではなかっただろうか。

 思い出すのは、かつて、学校で習った萩原朔太郎の『竹』である。

「光る地面に竹が生え
 青竹が生え
 地下には竹の根が生え
 根がしだいにほそらみ
 根の先より繊毛が生え
 かすかにけぶる繊毛が生え
 かすかにふるえ。

 かたき地面に竹が生え
 地上にするどく竹が生え
 まっしぐらに竹が生え
 凍れる節節りんりんと
 青空のもとに竹が生え
 竹 竹 竹が生え。」

 この詩には、雫が滴り落ちるような清新で繊細なイメージがある。
 地上の頑強な竹の本体と、地下に静かに広がるこまやかな根との対比が鮮やかである。
 それは、詩人の確たる言葉と、それを生み出し支えるガラス細工のような感覚の表現でもある。
 この竹に社会性が付与されれば、冒頭の句になる。

 それにしても、踏みとどまるものは美しい。
 流される怠惰、逃げる怯懦(キョウダ…いくじなし)、崩壊を利用する卑劣から遠いものは美しい。
 西郷千重子は、永劫の未来へ向かって「ありとこそ聞け」と血の出るような、それでいて凛とした一声を発した。
 私は「しかと聞いた」と応えたい。
 私にとっての6月30日の一日は、このやりとりに収斂(シュウレン…まとまること)した。
 
 今日の守本尊普賢菩薩様の真言です。
 どなたさまにとっても、佳き一日となりますよう。
https://www.youtube.com/watch?v=rWEjdVZChl0




 こうした内容に関心のある方はブログ(http://hourakuji.blog115.fc2.com/)の拙稿をご笑覧ください。
 山里の寺から、有縁無縁の方々の、あの世の安心とこの世の幸せを祈っています。

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